ケンエー海外論文 Pickup

vol.2 血管内留置カテーテル関連感染の防止に関する、皮膚のスクラビング の有無も含めた、クロルヘキシジンアルコールまたはポビドンヨード アルコールによる皮膚消毒の効果(CLEAN スタディ)
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背景

血管内留置カテーテルを留置する直前の穿刺部位および周辺の皮膚消毒薬として、アルコール(AL、エタノールまたはイソプロパノール)、クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)、ポビドンヨード(PI)などが使用される。速効性を有するアルコールは皮膚消毒として有用であるが、残留活性が無い。残留活性を特性とするCHG またはPI と組み合わせて使用するのが良いと思われるが、その優劣については明確ではない。

方法

フランスの11 施設の集中治療室(ICU)において、中心ライン・血液透析ライン・動脈ラインの挿入前に行う皮膚消毒として、2%CHG-70% イソプロパノール(CHG-AL)と5%PI-69% エタノール(PI-AL)を使用する群に無作為に割り付けられた。これらの群はさらに、消毒薬塗布前に石鹸による皮膚のスクラビングを行う群と行わない群に、無作為に割り付けられた。アウトカムはカテーテル関連血流感染とした。

結果

2,546 症例が研究に含まれた。CHG-AL 群はPI-AL 群に比べ、感染率は低かった(1,000 カテーテル日あたり前者0.28、後者1.77、ハザード比0.15)。スクラビングの有無は感染率と関連がなかった。

結論

中心ラインなどの短期留置カテーテルの刺入前皮膚消毒として、CHG-AL がPI-AL よりも優れている。

監修者コメント

「ケンエー海外論文Pickup vol.1」ではSSI 予防に関してCHG-AL がPI-AL に対して優位性を示すといった論文を紹介したが、今回はカテーテル関連血流感染の予防に関してCHG-AL のPI-ALに対する優位性を明確に示す研究を紹介した。以前からカテーテル関連血流感染防止におけるCHGのPI に対する優位性を示唆する研究は多数あったが、PI 群にアルコールを含んでないものが多く、研究デザインとしては不適切であった。この大規模無作為化比較試験の結果により、結論がより明確になったものと考えられる。