VOL.58 下腹部の痛みや張りは便秘のせい?お腹にガスが溜まる原因と対処法を紹介

便秘になると、腹部を中心に不快感を覚えることがあります。便が硬く出にくくなったりガスが溜まったりすると、下腹部の痛みや張りを伴うこともあります。
しかし、便秘以外の病気で下腹部の症状が出る場合もあるため、注意が必要です。
今回は、便秘の症状や便秘と下腹部の痛みや張りの関係、便秘以外で考えられる下腹部痛の原因を解説します。
下腹部の痛みや張りをやわらげる対処法や、便秘の改善方法もあわせて紹介するため、ぜひ参考にしてください。
よくある便秘の症状
まずは、便秘の主な症状を紹介します。ご自身が便秘かどうか判断に悩むときは、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- ・排便の回数が週に3回以下
- ・残便感
- ・排便困難感
- ・下腹部の痛みや張り
それぞれの症状について、詳しく説明します。
①排便の回数が週に3回以下
毎日排便がないと「便秘」と考えられがちですが、一般的に医療機関で便秘と判断されるのは、自発的な排便回数が週に3回以下の場合です。
ただし、排便回数はあくまでも目安で、毎日排便がなくても残便感や不快感がなければ便秘とはみなされません。
一方、毎日排便があっても残便感や不快感を伴う場合や、排便が苦痛に感じたり、便が硬くて量も少なかったりする場合は、便秘と判断されることがあります。
②残便感
毎日排便しても残便感がある場合は便秘とみなされます。残便感とは、排便をしてもお腹がすっきりせず不快感が残る症状です。
1回の便量が少ないと、残便感を伴いやすい傾向があります。
ただし、残便感にも個人差があるため、便量が少ないからといって必ずしも便秘とは限りません。ご自身で判断するのは難しいため、便は出るのにすっきりしない方は、医師に相談してみましょう。
③排便困難感
便が硬くなって排便が難しい状態が続くと、便秘と判断されるケースがあります。
便意は感じるものの、うまく便が出せずに不快感や残便感などを伴うほか、硬い便によって肛門に痛みを感じたり、肛門が傷ついて便に血が混じったりすることもあるでしょう。
上記のような便が出しにくい状態を「排便困難感」と呼びます。便意を感じてもうまく排便できない場合は、排便困難感のある便秘が疑われます。
④下腹部の痛みや張り
便秘が原因で、お腹の痛みや張りを感じることもあります。
便に含まれる水分が不足して硬くなることにより、痛みや張りが生じると考えられています。排便後に症状が軽減した場合は、便秘が原因かもしれません。
また、腸に溜まった便が腐敗すると腸内で有害ガスが発生します。ガスがお腹に溜まることで、腹部膨満感や下腹部痛となって症状が現れるケースも少なくありません。
便秘の症状が悪化すると、吐き気を伴う場合もあります。思い当たる症状があれば、下腹部の痛みを軽減するためにも、日頃から便秘解消に努めましょう。
ただし、病気が原因でお腹の痛みや張りが起こっている可能性もあります。気になる症状がある場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。
お腹にガスが溜まる原因
先述のとおり、下腹部の痛みや張りの一因としてお腹にガスが溜まることがあげられます。お腹にガスが溜まる原因としては、主に以下のとおりです。
- ・食事内容:暴飲暴食や栄養バランスの偏った食事でガスが発生しやすくなる
- ・早食い:空気を一緒に飲み込みやすくなる
- ・生活習慣:運動不足や冷えなどで腸の動きが鈍くなる
- ・腸内環境の悪化:悪玉菌が多くなることでガスが発生する
- ・便秘以外の疾患
なお、お腹にガスが溜まる原因についてさらに詳しく知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。
【医師監修】お腹にガスが溜まる原因とは?ストレスとの関係と対処法を解説
便秘以外に考えられる下腹部痛の原因
下腹部痛は便秘のほかに、病気が原因の可能性があります。以下では下腹部痛がある場合に考えられる病気を紹介します。
- ・過敏性腸症候群
- ・膀胱炎
- ・大腸がん
- ・婦人科系疾患
症状が気になる方はチェックしてみましょう。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、自律神経の乱れや精神的ストレスによって腸が過敏になり、便通異常を起こす病気の1つです。
便秘や下痢の症状のほか、下腹部痛などの痛みや膨満感が生じます。
過敏性腸症候群は、ストレスや暴飲暴食、過度の飲酒などが要因で引き起こされると考えられています。
膀胱炎
膀胱炎になった場合も下腹部痛の症状が出ることがあります。膀胱炎とは、膀胱に侵入した細菌や毒素によって炎症を起こす病気です。20~40代の女性に多く発症する傾向があります。
膀胱炎の主な症状は排尿痛や頻尿、残尿感や尿意切迫感、尿の混濁です。排尿時以外にも下腹部痛を伴う場合もあります。
排尿時に違和感や痛みがある方は、膀胱炎の可能性があるため、病院での検査を検討しましょう。
大腸がん
大腸がんが原因で下腹部痛を起こしている可能性もあります。一般的に、大腸がんは自覚症状が少ない傾向がありますが、便の色や形に変化が見られたり、体重が減少したりする場合は注意が必要です。
また、血便の症状が現れる場合もあり、嘔吐を伴うケースも少なくありません。便秘以外にも気になる症状がある方は、自己判断せずに早急に医療機関で検査を受けるようにしましょう。
婦人科系疾患
女性の場合は、婦人科系疾患が要因となって下腹部痛が起こるケースもあります。下腹部痛の症状が出る代表的な婦人科系疾患は、異所性妊娠や子宮内膜症などです。
子宮など女性特有の臓器は、消化器系器官と隣接しているため、便秘の症状と勘違いされることもあります。
普段から月経の異常などが気になる方は、婦人科系疾患が原因で下腹部痛を起こしている可能性があるため、一度婦人科を受診してみてください。
下腹部の痛みや張りの原因となる便秘の対処法
便秘が原因で下腹部の痛みや張りがある場合は、症状をやわらげる方法を試してみると良いでしょう。腸が刺激されるような運動やツボ押しを行うと、便やガスが出やすくなる可能性があります。
便秘解消のためにできることはたくさんありますが、早め症状を落ち着かせることも大切です。まずは、症状緩和のために実践できる対処法を紹介します。
- ・下腹部をマッサージする
- ・ストレッチをする
- ・ツボ押しをする
下腹部をマッサージする
下腹部をご自身の手でマッサージすることで、腸が刺激され、ぜん動運動が促されます。その結果、便やガスが排出されやすくなり、下腹部の症状がやわらぎます。
下腹部に手のひらを当てながら、「の」の字を書くように時計回りにマッサージしましょう。痛みを感じない程度の力加減で、ゆっくりと滑らせるように手を動かすのがポイントです。
マッサージは、仰向けになってリラックスした状態で、3~5分程度、30回ほどを目安に行いましょう。
ストレッチをする
骨盤を大きく回す動きや、腰をひねるような動きを取り入れたストレッチは、下腹部の張り解消に役立ちます。仰向けになり、片足ずつ太ももをお腹に引き寄せる股関節ストレッチもおすすめです。
前述した「の」の字マッサージとセットで行うと、より効果が期待できます。腸に刺激が与えられ、排便やガスの排出が促されます。なお、ストレッチとともに腹式呼吸も意識すると良いでしょう。
ツボ押しをする
ツボ押しは、簡単にできる便秘解消法の1つです。ほかの方法と組み合わせて気軽に取り入れてみましょう。便秘解消に役立つとされるツボの代表例を紹介します。
- ・手首の内側から指4本分あがったところにある「間使(かんし)」を押しながら揉む
- ・おへその左右、指3本分外側にある「天枢(てんすう)」を「の」の字マッサージで刺激する
- ・手の甲の親指と人差し指の骨が交差する部分にある「合谷(ごうこく)」を押す
なお、前述のマッサージと併せて、より詳しい情報を知りたい方は以下もご確認ください。
市販の便秘薬を服用する
マッサージなどを実践しても便秘が解消されない場合は、市販の便秘薬を試すのも1つの方法です。便秘による下腹部の痛みや張りを、なるべく早くやわらげたい場合に効果が期待できます。
とくに、酸化マグネシウムの便秘薬には、お腹が痛くなりにくく、クセになりにくいという特徴があります。酸化マグネシウムには便の水分を保つ働きがあり、便を柔らかくするのに役立ちます。
飲む回数や量も症状により調整できて飲みやすいですが、用法・用量を守って服用しましょう。服用が初めての場合やほかの薬を服用中の場合は、購入前に医師や薬剤師に相談してください。
なお、健栄製薬の「酸化マグネシウムE便秘薬」は、オンラインショップでも購入可能です。便秘解消を急ぐ方や常備したい方は、ぜひ検討してみてください。
日常生活で意識したい!便秘解消方法を紹介

不快な症状をやわらげるためにも、普段から便秘防止を心がけましょう。以下では、便秘解消の効果が期待できる方法を紹介します。
- ・食生活の見直し
- ・水分補給
- ・適度な運動習慣
- ・規則正しい生活習慣
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
食生活の見直し
便秘を解消するには、まず食生活を見直しましょう。栄養バランスの偏った食事が多い方は、バランスの良い食生活を意識する必要があります。
便秘解消に効果が期待できるのは、食物繊維の多い食品です。緑黄色野菜や豆類、海藻類やきのこ類に多く含まれています。
主食では、玄米やライ麦パン、そばなどに食物繊維が含まれているため、食事に取り入れてみてください。
また、整腸効果が期待できる乳酸菌や発酵食品も、便秘解消に役立つといわれています。納豆やキムチは、普段の食事に手軽に取り入れやすい発酵食品です。
ヨーグルトやチーズなどの乳製品も、いつもの食事に加えてみましょう。
水分補給
便秘解消のためには水分補給も心がけましょう。体内の水分が不足すると、便に含まれる水分も少なくなり、便が硬くなって排出しにくくなる場合があります。スムーズな排便を促すためにも、日頃からしっかり水分を摂取しましょう。
水分は一度に大量に摂取すると、尿として排出されてしまいます。体内にしっかり水分を蓄えるためには、少しずつこまめに補給することが大切です。
適度な運動習慣
腸を刺激するためにも、日頃から適度に運動することが大切です。腸を活発に動かすためには、ある程度の筋力が欠かせません。とくに、お腹の筋力が弱まると便秘になりやすい傾向があるため、注意が必要です。
普段から腹筋運動やエクササイズなどを取り入れて、適度に体を動かしましょう。運動が苦手な方はテレビを見ながら行う「ながら運動」など、軽めのエクササイズから始めてみてください。
気が向いたときにだけ行う激しい運動よりも、毎日無理なく続けられる運動がおすすめです。
規則正しい生活習慣
不規則な生活リズムや暴飲暴食を繰り返すことで、自律神経が乱れやすくなります。自律神経の乱れは過敏性腸症候群の要因となり、便秘を引き起こす可能性があります。
食生活を見直したり生活リズムを整えたりしながら、規則正しい生活を心がけることが大切です。
精神的なストレスも過敏性腸症候群の要因のため、日頃からリフレッシュを心がけながら生活しましょう。
便秘も下腹部の痛みや張りの原因に!健康的な生活を心がけて改善を
下腹部の痛みや張りはさまざまな原因で起こります。便秘も要因として考えられるため、普段から予防や解消に努めることが大切です。
食物繊維の多い食事や規則正しい生活リズムを心がけ、健康的な生活を送りましょう。
生活習慣を見直しても便秘が改善されない場合や、症状を早くやわらげたい場合は、便秘薬を試してみるのも1つの方法です。
酸化マグネシウムの便秘薬はお腹に刺激が少なく腹痛になりにくいため、医師や薬剤師にご相談のうえ、服用を検討してみてください。
対処法を実践しても症状が改善されない場合や、ほかの症状を伴う場合は、自己判断するのではなく医療機関を受診しましょう。