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VOL.53 【医師監修】ダイエット中は便秘になりやすい?気をつけたい7つのポイントを解説

痩せようとして食事量を極端に減らすと、便の材料が不足し、便そのものが作られなくなり、便秘になります。そして便秘によって腸が活発に働かなくなると、基礎代謝が落ちます。つまり結果として、太りやすい状態になってしまうのです。食べないダイエットはやめましょう。バランスのとれた食事を規則正しくとること、適度な運動、これが成功するダイエットのためのカギです。そして、便秘解消の王道メソッドでもあるのです。

ダイエット中は便秘になりやすい?

現代の日本では、約500万人が便秘で悩んでいると言われています。特にダイエットなどで少食になりやすい20歳代の若い女性に、便秘で悩んでいる人が多く見られます。食事の量を減らすと、便の量が減り便秘になりやすくなり、食物繊維も不足しがちになります。食事量を減らすなら、栄養バランスを考えて、食物繊維の多い食品を十分に摂ることが必要です。さらに水太りを気にして水分をとらないと、便の水分量が減り便秘を招くこともあります。

便秘を招くおそれがあるダイエット法

便秘をまねく可能性があるダイエット法を下記で紹介します。

●食事量を極端に減らす
腸内にある程度、便の量がないと便を押し出すことができず、排便が滞ります。ダイエットで食事制限をすると、栄養が偏って食物繊維の摂取量が少なくなり、便自体の量が減ります。また、食べ物から摂る水分の摂取量も減少します。その結果、便のかさと水分量が減って便秘になります。ダイエット中の食事は脂肪分を減らすことが多く、油分が少ないと便の滑らかさが失われ、硬くてパサパサした排出しにくい便になるのも原因です。

●水分をあまり摂らない
水分摂取量が不足すると、便秘になりやすくなります。直腸に送られた便は約75%が水分で、残りの約25%は食物繊維を含む食べ物のかすと、腸から脱落した細胞や腸内細菌の死骸などの固形成分です。この水分のおかげで大腸の中を移動しやすい軟らかさとなり、便の容積も膨らんで、大腸の蠕動運動を活発にします。そのため、十分な水分の摂取は快便のために欠かせません。
ところが水太りをおそれて水分補給を控えると、1日の水分摂取量が少なくなる傾向があるため、こまめに水分をとる必要があります。特に就寝前の水分摂取は、朝の排便をスムーズにするだけでなく、脳卒中などの予防にも効果があるとされているので、積極的に水を飲むようにしましょう。

●生野菜ばかりを食べる
食物繊維というと、やはり野菜を一番に思い浮かべる人が多く、毎日、生野菜のサラダをせっせと食べている人も少なくないようです。しかし実のところ、野菜類で食物繊維を多く含むものは意外に少ないのです。例えば、トマトやキュウリやレタスに含まれる食物繊維の量はわずか1%、セロリでも1.93%に過ぎません。つまりサラダボール山盛りの野菜を食べても、それほど食物繊維は摂れないのです。また、生野菜は水分が多い分かさ張るのため、食べられる量も限られてきます。

ダイエット中でも便秘にならないために気をつけたい7つのポイント

便秘解消として期待できる方法を下記で紹介します。

➀朝起きたときにコップ1杯の水を飲む
乾燥してゴワゴワした腸内では、便もスムーズに移動できないので、便秘になりやすくなってしまいます。起床後、コップ1杯の水を飲むとその重みで腸が刺激され、蠕動運動が活発になるので、朝のお通じの習慣づけにもなります。また同様に、昼や夜も食前に1杯の水を飲んでおくがおすすめです。冷たいとお腹をこわすという人は常温の水、白湯でも構いません。

②温かいスープや飲み物を飲む
温かいスープなどを飲むと、心もほっこりしますが、これは副交感神経が働くためです。夏に暑い屋外から帰宅し、冷たいものを飲むと気持ちがスッキリしますが、それは暑さがストレスになり交感神経が高まっていたところに、冷たいものを摂り入れることでストレスが和らぐからです。しかし基本的には冷たすぎるもの、熱すぎるものを摂り入れると、交感神経が高まってしまうので、寒い季節でも暑すぎる飲み物を飲むのは極力避けましょう。また、冷たいものを多く摂ると胃腸が冷えるため、副交感神経が働きづらくなってしまいますので、注意が必要です。

➂食物繊維を中心に、バランスのよい食事を心がける
食物繊維は、人間の消化酵素では消化されない成分のことです。糖質、脂質、たんぱく質、ビタミンなどの栄養素は小腸までの消化器官でほぼ消化・吸収されます。しかし食物繊維は、消化されないまま大腸へと送られて、便の材料となります。
したがって、食物繊維の多い食品をたっぷりとると、便の量が増え、大腸が刺激されて、蠕動運動が高まり、排便がスムーズに行われるようになります。さらに食物繊維は、健康に役立つ腸内の善玉菌を増やすほか、発がん性物質など体内の有害物質を便に取り込んで、早く体外に排出してくれるので、大腸がんの予防にもなります。
また食物繊維には、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防するため効果もあることがわかっているため、全身の健康維持のためにも積極的に摂りたいものです。

④朝食は抜かず、3食きちんと食べる
便秘を予防・解消するうえで重要なのは、朝食を抜かないことです。朝は忙しいとか、起き抜けで食欲がないという人は、朝食をゆっくりとることができるように、早めに起きる習慣を身に付けましょう。また私たちの体には1日のリズムがあり、消化も排泄も、そのリズムによってコントロールされています。規則正しく食事をとることで、初めて排泄もスムーズに行われるので、1日3食をできるだけ一定の時刻に摂ることも大切です。食事の量も大切な要素です。便の材料が不足すれば、当然便秘になるので、必要な量はきちんと摂りましょう。

⑤好きなものを我慢しすぎない
便は食べ物を材料としています。アレルギーやほかの病気の治療のための食事制限を除けば、食べてはいけないものはありません。辛いものやコーヒー、お酒などは便を緩くさせ、腸を動かします。便秘解消のために適度に活用することは悪いことではありません。ストレスが原因の便秘もあります。これを食べなければいけない、これを食べてはならないというルールにとらわれると、かえってストレスになってしまいます。暴飲暴食を避けた方が良いのですが、健康的な食生活の範囲であれば、基本的には何を食べても構いません。

⑥軽い運動を取り入れる
運動をすることで、血液循環がよくなり、胃腸の働きが高まります。特に腰まわりにある腸腰筋を動かすと、大腸が刺激されて蠕動運動が活発になります。
また、腹筋を鍛えると排便時にいきみやすくなり、便を押し出す腹圧が上がります。腹筋運動はもちろん、ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガといった全身運動も腸の動きをよくし、腹筋を中心としたさまざまな筋力を鍛えることができます。階段を意識的に使うなど、毎日の生活に体を動かす習慣を取り入れることも大切です。さらに、体を動かすと脳がリフレッシュし、ストレスが軽減されて自律神経のバランスが整います。

⑦十分に睡眠をとる
睡眠時間が不足したり、熟睡できず途中で目が覚めてしまったりなど、睡眠の質が低下すると、自律神経のバランスが乱れます。自律神経は交感神経と副交感神経から成っていて、通常、睡眠時は副交感神経が優位になります。副交感神経は消化管の働きも支配しているので、その活動が乱れると腸の蠕動運動も低下し、便秘になりやすいのです。
就寝時間の3時間前までに夕食をすませることも重要です。口から入った食べ物は胃を通って小腸に届くと、小腸は蠕動運動を行い、栄養素を消化・吸収します。食後2~3時間で消化・吸収作業が終わると、食べ物のかすをさらに小腸の奥へと送り込む「空腸期消化管運動」が起こります。この運動により消化管の中はきれいに掃除され、悪い腸内細菌によって発酵しないようになっています。

適切なダイエット法で便秘に気をつけましょう!

せっかくダイエットをがんばっているのに、便秘になると十分な効果が得られない可能性があります。ダイエット中でも1日3食を規則正しく摂り、体に必要な栄養素をバランス良く摂ることが必要です。食物繊維は便秘に良いだけでなく、エネルギーを気にせずに摂れるので、ダイエット食にもおすすめです。適切なダイエット法で腸内環境を整えて、便秘にならないように注意しましょう。


中島医師よりコメント
最近、ダイエットによる便秘が増えています。ダイエットにより食事量が少ない、栄養の偏り、水分量が少ないことが原因だと考えられています。バランスのよい栄養と水分をしっかり摂取し、日頃から運動の習慣をつけるようにしましょう。
監修者

医師:中島由美
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。

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