メキシコからの帰国者におけるサイクロスポラ症

Vol. 12 / No. 29
Cyclospora in travelers returning from Mexico

最近、メキシコからの帰国者にCyclospora cayetanenis感染例が増加していることについて、Public Health England、Public Health Wales、Health Protection ScotlandおよびHealth Protection Service Northern Irelandが調査を進めている。メキシコからの帰国者にC. cayetanenis感染例が報告されるのは2015年以降、4年連続である。
2018年8月3日時点で、イングランド、スコットランド及びウェールズから63例のC. cayetanenis感染症の確定診断例が報告されている。情報が入手できる範囲で、55例(87%)は直近の海外への渡航歴が報告されている。そのうち、49例(89%)は直近のメキシコへの渡航歴が報告された。分かっている限り、感染例はカンクン及びリビエラ・マヤ地区の複数のホテルに宿泊しており(ほとんどは食事付き)、この地区のホテルに供給されている食品が感染源であることが示唆されている。
C. cayetanenisはヒト及びその他の霊長目の動物に感染する寄生原虫である。通常、ヒトの糞便に汚染された血液または水から感染する。動物から感染することは証明されていない。オーシスト(寄生虫の生活環のなかで、被膜や被殻に覆われた形態)は、糞便中に排出された後、約10日間は感染性がなく、そのためヒトーヒト感染は起こらない。
感染源となる食品は、ラズベリーなどの柔らかい果物や、コリアンダー、バジル及びレタスなどサラダに使われるようなものである。
C. cayetanenisは熱帯ではありふれた感染症で、英国で報告される感染例のほとんどはそのような地域への渡航と関連している。輸入食品からの感染リスクは低いと考えられる。

旅行者へのアドバイス
サイクロスポラ症予防に関するアドバイスは、NaTHNaC及びPHEのウェブサイトに掲載されている。

帯状疱疹免疫グロブリンの供給不足:最新情報

Vol. 12 / No. 29
VZIG supply shortage: an update

2018年8月8日時点で、現在の供給状況、抗ウイルス薬の暴露後予防としての効果及び安全性に関するエビデンスを詳しく検証した結果、7月に発表された帯状疱疹免疫グロブリン(VZIG)の使用に関する改訂ガイダンスが強化された。
VZIGの使用は現在、妊娠20週以内に暴露した感染リスクの高い妊婦及び新生児に制限されている。抗ウイルス薬は妊娠20週以降に暴露した妊婦及び免疫抑制状態にある者に対する暴露後予防として推奨される。