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VOL.27 【医師監修】便秘の治療に手術の必要性あり⁉ 便秘の原因とさまざまな治療法

便秘になると、食事の内容に気を付けたり、 意識して体を動かしたりといった生活習慣の改善によって解消を図る人が多いのではないでしょうか。しかし、こうした方法を試みても、便秘が改善されない場合、疾患が原因となっている可能性があり、治療のために手術が必要となってくるケースもあるようです。そこで今回は、便秘の原因とさまざまな治療法を解説します。

便秘にもタイプがある! 種類ごとの特徴とその原因

「世間でよくいわれる便秘解消法を試しても、一向に改善しない……」と悩んでいる声を耳にすることがありますが、その場合、自身の便秘に合う解消法を選べていない可能性が考えられます。というのも、便秘には原因に応じてタイプがあり、その原因に合った対策を取らなければ根本的な解決ができないためです。まずは便秘の種類と、その原因をきちんと理解しましょう。
便秘には大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」の2種類があります。「機能性便秘」は大腸の形態的変化をともなわない便秘で、多くの場合、食生活の乱れや運動不足などによって引き起こされているため、生活習慣を改善することで解決できると考えられています。一方、「器質性便秘」は大腸の形態的変化をともなう便秘なので、便秘を解消するためには、形態的変化の要因である疾患を治療する必要があります。

●機能性便秘

排便回数減少型

大腸の動きが鈍って便の輸送が滞ったり、便の量が減って大腸に便が過剰にたまる便秘です。 主な要因は、肉中心で野菜が不足するなど食生活の乱れ、過度なダイエットによる食事制限、ストレスによる大腸のけいれんのほか、向精神薬や抗コリン薬といった薬剤の副作用によるものもあります。

排便困難型

大腸は問題なく動いているのに、便を排出する機能が落ちて直腸に便がたまる便秘です。 主な要因は、運動不足や加齢などによる腹圧の低下のほか、便意を我慢することで直腸が鈍感になること、硬便になることなどが挙げられます。


●器質性便秘
疾患により消化器官が変形し、物理的に便の通過が困難になるために起こる便秘です。 原因となる主な疾患は、直腸が肛門から脱出する直腸脱、直腸が内側に織り込まれて肛門に入り込む直腸重積、直腸が膣側に脱出する女性特有の直腸瘤といった比較的軽度のものから、大腸がんや腹腔内腫瘍などの腫瘍性疾患、消化管内のいたるところに炎症が起こるクローン病や、血流障害による虚血性大腸炎といった重篤なものまでさまざまです。また、過去に受けた手術の影響や、がんによる組織変化などが原因で起きる腸閉塞といったケースもあります。

種類によって異なる、便秘の治療法

ひと言で便秘といっても、「機能性便秘」と「器質性便秘」では性質も原因も大きく異なるため、それぞれに適した治療が必要になります。なかには、手術でなければ完治しないタイプの便秘もあるため、楽観は禁物。それぞれの原因を把握し、適切に対処しましょう。


●機能性便秘
・生活習慣を見直す
便秘の多くは機能性便秘のため、生活習慣を見直すことが便秘解消の基本です。まずは鈍った便意を取り戻すため、毎朝ゆっくりトイレに入る時間を確保し、排便リズムを整えましょう。また、スムーズに排出できる良質な便を作るためには、食事を毎日3食しっかり食べることも大切です。その際、根菜や海藻など、食物繊維が豊富な食材を積極的に取ると、腸内の水分を吸収して便を柔らかくしたり、便のカサを増やして腸を刺激する効果が期待できます。ほかにも、乳酸菌は善玉菌のエサになることで腸内環境を整える働きがあるため、継続的に取るとよいでしょう。


・適度な運動を行う
適度な運動は大腸のぜん動運動を促すだけでなく、ストレスの発散にもなります。大腸は、自律神経によってコントロールされており、リラックスしている時ほど動きが良くなると考えられているため、ストレスの発散は便秘解消にもつながるようです。 仕事の合間や就寝前など、隙間時間に軽くストレッチするだけでもじわじわ効果が現れてくるので、毎日継続して行いましょう。


・便秘薬の服用
便秘が続くとイライラし、そのストレスから自律神経がさらに乱れ、便秘がますます悪化するといった悪循環に陥ってしまう場合があります。こういった悪循環を断ち切るために、便秘薬を使ってたまった便を出すというのも一つの手です。
便秘薬には、腸に刺激を与えて腸の動きを促す「刺激性」と、便を柔らかくして排出しやすくする「非刺激性」があります。自己判断で安易に服用すると、腹痛や下痢などつらい症状が出る場合もあるため、できれば消化器内科や肛門科などで処方してもらうようにしましょう。市販薬を利用する場合は、必ず薬剤師に相談し、症状にあったものを選ぶことが大切です。
用法・用量を守ったうえで、数日服用しても便秘が改善しない場合は服用を中止し、医師に相談するようにしましょう。


●器質性便秘
・疾患の治療が優先
器質性便秘の場合、便秘の改善よりも、その要因となる疾患の治療が優先です。便秘のほかに、出血や激しい腹痛、肛門に凹凸があるなど、気になる症状がみられる場合は早めに消化器内科や肛門科を受診し、検査を受けましょう。大腸がんやクローン病など、重篤な疾患を見落とさないためにも、放置してはなりません。


・手術
直腸瘤や直腸脱、直腸重積といった疾患の場合、まずは緩下剤を内服して様子をみます。それでも病状が改善されない場合には、直腸を手術することとなりますが、開腹する必要がない手術の場合には、体への負担が軽く、回復も早いとされています。

まとめ

便秘にはさまざまな原因がありますが、その多くは生活習慣の乱れから起こる「機能性便秘」のため、規則正しい生活を心がけることで改善されます。しかしなかには、疾患によって腸が変形することで起こる「器質性便秘」もあり、場合によっては手術も必要となるため、「たかが便秘」と侮ってはいけません。気になる症状があれば早めに専門医を受診し、適切な治療を受けましょう。


●木村医師よりコメント
年齢とともに、便秘で悩む方は増える傾向にあります。そのほとんどが、「機能性便秘」と呼ばれるものですが、中には、非常に重い病気が隠れていることもあります。ですので、これまでまったく便秘とは無縁だったのに、急に悩まされるようになったというような場合には、積極的に、医療機関に相談することをお勧めいたします。

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POINT 1 お腹が痛くなるにくい。 POINT 1 お腹が痛くなるにくい。
POINT 2 クセになりにくい。 POINT 2 クセになりにくい。