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VOL.55 【医師監修】便秘は盲腸の原因になる?急性虫垂炎の原因や症状・診断方法について解説

日本人の15人に1人は生涯を通して一度、盲腸にかかるといわれており、全年齢層に起こり得ます。ただし幼児期に盲腸にかかることははまれで、10~20歳代前半にピークがあります。盲腸はアレルギー説、ウイルス説、糞便(便秘)説、異物説などさまざまな原因が候補にあがっていますが、その誘因はいまだに明らかにされていません。何らかの機序で盲腸内腔が閉塞することによって、盲腸の炎症が引き起こされると考えられています。ここでは、盲腸の典型的な症状や身体所見、診断方法、治療(手術のタイミング)のポイントについて解説します。

盲腸(急性虫垂炎)とは?

盲腸は虫垂が炎症を起こして、お腹が痛くなったり熱が出たりする病気で、正確には「急性虫垂炎」といいます。ひどくなると虫垂に穴が開き、お腹の中に膿がもれて炎症が広がり、命を落とすこともあります。
盲腸の原因は現在でも不明ですが、次のように考えられています。まず、虫垂の曲がりが強かったり、内部のリンパ組織が増殖したり、あるいは石(糞石)ができたりすると、虫垂の中が狭くなります。すると、血行が悪くなって細菌が増殖しやすくなり、炎症を起こすのです。そのほか、食べ物やウイルス、アレルギーなどが関与する説もあります。

盲腸(急性虫垂炎)の症状

典型的な盲腸の症状は、虫垂の閉塞によって漫然としたへそ周囲やみぞおちの持続痛で始まります。通常、盲腸では痛みが最初の症状であり、数時間して吐き気、嘔吐が続きます。

●腹部の激痛
右下腹部の痛みが盲腸の主な症状です。痛みはみぞおちから始まり、しだいに右下腹部に移動します。へその周りが漫然と痛んだり、下腹部全体が痛んだりすることがあります。右下腹部を押さえると痛みがあったり、歩いたり跳んだりして痛みがひびくようであれば、盲腸の可能性が高いので、早めに受診するほうが良いでしょう。

●嘔吐や発熱、食欲不振などの不快症状
炎症のために熱が出ることもあり、盲腸が背中側にある時には腰痛が見られることもあります。炎症がひどくなると腹膜炎の症状が出てきます。激しい痛みがあり、近くの小腸が麻痺して便秘になったり、吐き気がしたりします。また、まれに膿の刺激で下痢になることもあります。

盲腸(急性虫垂炎)の原因

盲腸は虫垂が炎症を起こして腫れ上がったり、膿がついたりする病気です。はっきりとした原因はまだわかっていませんが、炎症のもとになるのは主に大腸菌など、腸の中に存在している細菌です。これに不規則な生活や過労、暴飲暴食などが重なると、盲腸が起こるケースがよくあります。家族内発症も多く、生活状態、食事の類似、解剖学的類似などが原因と考えられています。

便秘が原因で盲腸になる可能性はあるのか?

子宮筋腫などの婦人病や盲腸など、何らかの病気でお腹の手術をした後に、腸や腹膜が炎症を起こして、腸管が癒着してしまうことがあります。大腸が癒着すれば、便の通過が妨げられるので便秘になります。癒着が起きた場所が悪ければ、腸管の中がふさがって、便やガスが詰まってしまいます。重症になると腸が壊死して、生命にも関わってくるので、一刻も早く病院を受診する必要があります。

盲腸(急性虫垂炎)の診断方法と治療方法

盲腸(急性虫垂炎)の診断における検査と主に行われている治療方法を紹介します。

●診断方法
以下のような検査を組み合わせて行います。

・血液検査
主に炎症反応(炎症の有無と強さ)を調べます。高齢者では反応が出にくいことがあります。

・レントゲン検査
腸の麻痺がないか、糞石はないか、他に考えられる疾患(尿管結石など)がないかを見ます。

・超音波検査
有効な検査で、腫れた虫垂が確認できれば診断が確定します。ほかに糞石がないか、腹水がたまっていないか、他に考えられる疾患(卵巣嚢腫など)はないかを見ます。

・CT検査
超音波検査で診断がつかない時や、病変のつながりを見る時に有効です。他の疑わしい病気の検索にも用います。

・その他
尿管結石や子宮外妊娠を否定するために、検尿(潜血・妊娠反応を見る)をしたりします。

●治療方法
盲腸の病期は大きく3段階に分かれており、軽い方からカタル性、蜂窩織炎、壊疽性と分類されています。盲腸の初期の段階、すなわちカタル性は薬剤の発達によって抗生物質で治療可能になっており、手術は必要ないとされています。医学の進歩によってカタル性を区別することが可能となったため、薬物治療で治る盲腸も出現しました。しかしながら、蜂窩織炎、壊疽性の段階の盲腸は手術しなければ治りません。

盲腸(急性虫垂炎)を放っておくとどうなるのか?

盲腸を放っておくと、虫垂が破裂する可能性があり、破裂すれば腹部(他の臓器など)が炎症する恐れがあります。場合によっては、便がお腹の中で漏れることもあり、その他にも高熱などの不快な症状を体感する場合があります。時間経過としては、初期症状から右下腹部痛まで平均17時間、その後腹膜刺激症状が出て穿孔までは約34時間、膿瘍形成まで約72時間といわれています。盲腸が疑われる時は、早めに医師による治療を受けることが大事です。

盲腸(急性虫垂炎)は早めに病院を受診!便秘も改善して病気を予防しよう

盲腸の症状がある場合は、早めに病院を受診することが大切です。病院への受診が遅れて症状が進行し、盲腸の周囲の癒着が進んで、結果的に手術傷が大きくなるケースが増えています。また便秘が引き金となって、盲腸や動脈硬化、大腸がんなどの他の病気を引き起こすこともあります。なかには生命に関わる病気もあるので、その予防のためにも便秘を治して、規則正しい排便習慣を身に付けましょう。


中島医師よりコメント
盲腸になる原因ははっきりとはわかっていませんが、便秘で盲腸内圧が高まったり盲腸内で細菌繁殖することで炎症を起こすことがあります。便秘による憩室炎も、同じように腹膜炎を起こすことがあるので注意が必要です。胃痛や右下腹部痛を感じたら盲腸を疑いますので、早めに医療機関を受診してください。
監修者

医師:中島由美
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。

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