VOL.109 粘液便が出たら受診すべき?色別の主な原因と疑われる病気について解説

便秘でやっと排便があったと思ったら、便にベタベタした粘液状のものがついていた経験がある方もいるのではないでしょうか。
ベタベタした便の正体は「粘液便」です。粘液便に付着する粘液にはさまざまな色があり、色によって考えられる原因が異なります。とくに、赤色の粘液便が出る場合は、重大な疾患が隠れている可能性もあるため、必ず医療機関を受診しましょう。
今回は、粘液便の概要や粘液の色別ごとに原因を詳しく解説します。粘液便の原因となり得る便秘を解消するポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
粘液便とは?
「粘液便」とは、便にベタベタした粘液が付着した状態のことです。
粘液は便をスムーズに体外へ排出するために腸粘膜から分泌されるもので、健康な方の便にも多少は付着しています。
しかし、見た目でわかるほど多量の粘液が付着している場合は、疾患や腸のトラブルが原因であることも珍しくありません。
便に付着する粘液には、ピンク色や緑色、白色などさまざまな種類があります。
粘液の色によって原因は異なりますが、粘液便が続く場合やガスが溜まる症状を併発している場合、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎など、腸のトラブルが隠れているケースもあります。
そのため、粘液便が続く場合は、医療機関を受診も検討してください。
粘液便の色とそれぞれの原因

便に付着した粘液の色を観察すれば、ある程度は原因を絞り込むことができます。ただし、色だけで確定することは難しいため、あくまで参考程度に留めてください。
以下では粘液便の代表的な色と、色別の原因を詳しく解説します。
透明の粘液便
透明の粘液便が出る場合、1回〜1日程度で治れば、基本的に大きな問題はありません。
ただし、症状が続く場合や大量の粘液が出る場合は、過敏性腸症候群などの疾患が疑われます。過敏性腸症候群とは、ストレスや自律神経の乱れなどの要因で腸の機能が低下し、便秘や下痢を繰り返す疾患です。
ガスが溜まる原因にもなるため、症状が続く場合は医療機関の受診を検討しましょう。
白色の粘液便
白色の粘液便が出るときは、下痢や食あたり、消化不良、冷え、ストレスなどの要因で、腸粘膜がダメージを受けている可能性があります。
白色の粘液便が出る場合、一時的な症状が多い傾向です。ただし、軽度の潰瘍性大腸炎や、薬の服用が原因の薬剤性大腸炎などを発症している可能性もあるため、症状が続くときや粘液の量が多いときは、早めに医療機関を受診してください。
ピンク色の粘液便
ピンク色の粘液が付着する場合、便秘や硬便が原因の可能性があります。硬便が肛門近くの粘膜を通過すると、粘膜に傷がついて出血することがあるためです。
ピンク色の粘液便は、粘膜の傷が治れば出なくなることもありますが、硬便が続くとなかなか治らないケースも珍しくありません。
なかには、いぼ痔に便が擦れて出血している場合もあるため、医療機関を受診しましょう。
緑色の粘液便
緑色の粘液が付着する場合、酸化した胆汁が出ている可能性があります。
通常、胆汁は小腸や大腸で再吸収されますが、腸の動きが低下すると、吸収されずに酸化した粘液となって排出される場合があります。
緑色の粘液便に腹痛や下痢が伴うときは、ブドウ球菌感染症の可能性もあるため、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
赤色の粘液便
赤色の粘液が付着した便は、便に血液が混ざっている状態で、「粘血便」とも呼ばれます。
便に血液が混ざる場合、消化器系に重大な病気が隠れている可能性があるため、とくに注意が必要です。
以下で、赤色の粘液便が出た場合に疑われる病気を解説します。
要注意!赤色の粘液便が出るときに疑われる病気
以下では、赤色の粘液便が出る場合に疑われる病気の種類を、さらに詳しく解説します。
ただし、病名や症状の自己判断は難しいため、赤色の粘液便が出たときは、早めに医療機関を受診してください。
潰瘍性大腸炎(中〜重度)
潰瘍性大腸炎は、腸の粘膜に炎症が起き、慢性的にびらんや潰瘍が発生する疾患です。発症すると、下痢や腹痛、血便、粘液便、発熱、体重減少、貧血、めまい、動悸、息切れなどの症状が出ます。
また、腸内環境の変化や腸管機能の異常により、ガスが溜まりやすくなることもあります。発症には免疫が関係すると考えられていますが、詳しい原因はいまだ不明です。
アメーバ赤痢
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバの原虫の感染によって起きる疾患です。
発症すると、粘液便や下痢、腹痛、食欲不振、発熱などの症状が出ます。感染の原因としては、口と肛門の直接的・間接的な接触や汚染された食物の摂取などが考えられます。
クローン病
クローン病は、小腸や大腸、全身の消化管に炎症や潰瘍が発生する疾患です。
発症すると、下痢や腹痛、血便、粘液便、発熱、食欲不振、体重減少、貧血などの症状が現れます。発症には免疫が関係すると考えられていますが、詳しい原因はいまだ不明です。
大腸がん
大腸がんは、大腸の粘膜に発生する悪性腫瘍です。
初期段階では自覚症状がないことが多いものの、進行すると血便や貧血、便秘、下痢、お腹の張り、腹痛、腸閉塞などの症状が現れます。
便秘で粘液便が出ることもある

便秘になりやすい方は、便秘が原因で粘液便が出ている可能性があります。
また、便秘の場合は粘液便以外にも、ガスが溜まる、おならの回数が増えるといった症状が出ることもあります。なお、大腸の形態的変化を伴う「機能性便秘」は高齢者や女性、運動不足の方に発症しやすい傾向があります。
粘液便の原因となり得る便秘の解消方法
便秘が続くと、粘液便以外にも腹部の張りや吐き気、めまい、肌トラブルなど、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。便秘の自覚症状がある方は、早めの解消を目指しましょう。
以下では、粘液便の原因になり得る便秘の解消方法を5つ解説します。実行できそうなものから試してみてください。
生活リズムを整える
規則正しい生活を送ることで、腸と密接な関係にある自律神経が整います。毎日、起床と就寝、食事の時間はなるべく同じ時間帯にしましょう。
食事は1日3食、食物繊維を意識しながら、栄養バランスの整った食事を心がけてください。
朝食を摂った後は腸の動きが活発になるため、便意がなくてもトイレに行く習慣をつけると、排便のリズムも整いやすくなります。
こまめに水分を補給する
体内の水分が不足すると、便の水分も不足し、便秘や硬便になりやすいです。便秘解消を目指す場合は、1日2リットルを目安として、水分を多めに摂取してください。
なお、一度に大量の水分を摂取しても尿として排出されてしまうため、水分補給は回数を分けてこまめに行うのがポイントです。
また、飲み物には水や白湯、利尿作用の少ないお茶を選びましょう。利尿作用のあるコーヒーやアルコール類をたくさん摂取しても、水分不足が解消されない場合があります。
適度に運動する
適度に運動することで、腸の動きが促進され、スムーズに排便しやすくなります。
また、体を動かすことで自律神経を整える、ストレスを発散するといった効果も期待できるため、運動不足が気になる方は、軽めのウォーキングやストレッチなど、毎日できる運動習慣を取り入れましょう。
しっかりと睡眠を取る
睡眠不足は、自律神経の乱れやストレスの原因にもなり、便秘の大敵です。
通常、睡眠中は副交感神経が優位になって腸の動きが活発化しますが、睡眠の質が悪いと、腸の動きが低下し、便を押し出す力も弱くなります。
便秘解消を目指す場合は夜ふかしを控え、早めに布団に入る習慣をつけましょう。寝る前にストレッチやヨガをして体をリラックスさせるのもおすすめです。
酸化マグネシウム便秘薬を服用する
酸化マグネシウム便秘薬を服用することで、スムーズに便秘を解消できる可能性があります。酸化マグネシウム便秘薬は、お腹が痛くなりにくくクセにもなりにくい薬剤です。就寝前または空腹時に服用すると、ゆるやかに排便を促してくれます。
なお、酸化マグネシウム便秘薬は、便秘のみの改善に効果が期待できる薬剤です。粘液便を改善する効果はないため、粘液便を治療したい方は、医療機関を受診してください。
また、酸化マグネシウム便秘薬は、製品に記載された使用上の注意をよく読んでから服用しましょう。
なお、健栄製薬の「酸化マグネシウムE便秘薬」は、オンラインショップでも購入できますので、便秘解消をお急ぎの方は検討してみてください。
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粘液便やガスは腸が不調のサイン!早めに医療機関を受診しよう
粘液便が出る、ガスが溜まるといった症状がある場合、腸にトラブルが起きている可能性があります。
粘液便には複数の色がありますが、とくに赤色の粘液便が出るときは、重大な疾患が隠れている場合があるため、早めに医療機関を受診しましょう。そのほかの色でも、何らかの疾患である可能性があるため、医療機関の受診を検討してください。
なお、粘液便は便秘が原因となっている可能性もあります。便秘の自覚症状がある方は、生活リズムを整える、酸化マグネシウム便秘薬を服用するなどの方法で、便秘解消を目指してみてください。