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VOL.47 【医師監修】体がだるい原因は便秘かも?放置する危険性や試してみたい解消法を紹介

便秘には急性便秘と慢性便秘があります。急性便秘は旅行や転勤といった環境の変化によるものです。これは環境に慣れれば自然と治ります。やっかいなのは慢性便秘。これは主に食生活や生活習慣によるものです。便秘が1週間以上続くと、お腹が張って苦しいばかりではなく、顔に吹き出物が現れ、イライラしたり、頭が痛くなったり、体がだるくなったりします。「たかが便秘」とバカにしてはいけません。便秘のメカニズムをよく理解したうえで、食事や運動をはじめとする生活習慣を見直していきましょう。

「体がだるい…」そのだるさは便秘が原因かもしれない

腸の働きが停滞すると、便秘をしやすくなったり、腸にガスが溜まって、お腹が張ったりします。また、お腹の不快感が脳に伝わってきて、気分が鬱々としたり、絶えずお腹を気にするようになります。さらに腸に老廃物が滞ってインドールやスカトール、アンモニアなどの有害物質が発生し、それが血流を介して全身に回っていきます。その結果、頭痛、肩こり、疲れやすさ、だるさ、蕁麻疹、口臭、体臭、肌荒れなどさまざまな症状が現れてきます。腸が有害物質に長期間さらされると、大腸がんの原因にもなります。

だるさ、疲労感以外も?便秘がもたらす症状

大腸内に長く便をためておくと有害物質が生成されます。それは悪玉菌の働きです。悪玉菌は食物のカスを分解してアンモニアや硫化水素など、悪臭を放つ有害物質を作ります。便秘をすると便やオナラが臭くなるのはそのためです。一方の善玉菌も食物のカスを分解しますが、乳酸や酢酸、酪酸など体に役立つ物質を作ります。また、便秘によって腸にガスがたまると、腸の内圧がガスによって高くなり、腸壁の一部が風船のように膨らみ、大腸憩室症を引き起こします。さらに、横行結腸にたまったガスが胃を押し上げることにより胃炎や逆流性食道炎の原因にもなります。

朝食後にすっきり排便があると気分も明るく元気が出ます。一方でお腹の中に便がある感覚なのに出ないなどの不快感は、気が晴れないですよね。便秘の人にしかわからない悩みです。便秘はメンタルに悪影響があります。慢性便秘症患者の過半数でうつ、不安などのスコアが、便秘でない人に比べて高いという報告があります。注意したいのは、便秘がメンタルに悪影響を与え、それがさらなる排便の不調を生じる悪循環です。便秘自体がストレスになりますので、正しい知識を持ち、正しく対処して便秘を気にしすぎないようにしましょう。

便秘は肌荒れをおこすひとつの原因でもある

本来なら規則的に出て行くはずの便が、腸の中にずっと留まっている状態は、体にとって大いに不自然なことです。出るべき便が出なければ、腸の中で悪玉菌が増えます。この悪玉菌は美肌の大敵。腸内環境が乱れるほどに、皮膚の新陳代謝も悪くなり、肌トラブル(肌荒れ、吹き出物)が出てきやすくなります。また便秘は消化機能も鈍らせてしまいます。胃の中に未消化物が残りやすくなり、胸焼け、げっぷ、逆流性食道炎などの原因になります。

もしかして便秘?便秘の定義とは

「便が毎日出ない」状態を便秘だと考えて悩んでいる人は多いことでしょう。しかし、便は毎日出なくても良いのです。毎日出そうとする必要もありません。便が出なくて困っているという人の中には、全く治療の必要がない人が少なくありません。もともと3日に一度、1週間に一度しか排泄が必要でない人もいます。また食べる量か少ない人は当然便も少なくなります。食物繊維の少ない、消化されやすい食事内容であれば便のかさも減ります。
したがって治療を要するかどうかは、その人自身の無症状時との比較が必要になります。腹痛や吐き気、お腹の張り、違和感などがなく、便秘が気にならなかった時の排便回数が「3日に一度」「1週間に一度」という人は、もともとそういう体質だと考えられます。無症状の時と比べて、変化がないのであれば、便が毎日出なくても、便の量が少なくても問題はありません。
しかし無症状時と比べて、便が硬くなっている、便の回数や量が明らかに減っている、肛門で便が出にくい、排便に時間がかかる、残便感があるという場合は、排泄ルートに何らかの異常が起きている可能性があります。

便秘にはさまざまな種類がある

便秘はその原因と症状により、いくつかのタイプに分類されます。一口に便秘といっても、「出ない状況」は同じではありません。まず、どれぐらい症状が続いているのかに注目してみましょう。

器質性の慢性便秘には大腸が狭められ、通りにくくなることで便秘となる狭窄性(大腸がん、クローン病、虚血性大腸炎など)の便秘と、大腸が狭くなっていない非狭窄性の便秘として排便回数が減少するもの(巨大結腸など)、排出が困難なもの(直腸瘤、直腸重積、巨大直腸、小腸瘤、S状結腸など)があります。
機能性の慢性便秘には、原因がはっきりしない特発性便秘、便秘型過敏性腸症候群(IBS)、代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病の結果起きる症候性便秘、向精神薬、抗コリン薬、オピオイド系薬などの副作用による薬剤性便秘があります。

便秘を放置する危険性

便秘と睡眠は、一見何の関係もなさそうですが、実は深いかかわりがあります。「慢性便秘症診療ガイドライン(日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編集)」でも、便秘の人に不眠者が多いと報告されています。睡眠時間が不足したり、熟睡できず途中で目が覚めてしまうなど、睡眠の質が低下すると、自律神経のバランスが乱れます。自律神経は交感神経と副交感神経から成っていて、通常、睡眠時は副交感神経が優位になります。副交感神経は消化管の働きも支配しているので、その活動が乱れると腸の蠕動運動も低下し、便秘になりやすいのです。

通常、便が直腸に留まると直腸壁が伸展し、直腸内壁にある圧受容器が便塊を感知し、便意を生じます。その結果、排便が促され腸管内腔が空虚になるという一連のサイクルにより定期的な排便が行われています。しかし、このサイクルがうまく回らなくなってしまうと、直腸内に便が留まり、直腸伸展がずっと続いた状態になります。腸管内に長時間停滞すると便は硬くなり、便塊による閉塞により糞便塞栓を起こし、支持組織の脆弱化とともに排泄時のいきみが強くなることで、直腸粘膜脱、直腸瘤などを合併します。また高齢者では長時間の臥床、基礎疾患などにより、宿便潰瘍、虚血性腸炎、閉塞性腸炎などを発症し、出血、消化管穿孔、敗血症などを合併し致死的状態となります。

すぐに実践できる便秘解消法

●まずは食生活を改善
腸内にある程度の量の便がないと、押し出すことができず、S状結腸に便が滞ります。食事を抜くと、そのぶん便が作られないので、1日3食を欠かさず摂ることが基本です。食事を摂ると胃が膨張して胃壁が刺激され、その刺激が大腸へ伝わり、大腸は反射的に収縮して直腸へ便を送り込みます。この「胃-大腸反射」によって便意がもよおされます。特に朝食を摂った後は強い便意が起きやすいので、朝食はしっかり食べるようにしましょう。
食物繊維には便のかさを増やしたり、便を軟らかくしたりして出しやすくする作用があります。便秘の予防および改善には積極的に摂りたい成分です。食物繊維は胃内の消化酵素では消化できないため、口から摂取されそのまま大腸まで運ばれ、排泄されます。種類として水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があります。
水溶性食物繊維は保水性があり、腸内で水分を含むとゲル状になり、老廃物や有害物質を吸着し、排出を促します。さらに腸内の善玉菌を増やし、腸の調子を整える作用もあります。昆布やわかめ、こんにゃく、大麦などに含まれています。
一方の不溶性食物繊維は吸水性が高く、腸の中で水分を吸収して便の体積を増やし、腸壁を刺激することで、蠕動運動を活発にします。穀類や野菜、豆類、きのこ類、果実、海藻などに含まれています。
●生活習慣の見直しも大切
腸の動きの低下、血行不良、自律神経の乱れ、筋肉の衰えなどによる便秘の解消には、運動が有効です。運動することで、血液循環が良くなり、胃腸の働きが高まります。特に腰まわりにある腸腰筋を動かすと、大腸が刺激されて蠕動運動が活発になります。また、腹筋を鍛えると排便時にいきみやすくなり、便を押し出す腹圧が上がります。
腹筋運動はもちろん、ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガといった全身運動も腸の動きを良くし、腹筋を中心としたさまざまな筋力を鍛えることができます。階段を意識的に使うなど、毎日の生活に体を動かす習慣を取り入れることも大切です。さらに、体を動かすと脳がリフレッシュし、ストレスが軽減されて自律神経のバランスが整います。
毎日時間を決めてトイレに行くようにすると、最初のうちは便意が起こらなくても、次第に脳や体が順応するようになり、決まった時間になると、脳から指令が出て便意が起こるようになります。特に朝は出勤などの支度が忙しいからといってトイレを後回しにしがちですが、少し早起きをして、通勤などの前にトイレを済ませるだけの時間的な余裕を持つことが大事です。便意が起こっているのに、繰り返し排便を我慢していると、排便反射が弱くなり、便意そのものを感じにくくなってしまいます。会社など外出先で便意をもよおした場合でも、迷わずトイレに行くことのできる環境を整えておくことも大切です。便意を我慢せずに、ゆっくりトイレに入る習慣をつけましょう。

排便力が衰えると、普段からガスがたまった状態のガス腹を訴える人が多くいます。これを日常生活の中で解消できるようにしたのが「腸のマッサージ」です。右半身を下にした姿勢で横になり、お腹の上から円を描くように時計回りにマッサージをします。リラックスできるよう深呼吸しながら、5~10分を目安に行いましょう。ただし、無理にお腹に力を入れたり、便を出そうとしていきんだりするのは禁物。マッサージする手には力を入れず、手のひらでさするように、優しく行ってください。リラックスできる就寝前などに行うのがおすすめです。

だるさをまねく便秘、 生活改善で朝のスッキリを手に入れましょう

便秘の治療で、最初に行うべきことは、食事、運動、睡眠、排便週間などの生活習慣の改善です。ここで述べてきたように、便秘と生活習慣は密接な関わりがあります。生活習慣を変えるだけで、長年来の便秘が改善することは珍しいことではありません。そして、便秘対策としての生活習慣の改善は、他の生活習慣病のリスクも下げます。ここで紹介したようにご自身の便秘のメカニズムを推測して、食事、運動、ストレスの対処をしましょう。また、大腸がんや腸の炎症性疾患である可能性を除外するためにも、医療機関を受診することも必要です。急に便が出なくなった、腹痛が強くなった、体重が減った、発熱がある場合は必ず医療機関を受診しましょう。そして、便秘自体、あるいは便秘対処自体がストレスのもととなって便秘を悪化させることがあります。できることをやってみて、その後はなるべく気にしすぎないようにしましょう。

工藤医師よりコメント
体のだるさの原因が便秘にあるとは思いもよらなかったかもしれませんが、意外と該当する方は多くおられます。まずはご自分の便秘の原因や種類を把握し、それに応じた適切な対処法を実践して下さい。症状が改善しない場合はたかが便秘と思わず、医療機関を受診しましょう。
監修者

内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

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POINT 2 クセになりにくい。 POINT 2 クセになりにくい。