緊急事態対応の従事者及び医療従事者向けの改訂CBRNマニュアル

Vol. 12 / No. 19
Revised CBRN manual for emergency responders and front-line healthcare professionals

Public Health England(PHE)は新しいCBRNインシデント・マニュアルを発表した。これはもともと(当時の)Health Protection Agencyが2006年に発表した勧告に対する初めての全面改定になる。
「化学物質、生物、放射線及び核によるインシデント:臨床管理及び健康保護」はもともと緊急事態対応の従事者及び救急医療の医療従事者向けのものであったが、プライマリーケアや公衆保健、緊急事態対応の計画立案者、研修者及び救命救急士など、他の専門家も参照できるものとなっている。これは以下の5セクションから構成されている。
・インシデント全般の管理に共通する原則
・化学物質、生物、及び放射線によるインシデントの各論
・爆発後など多数の被害者が発生した状況(例えば、血液媒介性ウイルス感染リスクの適切な制御、爆発による外傷及びその後の生物由来の産生物に対する抗菌薬の予防投与)に適用できる公衆保健上の対策についての今回新しく設けられた最終セクション
今回のマニュアルは、2006年版の化学物質及び生物によるインシデントに関するガイダンスを、様々な新興インシデントに関する項目を追加して改訂したものである。
例えば、生物学的インシデントのセクションには、多数の疾病ごとのアドバイスシート(ブルセラ症からウイルス性出血熱まで)が掲載されており、稀な感染症や重要な症候の鑑別診断に関するガイダンスが提示されている。化学物質によるインシデントのセクションには、「rapidly evolving chemical exposure syndromes」のアルゴリズムや多数の化学物質及び有毒物質ごとのアドバイスシートが掲載されている。
放射線によるインシデント対応セクションは、European Society for Blood and Marrow Transplantationの迅速臨床アセスメントツールと放射線被害に関するWHOの世界的コンセンサスガイドラインで作成されたケア・パスウェイを統合するため、完全にリニューアルされた。
改訂CBRNマニュアルは、英国National Health Service、Defence Medical Services及びPHEの専門家らが作成したものである。化学物質による被害者の管理に関するガイドラインはNPISが、文書全体の内容はNHS EnglandのEmergency Preparedness and Response Clinical Reference Groupがレビューした。