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VOL.174 【医師監修】大腸の役割とは?小腸との違いや機能が低下した場合のリスクも紹介

大腸は、小腸を取り囲むように存在する太い管状の臓器です。口から摂った食物を便に変え、肛門から排泄させるために重要な役割を果たしています。大腸の機能が低下すると、便秘や下痢といった排泄の不調につながります。

今回は、大腸の特徴や体内で果たす役割、小腸との違いをわかりやすく解説します。また、大腸の機能が低下した場合の影響や、大腸の働きを改善させる方法もまとめて紹介するため、ぜひ参考にしてください。

大腸とは?

大腸とは、小腸を取り囲むように配置された管状の臓器です。

全長は約1.5〜2mで、結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と、直腸(直腸S状部・上部直腸・下部直腸)から成ります。

大腸の役割

大腸には、主に以下の役割があります。

  • ・小腸で吸収しきれなかった食物の消化・吸収
  • ・腸の内容物に含まれる水分・電解質の吸収

小腸から大腸に送り込まれる便は液状ですが、大腸で水分を吸収することで、固形になって排泄される仕組みです。

肛門付近にある直腸には、食物や水分の吸収機能がなく、排泄前の便やガスを溜める役割を果たしています。

大腸と小腸の違いは?

小腸は、胃と大腸の中間に存在する臓器で、十二指腸・空腸・回腸から成ります。全長は約6mで、人間の体の中で最も長い臓器です。

大腸では、腸の内容物の水分を主に吸収する一方、小腸は胃から送られた食物をさらに分解し、栄養を吸収する役割を果たしています。

大腸の働きが悪いとどうなる?

大腸の働きが低下すると、便秘になりやすくなるほか、過敏性腸症候群を発症するリスクがあります。

以下では、大腸の働きが悪化した場合の体調への影響を詳しく説明します。

便秘になる

便秘とは、「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、 残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」と2023年の便通異常症診療ガイドラインで定義されています。

便秘が起きる原因は、偏った食生活や運動不足、睡眠不足、ストレスなどさまざまですが、大腸の機能低下も便秘の原因になり得ます。

大腸の働きが低下すると、便が腸内に留まる時間が長くなり、便の水分が多く吸収されます。水分が減った便は硬くなり、スムーズに排泄しにくくなるため注意が必要です。

過敏性腸症候群を発症する

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome)は、腸の機能に特別な異常がないにもかかわらず、便秘や下痢を慢性的に繰り返す症状です。

詳しい原因はわかっていないものの、脳と腸には相関関係があり、脳にストレスを感じたときや腸に不調が起きたとき、脳と腸の間の信号が強くなり、腸の働きに異常が出ると考えられています。

過敏性腸症候群の方に現れる症状の例は、以下のとおりです。

  • ・お腹の痛みや不調が数週間〜数ヶ月にわたって続く
  • ・排便後は腹痛が一時的に落ち着く
  • ・下痢や便秘が数ヶ月にわたって続く
  • ・便の形状が悪い
  • ・排便回数が不規則
  • ・残便感がある
  • ・ストレスを感じた際に症状が悪化する

過敏性腸症候群には、下痢を繰り返す「下痢型」や便秘・残便感が起こる「便秘型」、便秘と下痢を交互に繰り返す「混合型」など複数のタイプがあり、タイプによっても症状は異なります。

また、上記症状の1つに当てはまったからといって、必ず過敏性腸症候群を発症しているとは限りません。
しかし、当てはまる症状が複数ある場合は、医療機関での検査や治療を検討しましょう。

便秘を改善する方法

先述のとおり、大腸の機能が低下すると、便が硬くなり便秘症状に悩まされる場合があります。

最後に、自身でできる便秘の解消法を5つ紹介するため、便秘に困っている方はぜひ試してみてください。

規則正しい生活を送る

毎日同じような時間に睡眠や食事を摂り、排便リズムを安定させましょう。

とくに、朝食後の決まったタイミングでトイレに行く習慣をつけると、スムーズに排泄しやすくなります。朝食後以外でも、便意を感じたら我慢せずにトイレに行くことが大切です。

腸をマッサージする

腸を手で揉むことで、腸に刺激を与え、ぜん動運動を促せます。マッサージ方法の例は、以下のとおりです。

【腸を揉むマッサージ】

1.仰向けになり、ひざを立てる

2.右手をおへその上に置き、左手を軽く添える

3.おへそを中心に、円をえがくように10回マッサージする

4.お腹全体を、円をえがくように10回マッサージする

【タッピングマッサージ】

1.仰向けになり、ひざを立てる

2.左右の指先をおへその上に置く

3.おへそを中心に、円をえがくように指先でトントンと叩く(10周)

4. お腹全体を、円をえがくように指先でトントンと叩く(10周)

マッサージをする際は、お腹を強く押しすぎず、気持ち良いと感じる程度の力加減で行いましょう。マッサージ以外に、軽い有酸素運動や腹筋運動などを取り入れて、適度に体を動かすのもおすすめです。

食物繊維を摂取する

食物繊維は、善玉菌の餌になって腸内環境を整え、さらに便を柔らかくする効果も期待できる成分です。

また、乳酸菌やオリゴ糖、不飽和脂肪酸を含む脂質などの摂取も、便秘改善に効果が期待できます。

食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖、脂質を含む食材の例は、以下のとおりです。

【食物繊維を含む食品の例】

海藻類・きのこ類・根菜類・豆類・果物類など

【乳酸菌を含む食品の例】

チーズ・ヨーグルト・納豆・日本酒・漬物などの発酵食品

【オリゴ糖を含む食品の例】

豆類・果物類・野菜類など

【脂質を含む食品の例】

ナッツ類・オリーブオイルなど

食生活が偏りがちな方は、食事の栄養バランスに注意したうえで、上記のような食材も意識的に取り入れてみてください。

なお、食物繊維が豊富な食べ物については、以下もあわせてご覧ください。

【医師監修】便秘に効く野菜は?解消のためにおすすめの食物繊維が豊富な食べ物を紹介

水分を多めに摂取する

水分を十分に摂取することで、便が柔らかくなり、スムーズに排泄しやすくなります。水分を摂るときは、1日2リットル程度を目安に、一気に大量に摂取するのではなく、少量ずつこまめに摂りましょう。

なお、利尿作用のあるカフェインやアルコールを含む飲み物を摂ると、かえって水分不足につながるリスクがあるため注意してください。

酸化マグネシウム便秘薬を使う

酸化マグネシウム便秘薬は、腸内の水分を集めて便を柔らかくし、排泄しやすくする薬剤です。非刺激性で、お腹が痛くなりにくくクセにもなりにくいというメリットがあります。
なお、健栄製薬の「酸化マグネシウムE便秘薬」はオンラインショップで購入できるため、頑固な便秘に悩んでいる方は、ぜひ検討してみてください。

https://kenei-online.shop/collections/ebenpi

大腸の役割は重大!大腸を健康に保って便秘や下痢を防ごう

大腸は、小腸から送られた内容物の水分を吸収し、固形の便を作る役割を果たす臓器です。小腸では主に食物の栄養を吸収する一方、大腸では主に水分を吸収する点で小腸とは異なります。

大腸の働きが低下すると、便秘や下痢といった不調に悩まされやすくなります。大腸を健康に保って便秘を防ぎたい方は、腸のマッサージや食物繊維・水分の摂取などを試してみてください。
また、頑固な便秘が続くときは、酸化マグネシウム便秘薬を使うのも1つの方法です。

高山医師よりコメント
小腸には癌が少なかったり、大腸には菌が大量に存在したり、違いや分からないことがたくさんあります。腸は自分の意志で動かすことはできませんが、精神状態なども大きく影響します。規則正しい生活、ストレスの解消などを通じて大腸も労わってあげられると良いですね。
監修者

医師:高山 哲朗
かなまち慈優クリニック 理事長
平成14年慶應義塾大学卒業、慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、平成29年 かなまち慈優クリニック院長。医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本医師会認定産業医。東海大学医学部客員准教授。予測医学研究所所長。