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VOL.71 【医師監修】牛乳が便秘解消に良い理由は?飲むタイミングや注意点も押さえよう

便が出にくいだけでなく、腹部の不快感や腹痛などさまざまな症状を引き起こす便秘に悩んだことがある方は少なくないでしょう。

便秘解消法と検索すると、サプリメントや薬をはじめ多種多様な方法が出てきますが、どれが自分に合うのか判断することは難しいです。

そこでこの記事では、手軽に取り入れられる牛乳を使った便秘解消を目指す方法を紹介します。そもそも本当に牛乳には効果があるのか、どんな効果が期待できるのか、便秘を解消するために、牛乳を飲む場合のポイントと注意点もあわせてお伝えします。

便秘解消には牛乳がおすすめ!

「便秘解消を目指すためには牛乳を飲むと良い」と聞いたことがある方は少なくないでしょう。

実際、牛乳を飲むことで腸に刺激を与え、排便を促す効果が期待できます。そのため、体質的に牛乳が合う方の場合は、便秘解消の1つの方法として牛乳を取り入れてみることもおすすめです。

なぜ牛乳が便秘解消に良いと言われるのか、理由を詳しく見ていきましょう。

牛乳が便秘に良いと言われる理由は?

牛乳には、難消化性の乳糖が含まれており、その一部は消化されずに大腸にたどり着き、それによって腸内細菌が分解され酸を生じさせると言われています。

発生した酸は、大腸の中にいる細菌の栄養になり、善玉菌が優位となる腸内環境づくりに役立つと考えられています。

その結果、蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、排便が促されやすくなるのです。

起床後のタイミングで冷たい牛乳を飲むのがポイント

便秘の改善を目指すなら、便を柔らかくするために水分を摂ることがとても大切です。とくに起床後すぐの飲み物は、胃や腸を動かすスイッチのような役割を果たすと言われています。

起床後はすぐにコップ1杯の冷たい牛乳や水を飲むようにして、“排便反射”を促すのがポイントです。排便反射とは、直腸に便がたどり着いたときに、直腸が刺激され便意が生じることを指します。

また、牛乳や水を飲むだけではなく、朝食を摂ることも胃腸を動かすきっかけになります。できるだけ朝食はゆっくり摂るようにして、その後トイレに行く時間も設けるようにしましょう。

便秘改善を目的に牛乳を飲む場合の注意点

便秘改善を目指すために牛乳はおすすめですが、便秘の原因や体質によっては飲み方を変える必要があったり、そもそも飲まないほうが良かったりする場合があります。

牛乳を飲む場合の注意点を説明するので、ご自身の体質や便秘の原因で当てはまることがあるか一度確認してみてください。

●けいれん性便秘の場合は温かい牛乳がおすすめ
便秘の種類の1つとして、“けいれん性便秘”があります。けいれん性便秘は、ストレスや胆石症、胃潰瘍などが原因となり、大腸が強く運動してしまい、けいれん性収縮を起こすことで排便が促されにくくなっている状態です。

けいれん性便秘の場合は、消化されやすいものが良いとされているため、温かい牛乳やゆでた柔らかい葉物野菜を摂るようにしてください。

しかし、けいれん性便秘かどうかを自己判断することは難しいです。けいれん性便秘かどうか不安な方、ストレスなどの自覚がある方は、一度医療機関を受診して原因を確かめましょう。

●牛乳で酸化マグネシウムを服用しない
便秘薬の中には酸化マグネシウムを用いたものがありますが、お茶や牛乳で服用すると、十分に効果が発揮されない場合があります。

酸化マグネシウムを用いた便秘薬を飲む場合は、コップ1杯以上の水、またはぬるま湯で飲むようにしてください。

また、酸化マグネシウムを用いた便秘薬を服用中に大量の牛乳を摂取すると、ミルクアルカリ症候群を引き起こす可能性があると言われています。500ミリリットル以内を目安に、飲み過ぎないように注意が必要です。

●下痢を起こす場合は無理に牛乳を飲まない
牛乳を飲むと、体質的に下痢になってしまう方もいるでしょう。

もし、起床後すぐに牛乳を飲み下痢を引き起こした場合は、無理に牛乳を飲まないようにしてください。食事や運動など、他の方法を試して便秘解消を目指しましょう。

牛乳だけに頼らず、生活習慣を見直して便秘解消をめざそう

便秘の原因は、ストレスや食生活などさまざまです。そのため、便秘を繰り返さないためにも牛乳だけに頼らず、食生活や生活習慣を見直すことが必要です。

日常生活で取り入れられる便秘解消が期待できる方法を紹介するので、ご自身の生活を振り返り、改善するべきポイントがあるかチェックしてみてください。

●食物繊維を意識して摂取する
オリゴ糖や乳酸菌など、便秘に良いとされる栄養素はたくさんありますが、そのなかでもとくに食物繊維がおすすめです。

食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、両方バランス良く摂取する必要があります。

不溶性食物繊維は玄米や大豆などに含まれており、腸を刺激して蠕動運動を促すと言われています。

水溶性食物繊維はわかめなどの海藻類に多く含まれ、有害成分を排出したり、善玉菌の増殖をサポートしたりと整腸作用が期待できます。

便秘を解消するためには、食生活の見直しが重要なポイントです。水分補給をこまめに行い、キムチやチーズなどの乳酸菌を含む食べ物を積極的に摂るのも良いでしょう。

●適度な運動をする
1日に10~15分程度の軽めの運動をするのもおすすめです。運動して体を動かすことで、血行が良くなり、腸の動きも活発になると言われています。

また、運動不足の方が便秘になるのは、腹筋が弱いことも1つの原因だと考えられています。便を出すときに腹筋でいきみますが、腹筋が衰えているとその力が不足してしまいます。

運動は週末にまとめて行うのではなく、毎日継続することが大切です。腹筋を中心に、バランス良く筋肉を鍛えるようにしましょう。

忙しくて時間がなかなかとれない場合は、すき間時間に腰をゆっくり横にひねる動きをすると、腸を刺激することができますので、ぜひ実践してみてください。

●生活のリズムを整える
便秘解消を目指すためには、生活のリズムを整え、排便のリズムをつくっていくことが大切です。

決まった時間に起床、就寝、食事をするようにすると、自然と体のリズムもできていくので、排便のリズムも整っていきます。朝食後は腸の活動が活発になるので、トイレに行く時間を決めて、便意がなくてもトイレに座るようにしてみてください。

また、不眠が便秘の原因になることもあるため、睡眠時間はしっかり設け、睡眠の質を上げるようにしましょう。早めに布団に入るようにして、リラックスした気持ちで眠るようにしてください。

牛乳を上手に取り入れて便秘解消を目指そう

便秘解消を目指すには、起床後すぐのタイミングでコップ1杯の冷たい牛乳や水を飲むのがおすすめです。体質などを考慮しながら、ぜひ実践してみてください。

便秘を繰り返さないためにも牛乳だけに頼らず、食生活や生活習慣も見直すようにしましょう。食物繊維を積極的に摂り、生活のリズムを意識して日常を過ごしてみてください。

また、けいれん性便秘の可能性がある場合、便秘の症状が3日以上続く場合などは、一度医療機関を受診してください。

白畑先生よりコメント
便秘は様々な要因に起因します。簡単な対策として食生活、生活習慣を整え、体質的に牛乳が合う方は便秘解消の1つとして牛乳を取り入れましょう。また大きな疾患が関わっている可能性もありますのでなるべく診察を受けましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。

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