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vol.115 2021年から2023年にかけてのノルウェーの成人集団におけるCOVID-19mRNA ワクチン接種と全死因死亡率:人口ベースのコホート研究
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はじめに

世界中のほとんどの国で、COVID-19 の集団ワクチン接種キャンペーンと時期を同じくして、超過死亡が確認されている。このことから、ワクチンが死亡リスクに及ぼす可能性のある長期的な影響について、様々な推測がなされている。

方法

本研究は後ろ向きコホート研究として設計され、2021年1月1日から2023年12月31日までの期間にノルウェーに居住していた18歳以上の全員を対象とした。対象者は、接種日以降、未接種(接種回数が0回)、部分接種(1回または2回の接種)、完全接種(3回以上の接種)のいずれかに分類された。年齢層別のポアソンモデルを用いて、性別、暦年、居住郡、およびリスクグループ(介護施設入居者または重症化リスクの高い基礎疾患を有する者)を調整した上で、接種状態群間の全死因死亡の発生率比(IRR)を推定した。

結果

この研究には4,645,910人(女性の割合49.8%)が対象となり、追跡期間中に132,963人の死亡が確認された。すべての年齢層において、ワクチン未接種者群よりもワクチン完全接種者群においてリスクグループに属する人の割合が高く、未調整の死亡率は低かった:18~44歳では10万人年あたり51.5対73.6、45~64歳では10万人年あたり295.1対405.3、65歳以上では10万人年あたり3620.2対4783.8であった。同年齢層における調整済み死亡IRRは、それぞれ0.42(95%信頼区間[CI]0.38~0.47)、0.39(95%CI 0.37~0.41)、0.42(95%CI 0.41~0.43)であった。ワクチン接種状態群間の死亡率の差は男性でより大きく、2022年にピークに達した。

表 ワクチン接種回数による全死因死亡の発生率比

結論

2021年から2023年にかけて、ワクチン接種者は未接種者に比べて全死因死亡率が低かった。この差は男性においてより大きく、2022 年に新型コロナウイルス感染症の対策が解除された後に最も顕著となり、調査期間を通じて持続していた。

訳者コメント

 新しいワクチンの長期的な効果や影響は、その導入初期において一般的に不明である。COVID-19ワクチンに関しては、当初心筋炎などの非常にまれであるが重篤な副反応が観察されたため、副反応が大いに問題であるといった疫学的見地に基づかない様々な見解がSocial Mediaなどで発信され、ワクチン忌避にもつながっていた。
 本研究は、ノルウェーで2021年~2023年の3年間という比較的長期的におけるワクチンの効果や影響を、全死因死亡というアウトカムを用いて調査したものである。この時期にはCOVID-19が本格的に流行し、世界中で多くの人が感染し、死亡者も多数発生した。研究の結果、ワクチン接種を行った集団の全死因死亡が行わなかった集団よりも低率であり、相当程度優れていることが明らかになった。その効果は、ワクチン接種実施により死亡リスクを25~60%低減できるというものであり、しかも多少の差はあるものの年齢層・男女・時間経過によらずその効果が認められたというものである。高齢者だけでなく若年者においても死亡リスクの有意な低下が認められた点は特筆すべきであり、若年者においてもこの時期のワクチン接種に大きなメリットがあったことを示唆している。
 さて、本稿を執筆している2026年においては、抗体疫学調査などの結果から、ほとんどの人が一度はCOVID-19に感染(不顕性も含めて)したと考えられるような状況になっている。また、本研究は死亡のみをアウトカムとして設定しており、死亡に至らない副反応や、COVID-19に感染した人の長期的な障害( Brain Fogと呼ばれる脳の機能低下状態など)については検討されていない。COVID-19ワクチンの効果や影響について、今後も更なる研究が必要であると言える。