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vol.8 手術室における従来のポビドンヨードスクラブ・クロルヘキシジンスクラブと、ウォーターレスハンドラブの消毒効果:無作為化比較試験
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背景

手術室における術前の効果的な手指消毒は患者安全に必須である。従来のスクラブ法と新たなウォーターレスハンドラブ法などの異なる消毒方法の効果は十分に検証されていない。

方法

台北医科大学・雙和病院(Shuang Ho Hospital)において、外科系医療従事者が3つの異なる手指消毒方法(10%ポビドンヨード(PI)スクラブ、4%クロルヘキシジン(CHG)スクラブ、1%CHG+61%アルコール(AL)ハンドラブ)を実施し、ハンドスタンプ法により手指消毒前後のコロニー数を測定した。各群に80人を割り付けた。

結果

手指消毒直後のコロニー数は、CHGスクラブ群とCHG-ALハンドラブ群において、PIスクラブ群に比べて有意に少ない値であった。手術終了後のそれは、3群に差はなかった。PickUp8表

結論

CHGスクラブとCHG-ALハンドラブが、PIスクラブに比べて細菌の制御という観点から優れていた。術前の手指消毒にはCHGスクラブを推奨する。コストが大きくなっても構わないのであれば、CHG-ALハンドラブを使用しても構わないだろう。

監修者コメント

著者らは、台湾における実勢価格を使用して3種類の手指消毒に用いられる消毒薬のコストを算定している。1回当たりの使用量(スクラブが5~10mL、ラブが6mL)を勘案すると、PIスクラブが3.7~5.5円、CHGスクラブが6.7~13円、CHG-ALハンドラブが70円と、ハンドラブが圧倒的に高価であった。CHG-ALハンドラブは、CHGスクラブと細菌抑制効果がほぼ同等なので、著者らは後者を推奨する結論を導き出した。薬剤の価格は国や各施設によっても異なるので、この論文も参考にしつつ、各施設でどの方法を推奨するかを決定すべきであろう。