消毒薬のQ&A

消毒薬のQ&A

器具の消毒・滅菌

浸漬後のすすぎは必要か?

消毒薬へ浸漬後のすすぎ(リンス)は、とくに高水準消毒薬(グルタラール、フタラール、過酢酸)で十分に行う必要があります。なぜなら、残留すると重大な有害作用が生じるからです。
たとえば、グルタラール消毒後の結腸ファイバースコープのすすぎが不十分であったために、6名の患者に出血性の直腸結腸炎が生じた例があります1)。チャンネル内(管腔)に残留した本薬が、腸粘膜に接触したためでした。したがって、用手法で内視鏡を消毒した後には十分なすすぎが必要です(図1)

図1. グルタラール消毒後の膀胱鏡(光学視管)のすすぎ

十分量の水道水でのすすぎを行う。
なお、フタラールで消毒した経食道心エコーのプローブや軟性膀胱鏡などの使用で、化学熱傷やショックが報告されています(図2)2-4)。したがって、これらへのフタラールの使用は禁忌となっています。

図2. 経食道心エコーのプローブ(左)および軟性膀胱鏡(右)

フタラールでの消毒は避ける。

この他、注射筒に両性界面活性剤が残留していたために、化学性髄膜炎が生じた2症例が報告されています5)。両性界面活性剤で洗浄・消毒した注射筒のすすぎ不十分が原因でした。

引用文献

  1. Durante L, Zulty JC, Israel E, Powers PA, Russell RG: Investigation of an outbreak of bloody diarrhea: association with endoscopic cleaning solution and demonstration of lesions in an animal model. Am J Med 92: 476-480, 1992.
  2. Sokol WN: Nine episodes of anaphylaxis following cystoscopy caused by Cidex OPA (ortho-phthalaldehyde) high-level disinfectant in 4 patients after cytoscopy. J Allergy Clin Immunol 114: 392-397, 2004.
  3. Streckenbach SC, Alston TA: Perioral stains after ortho-phthalaldehyde disinfection of echo probes. Anesthesiology 99: 1032, 2003.
  4. Venticique SG, Kashyap VS, O’Connell RJ: Chemical burn injury secondary to intraoperative transesophageal echocardiography. Anesth Analg 97: 1260-1261, 2003.
  5. Nishimura C, et al: Two cases of chemical meningitis following spinal anesthesia. J Anesth 15: 111-113, 2001.