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VOL.66 【医師監修】便秘には乳酸菌が有効?期待できる効果とおすすめ食材

不快な症状で多くの方を悩ませる便秘。たかが便秘と放置していると、消化器官だけでなく身体にさまざまな症状を引き起こすこともあります。

この記事では、便秘に有効と言われている「乳酸菌」が具体的にどのような働きをするのか、また、乳酸菌が含まれている食材などを紹介していきます。

乳酸菌の他にも、便秘解消効果が期待できる成分、食生活以外で便秘解消をめざせる方法などもあわせてお伝えしていきますので、便秘にお悩みの方はぜひご一読ください。

便秘が引き起こすさまざまな症状

不要物である便は、本来であればなるべく早く体外に排出するべきです。しかし、便秘になり、便を体内に長時間ため込んでいると、有害物質が発生する可能性があります。便秘によって発生する有害物質とは、主に「悪玉菌」と呼ばれるものです。

悪玉菌が増えると、腸内環境が悪くなりさまざまな不調を引き起こす原因になる場合があります。具体的には、お腹の張り、食欲不振、めまい、吐き気などが挙げられます。

さらに、消化器官の不調は血行不良をまねき、肩こりや腰痛などを引き起こすこともあります。また、悪玉菌は発がん物質も作り出すと言われており、がんのリスクが高くなってしまう可能性もあるのです。

便秘を解消するには、善玉菌を増やすことが大切

便秘を解消するには、善玉菌を増やして腸内環境を整えることが大切です。人間の腸には、100兆以上の細菌が存在し、これらは互いに影響し合い、絶妙なバランスを保ちながら生きています。腸内の細菌の群れは、「腸内フローラ」と呼ばれ、このバランスが腸内環境に影響していると言われています。

腸内には、善玉菌と悪玉菌、腸内環境によって変化する日和見菌(ひよりみきん)の3種類が存在します。悪玉菌が優位になると便秘だけでなく、免疫力が低くなるなど、身体に悪影響を及ぼします。

悪玉菌を優位にさせないためには、善玉菌を増やすのがポイントになります。腸内環境を整えるには、食生活を見直すことが近道ですので、ここからは、善玉菌を増やす効果が期待できる成分を紹介していきます。

●食物繊維
2種類ある食物繊維のうち、ワカメや寒天などの海藻類に多く含まれている「水溶性食物繊維」は善玉菌のエサになり、増やす働きをすると言われています。

イモ類やキノコ類、ナッツ類に多く含まれている「不溶性食物繊維」は、善玉菌を増やす効果は期待できませんが、水分を蓄え便のかさを増す働きをすると言われており、便秘にお悩みの方には、おすすめの成分です。

食物繊維は、便秘解消のために欠かせない成分ですので、積極的に摂取するようにしましょう。ただし、不溶性食物繊維は腸を刺激しすぎる場合がありますので、摂り過ぎには注意が必要です。

●オリゴ糖
フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖など、オリゴ糖にはさまざまな種類があります。このオリゴ糖は、ビフィズス菌など善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす効果があるといわれています。

しかし、オリゴ糖を急に摂取すると下痢の症状が現れることもありますので、まずは様子を見ながら少しずつ食生活に取り入れてみましょう。

●乳酸菌・ビフィズス菌
ビフィズス菌に代表される乳酸菌は、人体に有益な菌のため「善玉菌」と呼ばれています。もともと腸内に存在しているビフィズス菌は、善玉菌の代表のような存在で、整腸作用があるとされています。しかし、口から摂取したビフィズス菌を生きたまま腸内に届けることは難しいと言われています。

また、乳酸菌は悪玉菌の繁殖を抑え、腸内のバランスをとる役割を果たしています。それによって、便通を整えるなど人体にさまざまな良い効果を与えていると言われています。

乳酸菌が含まれる食材

善玉菌を増やすために摂取することが望ましい乳酸菌は、ヨーグルト、納豆、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品に多く含まれています。

効果をより感じるためには、乳酸菌と合わせてエサになるオリゴ糖を含んだ食品を摂るのがおすすめです。オリゴ糖は、バナナ、りんご、たまねぎ、ごぼう、人参、キャベツ、きなこ、ハチミツ、牛乳、納豆などに多く含まれていますので、こちらも意識的に摂取していきましょう。

また、食品だけで多く摂取するのが難しい場合は、食事に加えてサプリメントを検討してみるのも良いでしょう。乳酸菌を補えるサプリメントはたくさんありますので、気になるものを試してみる方法もあります。

食生活以外で便秘解消をめざせる方法

便秘を解消するには、腸内環境を良くする食生活が必須ですが、それでもなかなか解消されない場合は、生活習慣も見直す必要があるかもしれません。

腸内環境には、生活リズムや運動、ストレスなども影響すると言われています。ここでは食生活以外で便秘解消を目指せる方法を紹介していきます。

●規則正しい生活をする
便秘解消をめざすには、規則正しい生活を送り、朝一番に胃腸を動かすことが重要です。夜は決まった時間に眠るようにして、朝はゆったりとした気持ちでトイレに行けるように、余裕を持って起床するようにしましょう。

また、朝食を摂ると、腸のぜん動運動が活発になると言われていますので、朝食後は便意がなくてもトイレに行くようにするのもおすすめです。規則的な排便習慣ができてくると、便秘の解消につながる場合もあります。

便意を催した時に我慢せず、すぐトイレに行くことも大切です。なかなかトイレに行けない場面もあるかと思いますが、排便を我慢していると直腸・結腸反射が鈍くなり、便意が起こりにくくなる可能性があります。

直腸・結腸反射とは、便が直腸に到達した時に神経を通してそれが脳に伝達され、脳から排便命令が出されることを言います。便意を我慢することが多いと、直腸が鈍くなり「便が到達した」と脳に伝達しにくくなっていきます。便秘のサイクルから抜け出すためには、便意を逃さないようにしましょう。

●適度な運動をする
便秘の原因の1つとしてあげられるのが運動不足です。便を出そうとする時に、腹筋を使っていきみますが、日常的に運動不足だと腹筋が衰え、排便時に力が不足してしまうことがあります。

適度な運動を取り入れる上で重要なポイントは、毎日継続できる運動をすることです。可能であれば、ウォーキングやストレッチなどを毎日20~30分行うのが望ましいです。

しかし、忙しくて毎日ウォーキングに行くのは難しいという方も多いかと思います。その場合は、すき間時間でもできる腹筋を刺激する動作がおすすめです。

足を肩幅程度に開いて、肩と腕の力を抜き、そのまま腰を左右に回転させてひねります。腰をひねることで腸を刺激し、排便を促す効果があると言われています。

●ストレスを溜めないようにする
一見、腸内環境とは関係なさそうに感じるストレスですが、実は便秘の原因の多くはストレスだと言われています。ストレスは、心だけでなく身体にもさまざまな悪影響を与えますが、胃腸は特にストレスの影響を受けやすい臓器です。

腸のぜん動運動は、自律神経である副交感神経と交感神経のバランスで保たれているため、ストレスによって自律神経が乱れると便秘をまねく原因になる場合があります。

ストレス性便秘の解消をめざすには、自律神経の働きを正常に戻す必要があります。ストレスの要因を取り除くか、家でゆったり過ごしたり、好きなことをする時間を設けたりと、ご自身に合った発散方法を見つけてストレスを溜めないようにしましょう。

便秘解消を目指すなら、乳酸菌で善玉菌を増やそう

便秘解消するためには、腸内環境を整えることが大切です。腸内環境を良くする乳酸菌=善玉菌は、エサになる食物繊維やオリゴ糖と一緒に摂るのがおすすめです。

便秘はさまざまな要因が関係していますので、食生活と合わせて生活習慣の見直しもしましょう。それでも便秘が解消しない場合は、お腹が痛くなりにくくクセになりにくい、酸化マグネシウムを使った非刺激性の便秘薬を試す方法もあります。

また、たかが便秘と思っていると、重大な病気が潜んでいる可能性もありますので、3日以上便秘の症状が続く場合は、一度医療機関を受診するようにしてください。

中島医師よりコメント
便秘は善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが崩れていることが多く、日頃から便秘解消に善玉菌を増やす食事を心がけると良いです。バランス良い食事に水溶性食物繊維、乳酸菌、オリゴ糖をプラスして、睡眠、運動にも気をつけましょう。
監修者

医師:中島由美
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。

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