コラム

【医師監修】ワセリンは顔にも使える?ワセリンの活用法と使用時のポイントについて

2022.12.03|乾燥肌・スキンケア

リーズナブルで、ドラッグストアなどに行けば簡単に手に入れられるワセリン。保湿効果が高く、日々のお手入れに取り入れやすいアイテムです。今回は、ワセリンの特徴をふまえた上で、顔への上手な使い方や注意点などを紹介します。

ワセリンってどんなもの?

ワセリンとは、石油から抽出した炭化水素類を脱色、精製して作られた保湿剤です。天然成分である石油を高純度に精製し、できるだけ不純物を取り除いているため、においや味がなく、顔をはじめ全身に使うことができます。ひとくくりに「保湿剤」と言っても、肌に水分を与えるものや、水分を保持するものなど、その働きは製品によってさまざまです。その中でもワセリンは、肌の表面に油膜をつくることで肌内部からの水分の蒸散を防ぎ、肌の潤いを保つ働きをします。さらにこの油膜は、ホコリなどの外部刺激からも肌を守ってくれると考えられています。

ワセリンは、精製度によって色が異なるのが特徴です。一般的には精製度が高くなるほど白くなり、不純物も取り除かれるので肌への刺激も少ないといわれています。顔に使う場合は薬局やドラッグストアなどで市販されている「白色ワセリン」を選ぶと良いでしょう。また肌が弱い人や、アトピー性皮膚炎の人、赤ちゃんなどが使用する場合も、なるべく純度の高い白色ワセリンを選んでください。

赤ちゃんの肌にも優しいイメージ

ワセリンの顔への使い方

男女年齢を問わず、顔を含む全身に使えるワセリンは、目元や唇などデリケートで薬を塗りにくい部位にも使うことができます。ここでは、ワセリンの顔への使い方について、代表的なものをご紹介しましょう。

●顔の保湿に
肌の表面に油膜を張るワセリンは、肌の水分の保湿保護にぴったりです。洗顔後やお風呂上がりのスキンケアの仕上げにワセリンを塗ることで、水分を肌に閉じ込めて保湿効果を高めてくれます。ただし、ワセリンはあくまで肌の表面を覆うもので、肌に水分を補うことはできません。まずは化粧水や乳液などで皮膚にしっかりと潤いを与え、その後、ワセリンでふたをしてあげましょう。

●化粧下地に
ワセリンは、化粧下地としても使うことができます。特に時間が経つとファンデーションが粉をふいたようになってしまうなど、乾燥肌で悩む人にオススメの方法とされています。化粧水や乳液で肌を整えた後、少量のワセリンを手のひらで伸ばし、顔全体に優しくなじませてください。この時、量が多すぎるとメイク崩れにつながるため注意が必要です。べたつきが気になる場合は、軽くティッシュで押さえてからファンデーションを塗るとよいでしょう。下地としてワセリンを塗ることで、ファンデーションのムラもできにくいと考えられています。

●唇の保湿に
唇は顔の中でも特に皮膚が薄く、とてもデリケートな部位であるため、こまめな保湿ケアが欠かせません。こうした唇のケアにもワセリンは活躍してくれます。
使い方は適量のワセリンを唇に薄く塗るだけです。その際、唇のしわを埋めるように縦方向に塗っていくのがポイントです。乾燥がひどい場合には、リップパックも効果的です。ホットタオルなどで唇を温めた後、たっぷりのワセリンを唇に塗り、ラップをかぶせて3~10分放置するだけでOKです。
同じ要領で口紅の下地として使うと、メイクと同時に保湿も可能です。また、口紅の上から薄くワセリンを塗れば、色落ちを防いで口紅を長持ちさせることもできるでしょう。

●マッサージオイルに
マッサージオイルとしてワセリンを使うと、マッサージの際に生じる手と肌の摩擦から肌を守ってくれます。顔のマッサージに使う場合は、保湿に使う時よりも多めの量を取り、しっかりと手のひらで伸ばしてから塗布し、マッサージを行います。マッサージの後、べたつきが気になる場合はホットタオルなどで優しくふき取りましょう。

ワセリンを使用する時のポイントとは?

顔のケアのポイントのイメージ

肌を優しく保護してくれるワセリンですが、塗りすぎると肌がベタベタしてしまうため、使用量には注意が必要です。顔の保湿を目的にワセリンを使う時には米粒2つ分程度で十分です。それを両手で挟み込むように温めてから、手のひらに薄く伸ばし、顔を包み込むように軽く押し当てます。量が多すぎると肌トラブルにつながるケースもあるため、まずは少量を使い、足りないと思ったらまた米粒2つ分を追加してください。「薄く」「優しく」「こまめに」塗ることが肝心です。

また、基本的にはワセリンに副作用はないといわれていますが、ニキビが出ている場合は注意が必要です。炎症を起こしている赤ニキビの上に塗ってしまうと、毛穴をふさいでニキビを悪化させることもあるため、使用を控えた方が無難です。

なお、先にも述べたように、ワセリンは肌の表面に膜を張ることで皮膚からの水分の蒸発を防ぎます。そのため、ワセリンだけのお手入れでは、肌の外側はべたついているのに内側は水分不足で乾燥している「インナードライ」を引き起こしてしまう危険性があります。必ず先に化粧水や美容液で水分をたっぷり補給してから、ワセリンを塗るようにしてください。

まとめ

肌をしっかり保湿保護しながら、外部の刺激から守ってくれるワセリンは、さまざまな場面で気軽に使用することができます。顔に使う場合はなるべく精製度の高いものを選び、正しい使用法を守ることが大切です。毎日のスキンケアに積極的に活用して、しっとりと潤った美肌を目指しましょう。

木村医師よりコメント

ワセリンは使いやすいので、常備しておくと重宝します。顔へ直接塗るものとしても利用でき、精製度の高いものを選ぶことで安心して使用することができるでしょう。潤いを与えることはできませんが、肌に油膜を作って、水分が逃げてしまうことを防いでくれるのがワセリンの特徴です。この特徴を踏まえてスキンケアに使用すると、肌を良い状態に保つために効果を発揮してくれると思います。

医師・木村眞樹子
監修者
医師・木村眞樹子

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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