消毒薬の選び方

器械・器具に対する消毒薬の選び方

対象 消毒・滅菌法 備考
人工呼吸回路
人工呼吸回路
  • 高圧蒸気滅菌
  • ウオッシャーディスインフェクタ(70~80℃・3分間などの熱水)
  • 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
  • エチレンオキサイドガス滅菌
  • 高圧蒸気や熱水での処理が望ましい
  • 高圧蒸気や熱水の使用では、前もって材質劣化が生じないことを確認しておく
エアウェイ
エアウェイ
  • 高圧蒸気滅菌
  • 消毒用エタノールへの10分間浸漬
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬
  • 高圧蒸気滅菌が望ましい
  • 高圧蒸気滅菌が不可の場合で、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスのキャリア患者などへの使用では、使い捨て製品を用いる
マウスピース
マウスピース
  • 高圧蒸気滅菌
  • 消毒用エタノールへの10分間浸漬
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬
  • 高圧蒸気滅菌が望ましい
  • 高圧蒸気滅菌が不可の場合で、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスのキャリア患者などへの使用では、使い捨て製品を用いる
  • 内腔が金属製の製品には、次亜塩素酸ナトリウムは適さない
喉頭鏡のブレード
喉頭鏡のブレード
  • ウオッシャーディスインフェクタ(80℃・10分間の熱水など)や家庭用食器洗浄機(70~80℃・3~10分間の熱水)
  • 洗浄して、水分除去後に消毒用エタノール清拭
  • 豆球のついた機種(アコマ社製など)には、熱水が使用できない
気管内吸引チューブ
気管内吸引チューブ
  1. 使用後に、吸引チューブの外表面をアルコールガーゼなどで清拭
  2. 吸引チューブ内腔の粘液などの除去のため、滅菌水を吸引
  3. 8%エタノール添加0.1%塩化ベンザルコニウム(ザルコニンA液0.1)を吸引後に、本液へ浸漬
  4. 使用前に、消毒薬のすすぎのために滅菌水を吸引
  • 使用のつど消毒を行うか、または使い捨てとする
ネブライザーの嘴管
ネブライザーの嘴管
  • 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
  • 熱水浸漬(70℃・1分間以上など)
 
超音波ネブライザー
超音波ネブライザー
  • 蛇管や薬液カップなどに対し、0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
  • 24時間ごとの消毒が望ましい
  • 共用であれば、逆流防止弁付きを用いるのが望ましい
ジェットネブライザー
ジェットネブライザー
  • 熱水浸漬
    (65℃・5分間や70℃・1分間以上など)
  • ウオッシャーディスインフェクタや家庭用食器洗浄機の利用が望ましい
  • 金属部分がないジェットネブライザー(インスピロンなど)では、0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬も適している
  • 24時間ごとの消毒が望ましい
酸素バブル加湿器(酸素湿潤器)
酸素バブル加湿器(酸素湿潤器)
  • 熱水浸漬
    (60~65℃・5分間や70℃・1分間以上など)
  • ウオッシャーディスインフェクタや家庭用食器洗浄機の利用が望ましい
  • 7日間ごとなどの消毒を行う
吸引瓶
吸引瓶
  • フラッシャーディスインフェクタ(90℃・1分間の蒸気)
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬
  • 0.1%両性界面活性剤や0.1%塩化ベンザルコニウムへの30分間浸漬
  • 使い捨て製品の使用が勧められる
ガーグルベースン
ガーグルベースン
  • ウオッシャーディスインフェクタや家庭用食器洗浄機(70℃・1分間以上の熱水)
  • 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
  • 0.1%両性界面活性剤や0.1%塩化ベンザルコニウムへの30分間浸漬
  • 前もってナイロン袋で覆っておく方法もある
薬杯、楽呑み
  • 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
 
食器
食器
  • 食器洗浄機(業務用;80℃・10秒間などの熱水・家庭用;70~80℃・3~10分間の熱水)
  • 洗浄工程後に、0.02%(200ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの5分間浸漬
 
経腸栄養剤の投与セット(バッグ型容器,投与チューブ)
経腸栄養剤の投与セット(バッグ型容器,投与チューブ)
  • 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
  • 次回使用時まで浸漬
  • 円筒型投与容器には、食器洗浄機による熱水消毒がより適している
哺乳びん、乳首
哺乳びん、乳首
  • 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬
  • ウオッシャーディスインフェクタ(80℃・10分間など)
  • 高圧蒸気滅菌
  • 汚れが付きやすいので、前もって十分に洗浄を行う
まな板
まな板
  • 0.02~0.05%(200~500ppm)次亜塩素酸ナトリウムでの清拭
 
聴診器
聴診器
  • 消毒用エタノール清拭
 
体温計
体温計
  • 消毒用エタノール清拭
  • 体温計のケースの消毒は、0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬で行う
注射剤のアンプル・バイアル
注射剤のアンプル・バイアル
  • 消毒用エタノール清拭
 
ワゴン、包交車
ワゴン、包交車
  • 消毒用エタノール清拭
 
リネン
リネン
  • 熱水洗濯機(70~80℃・10分間の熱水)
  • 0.02%(200ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの5分間浸漬(すすぎ工程後に)
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬(ウイルス汚染血液が付着したリネン)
  • 熱水消毒が望ましい
血圧計のマンシェット
血圧計のマンシェット
  • アルコール清拭
  • 熱水洗濯機(70℃・10分間などの熱水)
  • 0.1%両性界面活性剤への30分間浸漬→洗濯
  • 汚れの付着があれば、アルコール清拭は適さない
爪切り、爪ヤスリ、ニッパー
爪切り、爪ヤスリ、ニッパー
  • 家庭用食器洗浄機(70~80℃・3~10分間の熱水)
  • 消毒用エタノール清拭(2度拭き)
  • 消毒用エタノールへの10分間浸漬
  • 熱水消毒ではプラスチック部分が変形する場合がある
ベースン、洗面器
ベースン、洗面器
  • 0.2%両性界面活性剤での清拭
  • 高圧蒸気滅菌
  • 洗浄を兼ねた消毒を行う(清拭後10分間以上放置して洗い流す)
  • 損傷皮膚用には高圧蒸気滅菌を行う
尿器
尿器
  • フラッシャーディスインフェクタ(90℃・1分間の蒸気)
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬
  • 0.1%両性界面活性剤への30分間浸漬
  • 蒸気による消毒では、前もって耐熱性について確認しておく
  • 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液は、目に見える汚れ(有機物)の混入がなければ、7日間ほどのくり返し使用が可能である
便器(差し込み式)
便器(差し込み式)
  • フラッシャーディスインフェクタ(90℃・1分間の蒸気)
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬
  • 0.1%両性界面活性剤への30分間浸漬
  • 前もって便器を、ビニール袋や使い捨ての排便処理袋で覆っておく方法もある
  • 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液は、目に見える汚れ(有機物)の混入がなければ、7日間ほどのくり返し使用が可能である
ポータブルトイレのバケツ
ポータブルトイレのバケツ
  • フラッシャーディスインフェクタ(90℃・1分間の蒸気)
  • 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬
  • 0.1%両性界面活性剤への30分間浸漬
  • 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液は、目に見える汚れ(有機物)の混入がなければ、7日間ほどのくり返し使用が可能である
  • 前もってバケツに、使い捨てトイレを装着しておく方法もある
洋式トイレの便座 フラッシュバルブ
洋式トイレの便座、フラッシュバルブ
  • 消毒用エタノール清拭
  • ディフィシル菌汚染では0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム清拭を行う。ただし、金属箇所にはその後のアルコール拭きが必要
マットレス
マットレス
  • 防水マットレス → 0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールによる清拭
  • 前もって使い捨ての防水シーツで覆っておく方法や、防水マットレスの使用が勧められる
  • 非防水性マットレスでは、汚れが染みこんだ場合は、丸洗い(3,000円程度)が必要
  • エチレンオキサイドガスの使用は望ましくない(毒性、環境汚染)
  • ホルマリン(ホルムアルデヒド)ガスの使用は望ましくない(毒性、効果不確実)
  • オゾンの使用は望ましくない(毒性,材質劣化作用)
ベッド柵 オーバーテーブル
ベッド柵、オーバーテーブル
  • 消毒用エタノール清拭
  • 0.2%塩化ベンザルコニウムや0.2%両性界面活性剤での清拭
 
氷枕(アイスノン)
氷枕(アイスノン)
  • 消毒用エタノール清拭
 
処置台
処置台
  • 消毒用エタノール清拭
  • 熱傷患者などの処置時には、消毒用エタノール清拭とともに使い捨てカバーの使用が勧められる
救急ストレッチャー
救急ストレッチャー
  • 消毒用エタノール清拭
  • 0.2%塩化ベンザルコニウムや0.2%両性界面活性剤での清拭
  • 使い捨てカバーの使用が勧められる
シャワー用ストレッチャー
シャワー用ストレッチャー
  • 0.2%両性界面活性剤での清拭
  • 洗浄を兼ねた消毒を行う。その後に乾燥
  • 使用時にディスポカバー(エアークッションなど)を用いる
シャワー用イス シャワー用車イス
シャワー用イス、シャワー用車イス
  • 0.2%両性界面活性剤での清拭
  • スポンジ様材質(ポリウレタンフォーム)でできた製品の使用は避ける(微生物汚染を受けやすいため)
車イス
車イス
  • 消毒用エタノール清拭
  • ディフィシル菌汚染の可能性があれば,0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム清拭を行う
浴槽、沐浴槽
浴槽、沐浴槽
  • 0.2%両性界面活性剤での清拭
  • 洗浄を兼ねた消毒を行う
ドアノブ、水道ノブ
ドアノブ、水道ノブ
  • 消毒用エタノール清拭
 
保育器(クベース)
  • 0.2%両性界面活性剤や0.2%塩化ベンザルコニウムでの清拭や、0.1%両性界面活性剤や0.1%塩化ベンザルコニウムへの30分間浸漬
  • ウイルス汚染の場合には0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウム清拭(金属箇所には消毒用エタノール清拭)
  • 出来る限り分解して、洗浄と消毒を行う
局所洗浄装置(イルリガートル)
局所洗浄装置(イルリガートル)
  • アルコールフラッシュとその後の乾燥
  • 7~14日ごとの消毒と乾燥が望ましい
  • 代用として、生理食塩水(100mL用量)などに局所洗浄用ノズルを刺入して用いる方法がある
恒温槽
恒温槽
  • 乾燥
  • 7日ごとに水を抜いて、洗浄と乾燥を行う
  • 構造的に微生物汚染を受けやすいので、なるべく使用を控える
作業台
作業台
  • 消毒用エタノール清拭