イギリス公衆衛生週報 感染症トピックス
2018年12月14日

Vol. 12 / No. 45

イングランドにおけるリステリア症年次報告書の要約

Listeriosis in England annual report in summary

リステリア症はイングランド及びウェールズでは稀な疾患であり、2017年には135例の報告しかなく(罹患率は人口100万人当たり3例未満)、過去6年間の平均と比べて17%の減少がみられた。しかし、この感染症は重症で致死率が高く、抵抗力の低い患者群に対する影響が大きいため、リステリア症はいまだに重要な公衆保健上の脅威となっている。
イングランド及びウェールズにおけるリステリア症の全国的サーベイランスは、PHEのNational Infection Service内の消化管感染症チームと共同で行っているが、感染例に関する疫学、臨床的及び細菌学的データの法定届出等の照合を行っている。
2017年のリステリア症サーベイランスデータの要約が発表された。主な所見は以下の通りである。

  • 2017年にはリステリア症の多くが(例年と同様に)60歳以上で、70歳以上の男性が最も大きなリスク群であった。
  • 妊娠に関連した感染例が報告例の約5分の1を占めており、分かっている範囲では妊娠関連感染例の約4分の1は流産または死産であった。
  • 妊娠に関連のないリステリア症では、感染例の30.3%が死亡したと報告されている。
  • リステリア症の罹患率は地域によってばらつきがあり、East Englandが最も低く(人口10万人当たり0.08例)で、Yorkshire and the Humberが最も高かった(人口10万人当たり0.35例)。
  • 2017年には4件のリステリア症アウトブレークに対する調査が行われており、同時に散発例2例の調査も行われている。この2例のうち、1例は生のミルク/チーズ、もう1例はサンドイッチとの関連がみられている。

主に食品媒介性の感染症であるため、リステリア症は基本的に感染予防が可能である。リステリア症の散発例及び集団感染のモニタリングを継続し、食品流通のリスクアセスメントを続けるための有用な情報を提供するうえで調査を継続することが不可欠である。
多くの場合、リステリア症感染症は気が付かないか、嘔吐や下痢などの軽症の症状しか見られないことが多く、通常はこれらの症状は数日で消失し、治療を要さない。重症の感染症は免疫抑制状態にある患者、または抵抗力の低い患者、例えば新生児、高齢者及び妊婦等で発生する。妊婦はリステリア症の発生リスクが高い食品、例えば非加熱のソフトチーズ、未滅菌の乳製品、加熱不十分な食品などを避けるべきである。