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vol.74 有症状のSARS-CoV-2感染予防における二価mRNAワクチンの有効性―検査への地域アクセス向上プログラム、アメリカ、2022年9月~11月―
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2022年9月1日、SARS-CoV-2オミクロン株が優勢な時のCOVID-19一価ワクチンの効果低下に対処するため、SARS-CoV-2初期株およびオミクロンBA.4/BA.5株の成分からなる二価COVID-19 mRNAワクチンが予防接種実施諮問委員会(ACIP)によって推奨された。推奨時点では、初期株とオミクロンBA.1株からなる二価ワクチンの臨床試験による免疫原性データは得られていたが、臨床効果に関するデータは得られていなかった。本研究では、国のSARS-CoV-2検査プログラムである「検査への地域アクセス向上プログラム」のデータを用いて、オミクロンBA.4/BA.5株を含む二価ワクチンの有効性を検討した。

2022年9月14日から11月11日の間に、9,995箇所の小売薬局で、検査時にCOVID-19の症状を訴え、免疫不全の状態にない18歳以上の成人に対して行われた合計360,626件の核酸増幅検査(NAAT)が解析に含まれた。最後の一価ワクチン接種から2~3カ月および8カ月以上経過した人に対する二価ブースター接種と一価ワクチン2回以上投与の相対的ワクチン効果(rVE)は、18~49歳ではそれぞれ30%と56%、50~64歳では31%と48%、65歳以上では28%と43%であった。

二価mRNAブースター接種は、一価ワクチンのみを接種した者に対して有症状のSARS-CoV-2感染に対する追加予防効果をもたらし、直近の一価ワクチン接種からの時間が経過するほど相対的効果は高くなることが示された。COVID-19の予防接種を常に最新の状態に保つことは、二価ワクチンのブースター接種を受けることも含め、COVID-19に対する防御を最大化するために重要である。

表 一価COVID-19ワクチンを2/3/4回接種した後に二価mRNA COVID-19ワクチンブースター単回接種を行うことによる、有症状のSARS-CoV-2感染に対する絶対的ワクチン効果(カッコ内の数値は95%信頼区間)

訳者コメント

オミクロン株にも対応できる二価ワクチンは、2022年10月頃から日本でも接種可能となっている。今回紹介した論文で示された、二価ワクチンの追加接種による感染防止効果は、2020年末にワクチン接種が始まった頃から大きく低下してきており、更に効果の持続期間も短くなってきている。

また、直近の一価ワクチン接種からの時間が経過するほど相対的効果は高くなることが示されたと述べられている。確かに、ワクチン接種間隔があまり短すぎるとその効果を最大限に発揮することはできないだろうが、一価ワクチンの3回目あるいは4回目の接種によるワクチン効果は3ヶ月ほどしか持続しないことが既に他の研究から明らかになっている。従って、一価ワクチンと二価ワクチンの間隔をあまり大きく空けすぎると、ワクチンによる感染防止効果が小さくなる時期が長くなるというデメリットもある。従って、一概に時間を経過させてから二価ワクチンのブースター接種を行った方が良いとも言い切れない。

今後のCOVID-19ワクチン接種計画は、日本も含めて不透明な面が大きいと言える。