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VOL.58 【医師監修】便秘で下腹部痛が起こる?考えられる原因や疾患・改善方法を紹介

便秘になると腹部を中心とした不快感が気になります。人によっては下腹部痛を伴うこともあり、便秘がもたらす心身への影響に不安になる方も多いでしょう。

そこで今回は「便秘の症状」や「便秘と下腹部痛の関係」を紹介します。下腹部痛には便秘以外の原因も隠れている場合もあるので、以下の情報を参考にしながら医師の診断を仰いでください。

よくある便秘の症状

まずは、便秘の主な症状を紹介します。自分が便秘かどうか判断に悩むときは、以下の4つのポイントを参考にしてください。

●便秘の症状①:排便の回数が週に3回以下
毎日排便がないと便秘と思われがちですが、一般的に病院で便秘と判断されるのは、自発的な排便回数が週に3回以下の場合です。排便回数はあくまでも目安で、毎日排便がなくても残便感や不快感がなければ便秘とは言いません。

反対に、毎日排便があっても残便感や不快感が残る場合は便秘と判断される場合があります。排便が苦痛に感じたり、便が硬くて量も少なかったりする場合は便秘が疑われるでしょう。

●便秘の症状②:残便感
毎日排便しても残便感がある場合は便秘とみなされます。残便感とは、排便をしてもお腹がすっきりせず不快感が残る症状のことです。

1回の便量が少ないと残便感が残りやすい傾向にあります。ただし、残便感にも個人差があるため、便量が少ないからといって必ずしも便秘とは限りません。残便感がいまいちわからない方は、医師に相談してみてはいかかでしょうか。

●便秘の症状③:排便困難感
便が硬くなって排便が難しい状態が続くと、便秘と判断されるケースがあります。便意は感じるものの、上手く便が出せずに不快感や残便感などを伴うほか、肛門に痛みを感じることもあります。

便が硬くなりすぎると血が混じることもあるでしょう。このように便が出しにくい状態を排便困難感と呼びます。便意を感じても上手く排便できない場合は、排便困難感を疑ってみましょう。

●便秘の症状④:お腹の張りや痛み
便秘が原因で、お腹の張りや痛みを感じることもあります。張りや痛みの原因は、便に含まれる水分が不足して硬くなることだと考えられています。

排便後にお腹の張りや痛みが軽減した場合は、便秘が原因かもしれません。ただし、病気が原因でお腹の張りや痛みが起こっている可能性もあるので、気になる症状があれば早めに医療機関を受診するようにしましょう。

下腹部痛があるのは便秘が原因?

便秘が原因で下腹部痛が起こる可能性はあります。下腹部痛は主に便通不良による痛みと考えられるでしょう。

腸に溜った便が腐敗すると腸内で有害ガスが発生します。ガスがお腹に溜まることで、腹部膨満感や下腹部痛となって症状が現れるケースも少なくありません。また、便が硬くなると排便時に腹痛や下腹部痛を感じることも。

便秘の症状が悪化すると、吐き気を伴う場合もあります。便秘の症状に思い当たる節があれば、下腹部痛を軽減するためにも日頃から便秘解消に努めていきましょう。

便秘以外に考えられる下腹部痛の原因

下腹部痛は便秘のほかに、病気が原因の可能性があります。ここからは下腹部痛で考えられる病気を紹介するので、症状が気になる方は参考にしてください。

●過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、自律神経失調症や精神的ストレスによって腸が通常よりも過敏になっている状態のこと。便通異常を起こす病気の1つです。

過敏性腸症候群は便秘や下痢の症状のほか、下腹部痛をはじめとした腹部の痛みや膨満感がみられます。

過敏性腸症候群は精神ストレスや暴飲暴食・過度の飲酒などが要因と考えられます。病気を治すためにも、ストレスを緩和する努力や健康的な食生活を心掛けることが大切です。

●膀胱炎
膀胱炎も下腹部痛の症状があります。膀胱炎とは、膀胱に侵入した細菌や毒素が要因となって炎症を起こす病気で、20~40代の女性に多く発症する傾向にあります。

膀胱炎の主な症状は「排尿痛」や「頻尿」、「残尿感」や「尿意切迫感」「尿の混濁」です。排尿時に関係なく下腹部痛を伴う場合もあるので、排尿時に違和感や痛みがある方は病院で膀胱炎の検査を受けてみてください。

●大腸がん
大腸がんが原因で下腹部痛を起こしている可能性もあります。一般的に、大腸がんは自覚症状が少ない傾向にありますが、便の色や形が変化したり、体重の減少がみられたりする場合は注意が必要です。

人によっては血便の症状が現れる場合もあり、嘔吐を伴うケースも少なくありません。便秘以外にも気になる症状がある方は、自己判断せずに早急に医療機関で検査を受けるようにしましょう。

●婦人科系疾患
女性の場合は、婦人科系疾患が要因となって下腹部痛が起こっているケースもあります。下腹部痛の症状がある婦人科系疾患は、異所性妊娠や子宮内膜症があります。

婦人科系疾患は消化器系器官と隣り合わせになっているため、便秘の症状と勘違いすることもあるかもしれません。普段から月経の異常が気になるなど、婦人科系疾患が原因で下腹部痛を起こしている可能性がある方は、最寄りの婦人科を受診してみてください。

日常生活で意識したい!便秘解消方法を紹介

不快な症状をやわらげるためにも、普段から便秘防止を心掛けていきましょう。便秘改善効果に期待ができる方法を紹介するので、生活習慣の見直しを兼ねて以下の対策を試してみてください。

●食生活の見直し
便秘を解消するにはまず、食生活を見直しましょう。栄養バランスの偏った食事が多い方は、バランスの良い食生活を意識しなければなりません。

便秘解消効果に期待ができるのは、食物繊維の多い食品。緑黄色野菜や豆類、海藻類やきのこ類に食物繊維が多く含まれています。主食では玄米やライ麦パン・そばなどに食物繊維が含まれているので食事の見直しの参考にしてください。

また、整腸効果に期待ができる乳酸菌や発酵食品も便秘解消に役立つと言われています。普段の食事に手軽に摂り入れやすい、納豆やキムチを食べてみてはいかかですか。

ヨーグルトやチーズなどの乳製品も便秘解消効果に期待ができるので、いつもの食事にプラスしてみてください。

●水分補給
便秘解消のために水分補給も心がけましょう。体内の水分が不足すると便に含まれる水分も少なくなり、便が硬くなって排便がしにくくなる場合があります。排便が困難になると便秘となってしまうので、スムーズな排便を促すためにも、日頃からしっかり水分を摂取しましょう。

水分は一度に大量に摂取すると、尿として排出されてしまいます。体内にしっかり水分を蓄えるためには、少しずつこまめに補給することが大切です。

●適度な運動習慣
腸を刺激するためにも、日頃から適度に運動することが大切です。腸を活発に動かすためにはある程度の筋力が必要。特にお腹の筋力が弱まると便秘になりやすい傾向にあります。

普段から腹筋運動やエクササイズなどで適度に体を動かしましょう。運動が苦手な方は「~ながら運動」など軽めのエクササイズからはじめてみてください。

気が向いた時にだけ行う激しい運動よりも、毎日無理なく続けられる運動がおすすめです。

●規則正しい生活習慣
生活が不規則だったり、暴飲暴食を繰り返したりすると自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると過敏性腸症候群の要因となり、便秘を引き起こす可能性があります。

食生活を見直したり、生活リズムを整えたりしながら、今日からさっそく規則正しい生活を心掛けていきましょう。

精神的ストレスも過敏性腸症候群の要因なので、日頃からリフレッシュをしながら生活することも大切です。

下腹部痛は便秘も要因の1つ!健康的な生活を心掛けよう

下腹部痛は便秘も要因の1つとして考えられるので、普段から便秘の予防解消に努めることが大切です。食物繊維の多い食事を心掛けたり、生活リズムを整えたりしながら健康的な生活を送りましょう。

生活習慣を見直しても便秘が改善されない場合は、便秘薬を試してみるのもよいです。酸化マグネシウムの便秘薬はお腹に刺激が少なく、腹痛になりにくいのが特徴です。

便秘薬を使用しても改善されない場合や、便秘が解消されても下腹部痛が改善されない場合は迷わず医師に診てもらうようにしましょう。


工藤医師よりコメント
便秘が原因の下腹部痛は便秘が解消されれば自然と改善しますので、生活習慣を見直したり、市販の便秘薬をうまく取り入れたりしてみて下さい。
監修者

医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

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