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VOL.141 【医師監修】浣腸を使うときの体勢は?使い方や使用する場所、注意点も解説

薬液の効果で腸管に刺激を与え、さらに便を柔らかくして排便を促す浣腸。頑固な便秘に悩み、浣腸の使用を検討している方の中には、どのような体勢で薬液を注入すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、浣腸を使うときの体勢や使い方、使う場所、注意点をまとめて解説します。浣腸以外で便秘を改善する方法も紹介するので、あわせてチェックしてみてください。

浣腸の仕組みと使い方

浣腸は、水とグリセリンを主成分とする薬剤です。使用時は先端を肛門に挿入し、説明書の指示に従って適正量の薬液を注入します。薬液が浸透圧の作用で腸壁の水分を吸引し、腸壁に刺激を与えて排泄を促す仕組みです。

浣腸は常温でも使用できますが、事前に湯煎で人肌程度に温めておくと、注入時の冷たさがやわらぎます。注入後は肛門をティッシュペーパーや脱脂綿などで押さえ、3〜10分程度待機し、十分に便意が強まってから排便しましょう。

浣腸をするときの適切な体勢は?

浣腸は、布団などに横になった状態で、体の左側を下にして行ってください。浣腸の種類にもよりますが、洋式トイレに座って行う方法もあります。座って行うべきではない浣腸もあるため、使用前に確認しましょう。

洋式トイレに座って行う際は、お尻を拭くときと同じく手を前または後ろから回して、先端を肛門に挿入しましょう。手を後ろから回す場合は、両膝を曲げて少し腰を浮かせた状態になります。

挿入時に抵抗を感じたら、無理に入れようとせず、いったん先端を抜いてやり直しましょう。使用時は、先端にワセリンやオリーブオイルなどを塗っておくと、スムーズに挿入しやすくなります。

浣腸をするときの適切な場所は?

浣腸の使用後は急激に便意を催す可能性があるため、トイレにすぐに行ける場所で行うと良いでしょう。

心配な場合は、はじめから洋式トイレに座った状態で行うのも1つの方法です。

浣腸を使う際の注意点

浣腸の使い方を誤ると、効果が出なかったり、腸壁を傷つけたりするリスクがあります。ここでは、浣腸を安全に使うための注意点を3つ見ていきましょう。

立った体勢で使用しない

立った状態での浣腸の使用は避けてください。立った状態で挿入すると、浣腸の先端が腸壁に当たりやすくなり、直腸を傷つけるリスクがあります。

浣腸は、体の左側を下にして横になるか、洋式トイレに座った体勢で使用してください。座って使用するのが適切ではない浣腸もあるため、必ず確認してから行いましょう。

使用に不安がある方は医師に相談する

浣腸の使用に不安を感じる方は、事前に医師に相談してください。持病がある方や妊娠・授乳中の方、ほかに薬を飲んでいる方、痔や腸出血の症状がある方、薬や食べ物でアレルギー症状が出たことがある方など、人によっては浣腸の使用が推奨されない場合があります。

製品の説明書をよく読んで少しでも使用に懸念がある方は、事前に医療機関を受診し、使用可否を相談しましょう。

浣腸は常用しない

慢性的な便秘に悩んでいる場合でも、浣腸は常用しないよう注意してください。浣腸を常用すると、直腸や肛門の働きが弱まるリスクがあります。

浣腸しなければ排便できないほどの便秘が続く際は、医療機関で治療を受けたり生活習慣を整えたりして、便秘改善に取り組むことが大切です。

浣腸以外で便秘を解消する方法

頑固な便秘が続く場合は、浣腸以外の便秘解消法も試してみてください。運動や食事などの生活習慣を変えれば、薬を使わずに便秘を改善できる可能性もあります。

ここでは、浣腸以外で便秘を解消する方法を5つ紹介します。

便意を感じたら我慢せずトイレに行く

少しでも便意を感じたら、我慢せず早めにトイレに行くことを心がけましょう。便意を我慢する習慣がつくと、排便反射が低下し、便通が乱れる原因になります。

朝食後など排便しやすい時間帯に毎日トイレに座る習慣をつけると、トイレに行けないタイミングで急に便意を催すリスクも抑えやすくなります。

水分をこまめに摂取する

便秘になりやすい方は、普段からこまめに水分を摂取しましょう。水分が少なく硬い便はスムーズに排泄しにくく、便秘の原因になる場合があります。頑固な便秘の改善を目指すには、1日2リットルを目安に、意識的に水分を摂ることが重要です。

適度に運動をする

便秘解消には、適度な運動習慣をつけることも大切です。毎日適度に運動することで、腸の蠕動運動が促され、正常なお通じにつながりやすくなります。

腸の蠕動運動を促すには、1週間に150〜300分程度を目安に、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を取り入れてみてください。また、腹筋運動でお腹の筋肉を鍛えれば、排便時に腸に圧力をかけやすくなり、便通改善に役立ちます。

運動によるストレス軽減が、便秘解消につながる可能性もあります。便秘を改善するには、毎日短時間でも良いので運動をする習慣をつけましょう。

食物繊維を多めに摂る

食事では、食物繊維を多めに摂取することを意識してみてください。食物繊維には、便のかさを増やし、柔らかくして排便しやすくする効果が期待できます。

食物繊維は、穀物や芋類、果物、生野菜、きのこ類、藻類などの食材に豊富に含まれています。ただし正常な排便習慣を整えるには、食物繊維だけを多く摂るのではなく、普段から栄養バランスの整った食事をすることがポイントです。

酸化マグネシウム便秘薬を服用する

酸化マグネシウム便秘薬の服用も検討してみてください。酸化マグネシウム便秘薬は、便を柔らかくして排出しやすくする効果が期待できる薬剤です。

浣腸より効果が比較的ゆるやかで、大量の水と一緒に服用すると1〜2時間程度で便意をもよおす傾向があります。酸化マグネシウム便秘薬はクセになりにくくお腹の痛みも出にくいことが特徴です。

浣腸を正しい体勢で使い、頑固な便秘を解消しよう

浣腸は、トイレに近い場所で左側を下にして横になった状態で行いましょう。横になった状態で挿入しにくい場合は、洋式トイレに座って使用する方法もあります。立った状態で使用すると、先端が直腸を傷つけるリスクがあるため注意が必要です。

また慢性的な便秘に悩んでいる方でも、浣腸の常用は避けてください。浣腸を常用すると、直腸や肛門の働きが弱まる可能性があります。

浣腸をしなければ出ないほどの便秘が続く場合は、医療機関で治療を受けたり生活習慣を変えたりして、便秘の根本的な改善を目指すことが大切です。

白畑医師よりコメント
便秘に悩む方は日常生活改善・適切な食事・運動を心がけ場合により投薬や医療機関を受診しましょう。また便秘解消の1つとして浣腸も有効ですが適切な使い方や体勢を熟知し便秘予防に取り組んでいきましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。

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