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VOL.44 【医師監修】猫が便秘になったらどうしたらいい? 症状や対処法を解説

便秘は人間だけでなく他の動物にも起こり得ますが、中でも猫は便秘になりやすい動物だといわれています。しかも猫の便秘を放置しておくと、最悪の場合手術が必要になるケースもあるのだそう。猫の健康を守るためには、飼い主が不調をいち早く感じ取ることが大切です。そこで今回は、猫の便秘の原因や症状、予防・対処法などを紹介します。

便秘時の猫にみられる症状

便秘とは、腸内に便が溜まってスッキリと排出できなくなっている状態です。猫の場合、次のような症状がみられたら、便秘になっている可能性が考えられます。

・丸2日以上排便がない
排便の頻度や量には個体差がありますが、一般的に「丸2日以上排便がない」場合は便秘の可能性が高いと考えられます。

・排便回数が多すぎる、便の切れが悪い
排便はあるものの、1日に何度も排便をしたり、便の切れが悪くなったりしている場合も便秘の可能性があります。これは一度で便をスッキリと排出できないことで、腸内に便が残っているために起こると考えられます。

・力んでいるのに便が出ない
便秘によって腸内に大量の便が詰まっている場合、普段より長く力んでいるのになかなか便が出ないことがあります。また、排便時に痛みを感じて鳴き声をあげることもあるようです。

・便が硬くて乾燥している(コロコロしている)
健康な猫の便は十分な水分量を含んでいるためツヤがありますが、便秘になると便の水分が腸に吸収されるため、表面が乾燥した硬い便が出るようになります。これには食事の内容が影響している場合もありますが、硬くて短いコロコロとした便が何日も続く場合は便秘の可能性が高いでしょう。

猫が便秘になる原因

一般的に、猫は便秘になりやすい動物といわれることが多いですが、その原因には猫特有の性質も関係しているようです。ここでは、猫が便秘になる原因のうち、代表的なものを紹介します。

・水分不足
柔らかく、排出しやすい便を作るためには多くの水分が必要ですが、猫はもともと水をあまり飲まない動物なので、水分が不足しがちです。そのため便は、硬くて排便しにくい状態になりやすく、便秘を引き起こすことがあるようです。

・ストレス
キレイ好きで環境の変化に敏感な猫は、トイレの場所が変わったり、汚れが残っていたりするだけでもストレスを感じることがあります。こうしたストレスを感じると、排便を我慢してしまうことが少なくありません。便意を我慢し続けると腸内に便が詰まって排出しにくくなったり、便意が起こりにくくなったりして便秘が慢性化する原因になります。

・腸に毛玉が詰まる
猫は毛繕い(グルーミング)が好きな動物です。この時、舌に付いた毛を飲み込むことがありますが、少量の毛であれば大抵の猫は口から吐き出したり、便と一緒に排出したりできます。しかし、毛を大量に飲み込んでしまった場合や、毛を吐き出すのが苦手な猫の場合は、飲み込んだ毛が胃腸で毛玉になり、腸に詰まって便秘を引き起こすことがあるようです。

・腸の機能低下
加齢によって腸の機能が低下すると、便を押し出すための腸の収縮運動(ぜんどう運動)が弱まり、便秘になる可能性が考えられます。

・腸や肛門の異常、病気
腸内に腫瘍やポリープができると、便が腸内に滞留して便秘が起こります。また、肛門周辺の炎症や、脱肛などが原因で痛みを感じると、排便を恐れて便秘になることもあるようです。

・骨や神経の異常
骨盤や四肢を骨折した場合、排便時に痛みを感じて便意を我慢し、便秘になるケースが考えられます。また、脊髄疾患、椎間板疾患をはじめとした神経の問題で排便障害が起きることもあるようです。

・内服薬の影響
治療用に服薬している薬の影響で便秘が起こる可能性も考えられます。例えば、利尿剤の作用で体内の水分が不足すると、腸は便に含まれる水分を吸収して体内の水分を補おうとします。しかしその一方で、水分を奪われた便は硬くなってしまうので、排便しにくくなって便秘になることがあるようです。

猫の便秘の予防・解消法

猫の便秘を予防・解消するために自宅でできる方法を3つ紹介します。

・食事内容を見直す
まずは猫が積極的に水分を取れるように環境や食事内容を工夫することが大切です。飲み水をこまめに入れ替えたり、水入れを置く場所を増やしたりして、猫が水を飲みやすい環境を整えてください。それでも水をあまり飲まない猫には、猫用のスープを与えたり、水分を多く含んだウエットフードを与えたりするとよいでしょう。
腸内の毛玉の詰まりによる便秘を予防するためには、「猫草」を与えるのもオススメです。猫草は食物繊維を多く含んだイネ科の植物で、猫が飲み込んだ毛玉を吐き出しやすくする効果があると考えられています。ただし、猫は猫草を消化できないため、重度の便秘時に与えると、腸に詰まって便秘を悪化させる恐れもあります。与える際は猫の状態をよく見て、便秘時は控えるようにしてください。

・猫好みのトイレ環境に整える
猫が便意を我慢していたり、トイレを使ってくれなかったりする場合は、その猫が好むトイレ環境に変えてあげる必要があります。まずはトイレの汚れをしっかりと取り除くことが大切です。その上で、トイレの砂の種類を変えてみたり、トイレの場所を人目に触れない静かな場所へ移したりして、猫が落ち着く環境を探りましょう。

・ブラッシングをこまめに行う
毛玉による腸の詰まりを防ぐためには、飼い主がこまめにブラッシングをしてあげることも効果的です。ブラッシングによって余分な毛を取り除くことで、猫がグルーミングした時に飲み込む毛の量を減らすことができるでしょう。

放置せずに早めに病院へ行くことも大切

便秘の症状が何日も続く場合や、自宅で試した解消法に効果がない場合、また便に血が混ざっている場合などには医療機関を受診しましょう。病院では便秘の原因を診断した上で、浣腸や緩下薬の投与のほか、「摘便」という肛門から便をかき出す治療などが行われます。また診察の結果、肛門や直腸の炎症、骨盤の骨折などの痛みが原因で便意を我慢していることがわかった場合は、その痛みの原因である肛門や直腸の炎症、骨盤の骨折を治療することで便秘の改善を図ります。

病院へ行かずに便秘の猫を長期間放置していると、腸内に便がどんどん溜まってしまい、大腸の一部である結腸が巨大化する「巨大結腸症」になる恐れがあります。結腸内に溜まった便は硬くて大きな「糞石」になることがありますが、その場合、腸を切除する外科手術を行うこともあります。この巨大結腸症は、術後に再発する可能性もあるようです。

まとめ

猫は便秘をしやすい動物だといわれますが、それには「水分をあまり摂取しない」「グルーミングで飲み込んだ毛が腸へ詰まることがある」など、猫特有の性質も関係しているようです。猫が便秘になること自体は珍しいことではありませんが、便秘が重症化すると手術が必要になることもあります。飼い主の方は、猫の異変にいち早く気づき対処できるように、今回紹介した症状や予防・解消法を参考にしてください。


木村医師よりコメント
猫もヒトと同じように便秘になります。便秘になる原因も、水分の不足やストレスなど生活を見直すことで解消できるものから、病気が引き起こすものまで、さまざまです。
グルーミングで毛が腸管につまることが便秘の原因になるのは、猫に特徴的です。生活習慣で便秘を予防しながら日々の様子、便の様子を観察し、必要であれば医療機関を受診するようにしてください。
監修者

医師・木村眞樹子
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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