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VOL.105 残便感が続くのは便秘?主な原因と解消方法を紹介

毎日トイレに行って排便があるけどスッキリと出た気がしない…。この不快な残便感のせいで、自分は便秘なのではないかという気持ちを抱いてしまう方は多いでしょう。できることならスッキリとした排便を毎回目指したいものです。

今回は、残便感が続く状態が便秘なのか、その原因と解消方法をご紹介します。

残便感が続くのは便秘?

『慢性便秘症診療ガイドライン(2017)』のなかで、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

この定義にある「快適に排出できない状態」とは、例えば、直腸付近に排出すべき便が来ていて、それを排泄しても残便感があって快適な排便ではなかったとなれば、それは便秘なのかもしれません。

ただ、このガイドラインでは、排出すべき糞便が直腸内に存在しないのにも関わらず、残便感(偽の便意)を訴え、トイレに頻繁に行くような場合(排便強迫神経症)は、真の便秘症ではないとも述べられています。

便秘は原因や症状によってさまざまに分類されています。例えば、便秘の原因によって「器質性便秘」と「機能性便秘」に、その症状によって「排便回数減少型」と「排便困難型」に、その病態から「大腸通過正常型」と「大腸通過遅延型」と「便排出障害」に分類されています。

「残便感」を伴う便秘の多くは、上記の分類のうち「機能性便秘」に当てはまります。次に、この便秘の特徴を解説していきます。

機能性便秘とは?

機能性便秘は、疾患など大腸の形に問題がない便秘です。しかし、大腸の機能が障害されているために、直腸に送達された便を快適に排出できず、排便の困難感や不完全排便によって残便感を抱いてしまうのが特徴です。また、便の特徴として硬便が多い傾向にあります。

機能性便秘は、排便回数や排便量が減っている「排便回数減少型」と、便意は感じるものの、十分な量の便を排出できず残便感が残る「排便困難型」に分類されています。

【図】機能性便秘の分類

残便感がある便秘の主な原因

排便時に残便感がある便秘は「排便困難型」に該当します。

「排便困難型」はさらに「大腸通過時間正常型」と「機能性便排出障害」に分類されています。「大腸通過時間正常型」の便秘は、排便回数や排便量は減っていないにも関わらず、便が硬いために、排便困難や残便感を呈する便秘です。

一方で、「機能性便排出障害」の便秘は、便意を感じにくくなっていたり、糞便を排出する力が弱くなっていたりするために起こる便秘を指します。

どちらも残便感を訴えるケースが多いのですが、その原因は硬便、便意の感じにくさ、糞便を排出する力が低下していることになります。

次に、そのような原因に陥る主な要因を紹介していきます。

水分不足

硬便の原因は水分不足です。便は水分が60~80%を占めており、水分不足になると便が硬くなります。

口から摂取された水分は、その8割ほどが小腸で吸収され、残りが大腸で吸収されます。

体が脱水状態に陥っていると、大腸での水分の吸収が強く起こり、便の材料となる水分まで吸収されて、便の水分が不足してしまいます。。

そのため、日常の水分摂取量が不足しているかもしれないと感じる方は、体の水分不足に注意しましょう。また、汗をかきやすい方はしっかりと水分補給をしていても水分不足になる可能性があるので注意しましょう。

便意を我慢する

不規則な排便習慣は残便感を伴う便秘の要因となり得ます。

ここで排便のメカニズムを簡単に説明しますと、直腸に排出すべき糞便が流れ込んでくると、腸壁が刺激され、その刺激が脳に伝達されて便意として感じるようになります。ここで脳からは排便しなさいという指令が肛門に伝わり、肛門の筋肉が緩みます。このとき、努責(いきみ)が行われ、糞便が排出されるのです。

便意を感じたときにはトイレに行きたくなって排便行為に至るわけですが、どうしてもトイレに行くことができない状況では便意を我慢しなければなりません。そしてトイレに行きたくても行けないなどの理由で便意を我慢することで、便意は消失してしまいます。

便意が消失することで、排便されなかった便が直腸付近に溜まってしまいます。溜まった便は硬便になりやすく、排便があっても残便感を伴ってしまうことがあります。

便意の我慢を繰り返していると、便意そのものを感じにくくなってしまうため、便意を感じたらトイレに行けるように、排便習慣をつけておきましょう。

腹筋の衰え

トイレで排便する際には努責(いきみ)が行われ、腹圧をあげることで便が排泄されます。ここで腹筋の力が必要になってきます。

腹筋が衰えてしまうと、排便時に力がうまく入らず、肛門から便を押し出そうという力が弱くなってしまうため、排泄が困難になりがちです。

残便感がある便秘を解消する方法

不快な残便感に悩む方は、以下の対処法を試してみると良いでしょう。便秘の予防効果にも期待ができるので、普段から要点をしっかりと確認することが大切です。

水分をしっかり摂る

便を作ったり、軟らかくしたりするためには水分が必要です。普段からしっかりと水分補給をして、体が脱水状態にならないようにしましょう。

水分は一気に摂るのではなく、こまめに摂るのが望ましいです。なぜなら、体が保持できる水分量は決まっていて、水分が足りないところに一気に大量に供給されても、余剰な水分は尿として排泄されてしまうからです。

体は体温維持のために水分を汗として放出していたり、呼吸で水分を失っていたりします。水分は徐々に失われているため、こまめな水分補給を心がけましょう。

酸化マグネシウムの便秘薬を試してみる

硬便による便秘や残便感を改善したい方は、非刺激性の便秘薬を試してみるのも良いでしょう。

「酸化マグネシウム」は非刺激性の便秘薬で、お腹が痛くなりにくく、クセになりにくいのが特徴です。お薬の成分が大腸まで送達されたときに、腸管内で水分を引き寄せてくれるように働くので、硬い便を柔らかくする効果が期待できます。

「酸化マグネシウム」は妊婦や高齢者、5歳以上の子どもも服用できますが、初めて服用する場合は、あらかじめ薬剤師や登録販売者に相談するようにしましょう。

排便リズムを整える

排便リズムをある程度一定にしておくと、排便する時間帯が1日のなかで把握しやすくなります。便意を感じやすい時間帯は、トイレに気軽に行け、リラックスして排便ができるように備えておきましょう。

便意が起こりやすいのは、起床後から朝食後までの時間帯が多いといわれています。なぜなら、起床時はお腹が空っぽの状態で、朝食をとって胃に固形物が入ってくると、胃や大腸の働きが活発になるためです。また、寝起きに冷たい水を飲むだけでも、胃-腸の反射が起こって腸が動きやすいためです。

そのため、この時間帯は排便のゴールデンタイムと心得て、毎日同じ時間帯にトイレに行くなどして排便リズムを一定にしていくと良いでしょう。

排便に適した姿勢をとる

排便時には便がスムーズに通過する姿勢をとりましょう。洋式トイレが各家庭や公共施設に普及していますが、実はこの便座に座ったときの姿勢が、糞便にとっては直腸から肛門までを通過しにくい姿勢になってしまっています。

下図のように、洋式トイレの便座に座ったときにはやや前かがみになり、ひざの位置をおへその高さにするようにしましょう。ひざの位置を上げるためには、かかとをあげたり、排便補助台座を利用したりすると良いでしょう。

【図】理想的な排便姿勢

適度な運動をする

体を動かすことで腸の動きが活発になり、便が出やすくなります。

また、腹筋まわりを鍛えると、便を押し出す力をかけやすくなります。普段から無理のない範囲で腹筋を意識した運動を取り入れるようにしましょう。

残便感のある便秘は生活習慣を見直して不快感から解放されよう

排便してもすっきりしない残便感は不快感が伴います。残便感のある便秘は機能性便秘である場合が多く、硬便(水分の不足)や便意の鈍化、便を排出する力が低下しているのが原因です。

今回紹介した解消方法を試して、排便リズムを整えてみてください。硬便が続いて不快な方は酸化マグネシウムの便秘薬を試してみるのも解消法の1つです。

解消方法を試してみても残便感の症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

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POINT 1 お腹が痛くなるにくい。 POINT 1 お腹が痛くなるにくい。
POINT 2 クセになりにくい。 POINT 2 クセになりにくい。