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VOL.81 【医師監修】便秘で出そうで出ない!解消法や予防方法を紹介

さまざまな不快な症状をもたらす便秘。生活の質を低下させることもある“身近な悩みの種”のひとつで、できることなら気持ちの良い排便を毎日続けたいと考えている方は多いでしょう。

今回は、出そうで出ない便秘に注目し、その便秘とはどういった状態なのか、そしてそれを解消する方法や便秘を予防する方法を紹介していきます。

出そうで出ない!便秘の主な症状

トイレに行っても便が出そうで出ないのは、便が出口(肛門付近)まで来ているけど、出口で詰まった感じで出てくれないという状態です。

また、やっとのことで排便があっても硬いコロコロ便が少しだけ出たり、排便があったけれどもスッキリせずに残便感があったりする状態です。これでは排泄されるべき便が「十分量」「快適に」排泄できていないことになります。

「慢性便秘症診断ガイドライン2017」でも、便秘とは「本来体外へ排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されているように、便が出そうで出ない状態は便秘であると言えます。

便秘により起こる一般的な不快な症状に、おならが出やすい、腹痛、お腹の張りがあるなどを訴える場合が多いです。腸内で悪玉菌が増殖して腐敗発酵をおこし、ガスが発生しやすいために、おならが出やすくなります。

また、便により出口が塞がれてしまうとガスが行き場を失って腸内に溜まってしまうため、お腹の張りや腹痛を起こしやすくなります。

別の不快な症状として、にきびや肌荒れといった肌トラブルや、頭痛や肩こりに見舞われる場合も多く、これらは自律神経の働きが乱れることで起こると考えられています。

便秘になる原因

便秘の原因は多岐にわたりますが、大腸の形態的変化を伴わない便秘について、3つの主な要因を紹介していきます。

●栄養・水分不足
腸の動きそのものには問題がないものの、偏った食生活や摂食量の不足によって便秘が引き起こされることがあります。

例えば、ダイエットによる食事量の減少や、高齢者で食事の量が少なくなってきた人では、便のもとになる量が減るため、便秘になりやすくなります。

また、食物繊維は排便するために欠かせない栄養素です。しかし、食物繊維ばかりを食べ、炭水化物やタンパク質、脂質などの摂取を控えるのは、便のもとになる量が減って便秘改善効果は期待できません。また、健康面で影響が出てくるおそれがあるため控えたほうが良いでしょう。

さらに、便というのは実は、その6~8割ほどが水分で構成されています。そのため、水分不足になると便が硬くなったり、便が作られにくくなったりします。

●腸の動きの低下
腸の動きが低下すると、排便回数が減少したり排便量が減少したりするため、便秘になりやすくなります。とくに腸のぜん動が鈍くなるケースは便秘に結び付きやすくなります。

ぜん動運動とは、腸管の口側が収縮(狭まる)し、肛門側が弛緩(広がる)して内容物を先へ押し出していく運動のことで、主に腸の内容物を移動させる働きのことです。

このぜん動運動が鈍くなると、腸管内の内容物を十分に押し出せないために、便が溜まってしまいます。

腸のぜん動運動が低下すると、便の量が少なかったり、便のサイズが小さかったりすることがあります。このとき、腸管壁への刺激が少なくなり、腸の動きが鈍くなります。また、運動不足も腸の動きを低下させる要因になると考えられています。

便秘を訴える方に、高齢者の方や病気などが原因でベッドで過ごすことが多い方などが多いのはそのためと言えるでしょう。

●ストレス
腸の働きは自律神経によってバランスが保たれています。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、交感神経が腸の動きを抑制し、副交感神経が腸の動きを活発にしています。この自律神経の乱れが腸の働きを乱すため、便秘になりやすくなります。

自律神経を乱す主な原因は疲労やストレスです。学校の卒入学や転勤、仕事や家事が多忙で休む時間がとれなかったり、人間関係がうまくいかなかったりすると起こる一過性の便秘です。

こうしたストレスの原因を取り除けば便秘が解消するケースも少なくありません。

便が出そうで出ないときの対処法

便が出そうで出ないというタイプの便秘では、排便中の水分量が減少し、便が硬くなって肛門から排泄しにくいケースが多く、この場合には排便があっても硬便であるのが特徴です。

どうしても便が出ない場合は便秘薬を服用すると排泄しやすくなる場合があります。まずは刺激の少ない便秘薬を試すと良いでしょう。

例えば、酸化マグネシウムの便秘薬であれば、お腹が痛くなりにくく、クセになりにくいので、便秘薬を初めて試す方でも使用しやすいです。

酸化マグネシウムの便秘薬は、便を柔らかくしてくれる作用をもっているので、硬い便でお悩みの方には、解消効果が期待できます。

ただし、便秘薬のなかには、それに頼らないと排便ができなくなってしまうものがあるので、説明書に書かれた用法用量通りに服用し、使いすぎないようにしましょう。

一定期間服用しても全く効果が出ない、あるいは体調に異常が発生した場合はすぐに使用を取りやめ、医療機関で診察を受けてください。

また、このタイプの便秘では、規則正しい排便習慣を身につけることが大切です。

通常であれば、1日数回の腸の大ぜん動によって便が直腸付近に下りてくると、直腸壁が刺激されて便意を感じますが、それを我慢して排便行為に向かわないケースを繰り返していると、便意を段々と感じなくなってきます。

便意を感じなくなってくると、トイレに行く動機もなくなってきますので、腸管内で便が溜まってしまい、硬い便になりやすいです。

そのため、便意を感じたらすぐにトイレに行く習慣をつけましょう。とくに朝食後には大ぜん動が起こりやすく、体は排便しやすい状態になります。朝食後にはトイレに行き、排便を試みる習慣をつけると良いかもしれません。

便秘の予防方法

便秘になってから改善するには根気が必要になります。普段から便秘にならないように心がけていれば、つらい症状に悩まされずに済むはずです。

ここからは便秘の予防方法を4つ紹介していきます。

●栄養バランスのとれた食事を心がける
便秘を予防するためにも、普段から栄養バランスの整った食事を心がけることが大切です。とくに食物繊維が大事だと言われています。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、両方をバランスよく摂取するようにしましょう。

水溶性食物繊維は水に溶けて腸内細菌(善玉菌)の栄養になり、不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収して便を柔らかくし、便の量を増やしてくれます。

そのため、とくに不溶性食物繊維を水分とともに摂ると、便に留まる水分量が増えて、柔らかい便を形成しやすくなります。

また、食物繊維だけでなく、糖質、タンパク質、脂質も適切な量を摂ることが大切です。

便の量が増えれば、腸管の動きが活発になりますし、便意が起こりやすくなります。直腸の神経が鈍って便意を感じにくくなっている方も、食事のメニューには気を配りましょう。

●水分をしっかり摂る
便秘を改善するには水分をこまめに摂ることも大切です。ただし、一気に水分を摂っても腸で吸収されて尿として体外に出てしまう割合が増えるだけで、あまり便秘予防には効果的ではありません。

前述した食事の時間に水分を摂っていくのが効果的です。毎回の食事に汁物を一品足す、食事中や食事後にお茶を飲むなどを試してみてください。

水には「硬水」と「軟水」の2種類があります。硬水は軟水に比べてミネラルやイオンが多く含まれています。また、硬水に多いマグネシウムは腸管に水分を集め、便を柔らかくする作用で、便秘改善に有効とされています。

ただし、日本の水道は軟水ですので、日本人が硬水を飲むと下痢気味になってしまう場合があるので注意しましょう。

●適度に運動する
腸の働きは自律神経によってコントロールされているため、意識的に自律神経を整えましょう。

ストレスは自律神経を乱すため、普段からストレスをため込まないよう、ストレスを解消できる趣味や運動を取り入れると良いです。

例えば、ウォーキングやストレッチなどの軽めの運動でも、排便を促す副交感神経を刺激できます。腸の動きを活性化させたい方は運動習慣を身につけてください。

●規則正しい生活を送る
自律神経を乱れさせないためにも、規則正しい生活を送ることが大切です。十分な睡眠時間を確保し、決まった時間に食事を摂ったり、お風呂に入ってリラックスしたりする時間を確保しましょう。

また、生活のリズムを整えることが排便のリズムを整えることになります。決まった時間に排便をすると決めてトイレに行く時間を確保しておくと、体が段々と排便するリズムを覚え、決まった時間に排便しやすくなります。

便秘解消方法を試して、すっきりとした排便を目指そう

便秘は腹部膨満感や腹痛、残便感などの不快感を伴います。不快感に悩まされないためにも、便秘になってから対処するのではなく、日頃から便秘を予防することが大切です。今回紹介した予防方法を、実践できるものから試してみてください。

どうしても便が出ないときや便が硬くて出しにくいときは、市販の便秘薬を試してみる方法があります。

その場合はお腹に刺激が少ない『酸化マグネシウム』の便秘薬から始めてみると良いでしょう。

白畑先生よりコメント
便秘の予防や対処法を紹介しました。便秘は様々な要因によって引き起こされるため、自分に合った対策を毎日の生活に取り入れ便秘予防に取り組んでいきましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。

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