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VOL.43 【医師監修】糖質制限が便秘の原因に? 解消のカギを握る食物繊維を上手に摂取しよう

糖質を多く含む米やパン、麺類などの主食を抜いて、糖質の多い食事を避ける話題の食事療法「糖質制限」。主食を抜くだけと手軽なため続けやすいのがメリットですが、「糖質制限を始めてから、すっきり便が出なくなった」との声も多く耳にします。糖質制限をすると、なぜ便秘気味になるのでしょうか。今回は、糖質制限と便秘の関係性や、解消法について解説します。

糖質制限で便秘になる理由

糖質制限とは、エネルギー源となる3大栄養素、たんぱく質・脂質・糖質(炭水化物)のうち、糖質の摂取量を減らすことで肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防・改善しようとする食事療法です。糖質はさまざまな食べ物に含まれていますが、特に多く含まれている米やパン、麺類といった主食となる炭水化物の摂取を控えるやり方が手軽なため、実践する人が多くみられます。しかしながら、主食から糖質を制限することによって、便秘を引き起こすケースがあるようです。その原因として、以下のことが考えられています。

●食物繊維の不足
炭水化物の主な成分は糖質ですが、実は、食物繊維も含まれています。例えば、日本人の主食である米には、100gあたり0.5gの食物繊維が含まれているため、日本人にとって炭水化物は貴重な食物繊維源でもあるのです。この食物繊維は排出しやすい便をつくるために欠かせない栄養素といわれています。糖質制限によって炭水化物の摂取がなくなると食物繊維も不足してしまうので、便秘が引き起こされると考えられています。

●水分量の不足
米は水で炊き、麺類はお湯でゆでるなど、主食には多くの水分が含まれています。飲食を通して摂取する水分が不足すると、便に含まれる水分量も減るため、便は硬くなり、排出しにくい状態になってしまいます。糖質制限によって主食を抜くことで、無意識のうちに水分不足を招くことになり、便秘になってしまうケースがあるようです。

●食事内容の変化にともなう腸内環境の悪化
糖質制限は、糖質を多く含む主食を抜く方法が主流です。一方で、主菜や副菜に対しては特に制限はありません。そのため無意識のうちに、主食を食べないことで生じる“物足りなさ”を主菜で補うケースが多いようです。主菜は肉料理や魚料理が主になりますが、それらの摂取量が増えると、動物性たんぱく質や脂質の摂取量が増えてしまいます。動物性たんぱく質や脂質は、腸内の便の腐敗を促す悪玉菌を増やす原因となるため、腸内環境を悪化させ、便秘を引き起こすことがあるようです。
上記の中でも特に大きな要因となるのは、食物繊維の不足と考えられています。このことについて、食物繊維と便秘の関係から、より詳しくみていきましょう。


食物繊維と便秘の関係

先に解説した通り、食物繊維は排出しやすい便をつくる大切な栄養素です。これ以外にも便通を促す重要な役割を担っていますが、それらを担うのが以下で紹介する2種類の食物繊維です。

・水溶性食物繊維
水に溶けやすい性質の食物繊維。腸の働きをよくする善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす。

・不溶性食物繊維
水に溶けにくい性質の食物繊維。便に水分をため込み、排出しやすい状態に整えてくれる。また、便に水分を含ませて便のカサを増し、腸を刺激することで、便を排出する腸のぜんどう運動を促す。
このように、2種類の食物繊維はそれぞれ便と腸の双方に働きかけて便通を促してくれるため、便秘の予防・解消にとっては欠かせない成分といえます。それでは、糖質制限による食物繊維不足を解消するためには、どのような食材をどれくらいの量摂取することで補うことができるのでしょうか。


すっきりとした便通を得るために。1日に必要な食物繊維の量

●1日に必要な食物繊維の量
現代の日本人の食物繊維摂取量は、1日当たり14g前後といわれています。しかし、厚生労働省が推奨している食物繊維の摂取目標は、成人女性は1日当たり18g以上、成人男性は1日当たり20g以上とされているため、現代人はただでさえ食物繊維が不足しやすい傾向にあるようです。このうえ、糖質制限によって主食から食物繊維が取れなくなってしまうと、ますます便秘を引き起こしやすくなってしまいます。
糖質制限しながらも食物繊維不足をしっかり摂取するには、低糖質の野菜や豆・豆製品から食物繊維を摂取する方法が有効です。以下で食物繊維が豊富な野菜と豆・豆製品を紹介するので、食事に取り入れてみましょう。

◎食物繊維が豊富な野菜(/食物繊維量)
・切り干し大根 1食(10g)/21.3g
・ごぼう 1本(180g)/5.7g
・ほうれん草 1株(20g)/2.8g
・サニーレタス 1枚(30g)/2.0g

◎食物繊維が豊富な豆・豆製品(/食物繊維量)
・いんげん豆 1食分(40g)/13.6g
・大豆 1パック(100g)/8.5g
・納豆 1パック(30~50g)/6.7g
・油揚げ 1枚(20~30g)/1.3g

●糖質制限しながらでも食物繊維を摂取する方法
糖質制限しながら食物繊維をしっかり摂取するには、上で紹介した食物繊維が豊富な野菜や豆・豆類を積極的に食べることが大切です。しかしながら、サラダなどの生野菜はカサがあるため、たくさんの量を摂取するのは難しいもの。また、糖質制限を長く続けようとした場合、飽きがこないように食べ方を工夫することも大切です。これらを踏まえ、糖質制限をしながら食物繊維を摂取するオススメの方法を紹介します。

・野菜は加熱調理して摂取する
野菜から食物繊維を取る際は、加熱調理でカサを減らすと、たくさんの量が食べられます。蒸して温野菜にしたり、煮物やおひたしなどにしたりするとよいでしょう。

・玄米や全粒粉パンなど、低糖質の主食を上手に利用
糖質制限では主食を抜くのが基本ですが、玄米や全粒粉のパンは低糖質なため、食べてもよいと考えられています。また、玄米や全粒粉のパンには食物繊維も豊富なので、食物繊維不足の解消にも適した食べ物です。これらを上手にメニューに加えるのもオススメです。

・食物繊維は水溶性・不溶性をバランスよく取る
先に解説した通り、食物繊維には水溶性と不溶性があり、それぞれが便通を促す重要な役割を果たしています。食物繊維を摂取する際は、水溶性・不溶性をバランスよく摂取しましょう。便秘解消に理想的なバランスは、水溶性と不溶性を1対2の割合で摂取することといわれています。水溶性食物繊維は野菜や海草類、不溶性食物繊維は豆・豆製品にそれぞれ多く含まれているので、バランスを意識しながら献立を工夫してみましょう。

まとめ

糖質制限をする場合、多くの人は美容や健康の促進が目的のはず。しかし、糖質制限をすることで便秘になってしまっては、肌荒れやお腹の張りなどの不調を引き起こし、本来の目的から遠ざかってしまいます。糖質制限時の便秘解消のポイントは、食物繊維の摂取によるところが大きいです。今回紹介した内容を参考に、糖質制限を成功させてくださいね。


木村医師よりコメント
糖質制限によるダイエットが話題になり、日頃から炭水化物を制限する「糖質制限」を行っている方もいらっしゃるでしょう。食生活が変わると、便秘など体調の悪さを感じることもあるかもしれません。糖質制限によって、食物線維の摂取が減ってしまうなど栄養バランスの偏りも不調の原因です。食事制限を行う場合には、無理せず自分のペースで身体に合った内容の食事を考えてみてください。
監修者

医師・木村眞樹子
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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