VOL.88 妊婦が便秘になりやすくなる原因とは?解消方法と薬の使用について解説

妊娠中の女性の約半数が、「便秘」に悩まされています。また、妊娠中だけでなく産後6~8週目にかけて便秘になる方も大勢います。さまざまな便秘解消方法がありますが、妊娠中や授乳中は何かと気を遣い、便秘を解消できずにいる方も少なくありません。
そこで今回は、妊娠中や出産直後の女性に便秘が多い理由や、体への負担が少ない便秘の解消方法についてご紹介します。
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なぜ妊娠中は便秘になりやすいのか

妊娠中や出産直後の女性に便秘が多い理由には、体や環境の変化が関係しています。心身の負担が大きくなりやすい時期なので、いつも以上に適切な対処を心がけることが大切です。
以下では、妊娠中に便秘になる理由を詳しく解説していきます。
黄体ホルモンの分泌
妊娠中には、卵巣内の黄体という場所でつくられる黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加します。このホルモンは、胎盤の形成などを促す働きがあると同時に、消化管の収縮を抑える作用も持っているため、腸の動きが鈍る要因となります。
さらに、黄体ホルモンは、胎児の成長に合わせて子宮が大きくなれるように、子宮周辺にある消化器の筋肉を緩める働きも持っています。この働きが大腸を動かす大腸平滑筋まで弛緩させてしまい、その結果排便のためのぜん動運動を弱らせる恐れがあります。
つわりによる水分や食物繊維の摂取の減少
つわりが原因で食事量が減ると、作られる便の量も減ってしまうので、便意を感じにくくなり、便秘グセがついてしまう恐れがあります。
また、食べたものを吐いてしまったり、食べられるものだけを偏って摂取したりすると、食物繊維や水分が不足して腸の動きが鈍るため、便が硬くなり、便秘を引き起こすと考えられます。
妊娠に伴う運動量の減少
妊娠するとつわりで気分が悪くなったり、大きくなったお腹が負担になったりして、運動量が減りやすくなります。運動不足は、大腸の動きを低下させるため、便秘の原因になると考えられます。
子宮が大きくなることによる腸の圧迫
妊娠が進むと子宮はしだいに大きくなり、腸や胃など周辺の臓器が圧迫されます。その結果、腸の働きが鈍くなり、便の排出がスムーズに行われにくくなるケースが多くみられます。
とくに、妊娠後期はこうした影響を受けやすく、便秘になりやすくなると考えられます。
便秘は妊娠の経過に影響を与える?
妊娠中に便秘が長く続くと、胎児や出産に影響を与えるのではないかと心配になることもあるでしょう。以下では、便秘が妊娠の経過に与える影響について解説します。
便秘による胎児への影響はない
便秘が長く続くと赤ちゃんを圧迫したり、何か悪いものが溜まったりして、発達に影響を与えるのではないかと心配する方がいるかもしれません。しかし、便秘自体が胎児の成長に悪影響を及ぼすことはないと考えられています。
排便時のいきみが流産・早産につながる可能性は低い
排便時のいきみが通常の範囲であれば、流産や早産との直接的な関連は低いと考えられています。いきみによって胎児に大きな影響が及ぶことも、基本的には考えにくいことです。
ただし、便が硬い状態で無理に強くいきむことは避けたほうが良いでしょう。体への負担が大きくなることで、状況によっては切迫流産につながる可能性も否定できません。
日頃から便をやわらかくすることを意識し、必要に応じて医師へ相談しながら適切に対処していきましょう。
妊娠中の便秘は痔に注意が必要
妊娠中は便秘になりやすく、排便時のいきみや子宮の圧迫によって肛門周囲の血流が滞りやすくなります。これは、痔の症状が現れやすい状態です。
便が硬い状態が続くと、排便時の痛みや出血につながることもあります。痔を予防するためには、便秘を防ぎ、排便時に強くいきまないことが大切です。腫れなどの症状が見られる場合は我慢せず、医師に相談しましょう。
便秘と痔の関係については、以下のコラムもあわせてご覧ください。
妊娠中に日常生活で行える便秘の解消方法

便秘に悩まされる妊婦の方は多く、「お腹の赤ちゃんが心配」「授乳中に影響が出ないか心配」といった理由から、なかなか便秘を解消できずにいるケースも少なくなりません。
しかし、妊娠中でも行える便秘の解消方法はたくさんあります。以下では、主な改善方法について紹介します。
こまめに水分補給をする
産後の授乳中の女性は、積極的に水分を摂取することが求められています。授乳中は、母乳として1日に600~800mlの水分が体の外へ排出されます。
水分不足は、便秘を引き起こす原因にもなるため、授乳中はたくさん水分を取るようにしましょう。目安としては、1日2~2.5リットル程度の水分摂取が望ましいとされています。
食生活を見直す
便秘対策をする際には、食生活を見直すことも大切です。まずは、食物繊維を多く含む食品を意識して摂取しましょう。
わかめや昆布などの海藻類やこんにゃくは、食物繊維に加えてビタミンやミネラルも摂れるおすすめの食材です。葉物野菜や根菜、キノコなどもあわせて取り入れると良いでしょう。
ただし、海藻類に含まれるヨードの過剰摂取は、新生児の甲状腺の働きに影響を与える可能性があります。偏った摂り方は控えましょう。
また、果物も糖分の摂り過ぎにつながることがあるため、適量を意識することが大切です。いずれも過度に気にし過ぎる必要はありませんが、バランス良く取り入れることを心がけましょう。
なお、便秘中の食事については、以下のコラムもあわせてご覧ください。
「便秘改善に効果がある野菜とは?食物繊維が豊富な食べ物や1日に必要な量を紹介」
「便秘に効く食べ物を紹介!おすすめのメニューやそのほかの改善方法も紹介」
適度な運動をする
便秘の解消には、適度な運動も効果的です。妊娠中の過度な運動は危険ですが、ゆっくりとしたウォーキングやストレッチなど軽めの運動で、腸のぜん動運動を促す効果が期待できます。
ただし、お腹が大きくなると、重心の変化によって体への負担が増え、腰痛を起こしたり、お腹の張りが出やすくなったりする方もいます。そうした場合は無理をせず、医師と相談しながら運動を行うようにしてください。
ストレスを溜めない工夫をする
ストレスの蓄積は便秘の原因にもなるため、心身の負担はできるだけ溜めずに解消するよう心がけましょう。
妊娠中や出産後は、ストレスが溜まりややすい環境下にあります。妊娠や出産によるホルモンバランスの急激な変化や、赤ちゃんの夜泣きや頻繁な授乳による寝不足など、ストレスを抱える要因はさまざまです。
美味しいものを食べたり、身近な方に不満を打ち明けたり、ショッピングを楽しんだりと、自身のストレス解消法を見つけることも大切です。バスタブのお湯にゆっくり浸かったり、早めに寝たりするのも良いでしょう。
妊娠や出産に伴う負担を1人で抱え込まず、周囲の方に頼ることも大切です。
妊娠中に便秘薬を服用しても大丈夫?
妊娠中に自己判断で市販薬を服用するのは避けましょう。市販薬のなかには、腸を刺激して排便を促す「刺激性下剤」もあり、子宮の収縮につながる可能性があります。用量を誤ると体への負担が大きくなり、状況によっては切迫流産につながるおそれもあります。
とくに、妊娠4週から16週頃は、胎児の主な臓器や体の形が形成される時期とされています。この時期は薬の影響を受けやすいと考えられており、不適切な使用には注意が必要です。
妊娠中の便秘はかかりつけ医に相談する
妊娠中に便秘になった場合、自身で薬を選ぶのではなく、まず産婦人科への相談が基本です。医師が、妊娠中でも服用できる適切な便秘薬を処方してくれるでしょう。
妊娠中でも服用できる処方薬の1つに、酸化マグネシウム便秘薬があります。腸内の水分を増やして便をやわらかくする働きがあり、比較的穏やかに作用することが特徴です。
ただし、妊娠中の服用については必ず事前に医師へご相談ください。酸化マグネシウムを服用して良いかどうかを医師に確認し、必ず許可を得た上で使用しましょう。
また、体調や時期によって適切な量も異なるため、用量についても医師の指示に従ってください。
医師に相談の上で市販品を使用する場合は、健栄製薬のオンラインショップでも取り扱っているため、選択肢の1つとして検討してみてください。
妊娠中の便秘は我慢せず、早めに適切な対処をすることが重要

妊娠中はホルモンバランスや体の変化によって、便秘になりやすい傾向です。しかし、便秘そのものが胎児に直接悪影響を及ぼすことはないと考えられており、過度に不安になる必要はありません。
一方で、便が硬い状態が続くと、排便時の負担が大きくなったり、痔の原因になったりすることがあります。そのため、食生活の見直しや適度な運動、心身の負担を溜めない工夫など、日常生活の中で無理なくできる対策を取り入れることが大切です。
また、つらい症状が続く場合は我慢せず、かかりつけ医に相談しましょう。自己判断で市販薬を使用するのではなく、医師の指示のもとで適切に対処することが、穏やかに妊娠期間を過ごすためのポイントです。







