EU/EEA圏内で麻疹流行の危険性

Vol. 12 / No. 11
Risk of measles transmission in the EU/EEA

ECDCは、欧州各国間で麻疹の輸入及び輸出感染例がみられており、欧州における麻疹感染のリスクが高まっていることを報告した。先日ECDCから発表された最新の緊急リスクアセスメントによると、EU/EEA諸国から報告された麻疹感染例は2016年から約3倍に増加している。
これは多くの欧州諸国でMMRワクチンの接種率が低下していることに大いに関係している。ルーマニア、イタリア、ドイツ、ギリシャ及びフランスでは現在、死亡例を含む大規模な麻疹アウトブレークが発生している。
英国国民に対する全般的なリスクは低いが、イングランドでは今年、168例の麻疹確定診断例が発生している。ほとんどの感染例はロンドン、South East、West Midlands及びSouth West地域で報告されている。2018年のイングランドの感染例の約半数は15歳以上であった。
英国は昨年、WHO麻疹撲滅状態を達成した。しかし、欧州で現在見られている麻疹アウトブレークを考慮すると、ワクチン未接種の者に麻疹患者が発生する可能性は今後も認められ、小規模な感染拡大がMMRワクチン接種率の低いコミュニティや濃厚な接触がある年齢層で発生しうる。
最新のPHE「COVER」データ(英国の小児予防接種計画によるワクチン接種率)が今号のHPRで発表されている。2017年10~12月の四半期データを対象としたこのレポートによると、英国全体のMMRワクチン接種率は、1期のMMRワクチンで91.6%、2期で88.0%であった。

2017年の結核に関する暫定データ(イングランド)

Vol. 12 / No. 11
Provisional TB data(England) for 2017

PHEは2017年のイングランドにおける結核の暫定データを発表し、届出数は2016年から9.3%、6年前と比べて38%減少したことが示された。2017年には、合計5,137例の結核患者の届出があり、これは人口10万人当たり9.3%の罹患率である。1990年以降、最も少ない結核患者数で、過去30年間で最低の結核罹患率であった。
世界結核デ―に先駆けて暫定データを発表する目的は、2015-2020年イングランドCollaborative TB Strategyを実施していることについて周知することである。 正式なイングランドの結核データは2018年9月に発表予定である。