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VOL.40 【医師監修】緑茶が便秘解消をサポート⁉ 緑茶に含まれる成分を知ろう

食事の後やほっとひと息つきたい時、多くの人が好んで飲んでいる緑茶。すがすがしい香りや、まろやかな味わいが魅力的な飲み物ですが、最近ではその成分にも注目が集まっています。実は緑茶には、健康への効果が期待できる成分が豊富で、近年の研究では、便秘の解消にも有効であることが分かっているのです。今回はそんな緑茶の成分と、便秘解消の効果について解説します。

健康促進に効果を発揮する、緑茶の成分と効能

緑茶とは、日本茶全般の総称です。日本茶には、煎茶、玉露、かぶせ茶、ほうじ茶などがありますが、これらは栽培法が異なるだけで、すべて緑茶になるのです。そして緑茶にはさまざまな健康促進が期待できる成分が豊富に含まれています。ここでは代表的なものについて、その特徴や効能などを解説します。

●多方面から健康を促進する茶カテキン
緑茶に含まれるポリフェノールの一種で、主に緑茶の渋みを出しています。緑茶に期待される健康促進効果の多くは、この茶カテキンの効能によってもたらされていると考えられています。茶カテキンの効能には、以下のものがあります。

  • ・抗酸化作用…体内の細胞を老化させる活性酸素を除去
  • ・抗ウイルス作用…インフルエンザウイルスなどの病原体の細胞内での増殖を抑える
  • ・抗ガン作用…ガン細胞の突然変異や増殖を抑える
  • ・コレステロール低下作用…動脈硬化を引き起こす悪玉コレステロールの排出を促す
  • ・血糖値上昇抑制作用…腸からの糖の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑制
  • ・抗菌・殺菌作用…食中毒の原因菌や、口腔内の虫歯菌の増殖を抑制
  • ・体脂肪の代謝促進作用…体脂肪の減少を促し、肥満を予防する

●覚醒&利尿作用のあるカフェイン
主に緑茶の苦みに関わるカフェインは、脳の中枢神経を興奮させる覚醒作用があるため、眠気防止に有効と考えられています。そのほか、仕事や勉強などの頭を使う作業時や運動時に、その効率性を高める効果も期待できます。さらに、体内の余分な水分の排出を促す利尿作用や、心臓の筋肉の収縮力を強化して、全身の血液循環を促す強心作用もあります。

●美肌の味方、ビタミンC
緑茶には、肌の弾力や水分量を向上させ、紫外線によるシミ予防にも効果が期待されるビタミンCも豊富に含まれています。一般的にビタミンCは熱に弱いとされていますが、緑茶に含まれるビタミンCは、カテキンの作用によって熱に強くなっています。そのため、80℃の熱湯が注がれても壊れることなく、効率的に摂取できるといわれています。

●リラックス効果のあるテアニン
アミノ酸の一種で、緑茶のうまみや甘みのもととなる成分です。人はリラックスした状態の時、α派という脳波を発するといわれていますが、ある研究によると、テアニンを摂取することで、このα派の発生が増えると報告されています。またテアニンは、脳神経細胞に働きかけ、神経を穏やかにしてくれる働きもあるようです。テアニンによるリラックス効果と、神経を穏やかにする働きかけの相乗効果により、入眠をスムーズにしたり、更年期やPMS(月経前症候群)といった女性特有のつらい症状を緩和したりするといわれています。

●脂肪の吸収と血圧の上昇を抑制する茶サポニン
サポニンは植物の根や葉などに含まれている成分で、苦みやエグみのもととなっています。緑茶の苦みを引き出しているのが、茶サポニンです。茶サポニンは、腸内での脂肪の吸収を抑制し、さらに、血圧の上昇を抑える作用があります。含有量は微量ですが、毎日継続して飲むことで、肥満予防や生活習慣病の改善に役立つと考えられています。また、抗炎症効果や抗菌作用、抗アレルギー作用もあり、免疫力の低下によって引き起こされるアレルギー症状や疾患の緩和にも有効といえるでしょう。

●虫歯予防に有効なフッ素
溶けた歯の修復を促す効果が期待されるフッ素は、歯磨き粉の成分として有名ですが、実は緑茶にも含まれています。歯の表面はエナメル質で覆われていますが、飲食するたびに、飲食物に含まれた酸によって溶かされてしまいます。通常、溶かされたエナメル質は唾液によって自然に修復されるものの、お菓子や糖分の多い飲み物を頻繁に摂取していると、唾液による歯の修復が追い付かず、虫歯になる可能性があるのです。そのため、フッ素を含む緑茶を飲むことは、虫歯予防につながるといえるでしょう。

整腸効果のある茶カテキンが、便秘解消をサポート

緑茶には健康に効果を発揮する、さまざまな成分が含まれていることが分かりました。中でも茶カテキンが有する効能は群を抜いて多く、高い健康促進効果が期待できそうです。さらに近年の研究では、便秘の解消にも有効との報告もあります。
というのも、便秘を解消するには腸内環境を良好な状態へ整えることが大切ですが、緑茶に含まれる茶カテキンには、それを促す作用があると考えられているのです。良好な腸内環境とは、腸内細菌のバランスがよい状態をいいます。代表的な腸内細菌には、腸の働きを促す善玉菌と、腸の働きを低下させる悪玉菌がいますが、このうち悪玉菌よりも善玉菌が多い状態が理想的なバランスだと考えられています。
先に解説した通り、緑茶の茶カテキンには殺菌作用があります。そのため、腸内に到達した茶カテキンは、悪玉菌に対して強い殺菌力を発揮し、悪玉菌の増殖を防いでくれるのです。その一方で、善玉菌に対しては殺菌作用が働かず、逆に、増殖を促すよう作用することが分かっています。つまり茶カテキンは、悪玉菌と善玉菌を区別した上で、それぞれに作用し腸内環境を整えているのです。なお、ある研究によると、緑茶の茶カテキンを投与した人は、便の量も、腸内の善玉菌の量も増えたという結果が報告されています。このことからも、緑茶の茶カテキンには腸内環境を整える作用があり、便秘の解消に効果が期待できると考えられます。

●便秘解消に効果的な緑茶の飲み方
便秘解消のために緑茶を飲む場合、茶カテキンがしっかり含まれた状態で飲むことが大切です。茶カテキンは、急須で茶葉から淹れることで、しっかり抽出されます。ただし茶カテキンは低温だと抽出されにくいため、80~85℃程度の熱いお湯を使ってください。茶葉は、高級なものである必要はありません。一般的な煎茶や番茶の中から、好みのものを選ぶとよいでしょう。
なお、市販されているペットボトルの緑茶には、茶カテキンは微量しか含まれていません。便秘解消のためには、面倒でも急須で淹れた緑茶を飲むようにしましょう。

まとめ

緑茶に含まれる成分にはさまざまな効能が期待されており、毎日飲むことで、食中毒や生活習慣病を予防したり、気持ちを穏やかにしたりと、数多くの恩恵が得られることが分かりました。中でも茶カテキンは、善玉菌と悪玉菌を区別し、効率的に腸内環境を整えてくれる、優れた成分であるといえます。毎日、緑茶を飲んで腸内を良好な状態に整え、便秘知らずの体を目指しましょう。


木村医師よりコメント
昔から日本で親しまれている緑茶ですが、医学的な研究が進む中、緑茶の医学的効果についても検証されてきました。毎日充分な水分を確保することが大切であるということは周知の通りです。日々、口にする飲料も自分の身体を作る大切な要素のひとつになります。普段から飲む飲料にどのような効果・効能があるのか、頭に留めておくのも健康を維持することにつながるでしょう。
監修者

医師・木村眞樹子
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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