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vol.69 イスラエルにおける医療従事者のBNT162bワクチン4回目 接種とSARS-CoV-2感染との関連性
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重要性

 イスラエルでは医療従事者(HCW)の3回接種率が高いにもかかわらず、オミクロン株の流行でこのグループのSARS-CoV-2のブレイクスルー感染が高率に観察された。その結果、イスラエル保健省は、医療スタッフに4回目のワクチン接種を推奨することを決定した。

目的

 BNT162b2ワクチンの4回目接種がHCWのブレイクスルー感染率に及ぼす効果を評価すること。

デザイン、設定、参加者

 この多施設コホート研究は、4回目接種キャンペーンの最初の月である2022年1月のオミクロン株による流行拡大時に実施された。2021年9月30日までに3回接種を受け、接種キャンペーン前にCOVID-19に感染していなかったイスラエルの11の総合病院の全医療従事者を対象とした。

曝露

 2022年1月にBNT162b2ワクチンの4回目接種を行うこと。

主な結果および測定

 SARS-CoV-2陽性のポリメラーゼ連鎖反応検査の結果によって測定されたワクチン4回接種と3回接種者のCOVID-19ブレイクスルー感染。医療従事者は症状または曝露に基づいて検査された。

結果

 合計29,611人のイスラエル人HCW(19,381人[65%]が女性、平均年齢44歳、標準偏差12歳)が2021年8月から9月の間に3回目の投与を受けた。このうち5,331人(18%)は2022年1月に4回目を受け、接種1週間後までに感染しなかった。全体のブレイクスルー感染率は、4回接種群では5,331人中368人(7%)、3回接種群では24,280人中4,802人(20%)だった(相対リスク、0.35;95%信頼区間[CI]、0.32-0.39)。3回目のワクチンを接種した正確な日によるマッチング解析(相対リスク、0.61;95%CI、0.54-0.71)および時間依存のCox比例ハザード回帰モデル(調整ハザード比、0.56;95%CI、0.50-0.63)で同様の減少がみられた。両群とも、重篤な疾患や死亡は発生しなかった。

表 4回接種および3回接種の医療従事者におけるブレイクスルー感染率

結論と意義

 本コホート研究において、BNT162b2ワクチンの4回目の接種により、病院職員のブレイクスルー感染率は低下した。この低下は、3回目の接種後に観察された度合いよりも小さかった。しかし、オミクロン株の感染力の高さや、それによるHCWの深刻な不足を考慮すると、HCWの感染率を下げるために4回目のワクチン接種を検討すべきである。

訳者コメント

 本研究のコホートはイスラエルの約3万人の医療従事者であり、期間中の感染率も高かったことから十分に大きなコホートを用いて研究が行われたと言える。4回目のワクチン接種群にはやや偏りがあり、3回の接種に留まっている群に比べて男性・高齢・医師が有意に多いことが記述されている。しかし、表に示したとおり、それらの相違を相殺するために男女などを別々に解析した結果をみても、4回目の接種群の感染率は3回目までで留まった群のおよそ3分の1(相対リスク0.35)に留まっていることが示された。
 本研究の限界は、接種後およそ5週間(1週間+1ヶ月)後までしかその効果を検証していない点である。多くの研究が、接種後速やかな効果の減少を報告しており、4~5ヶ月が経過するとその効果が相当減弱する(ゼロに近い)ことがわかっている。4回目接種から4~5ヶ月経過した後の感染防止効果は、5回目接種の要否を考える上で重要な判断となってくる。そういった研究が世界のどこかで行われているはずであるが、その結果を待つ間、日本では4回目の接種を着々と推進し、第7波を乗り切るしかないのであろう。