VOL.59 便秘でお腹が痛いときの対処法は?日常でできる改善方法もあわせて紹介

便秘が原因でお腹が痛いとき、どうすれば少しでも楽になれるのでしょうか。「お腹が痛いけれど、便意がない」そのようなときは、トイレで無理に力む前に簡単な対処法を試してみましょう。
腹痛が長引く場合に備えて、医療機関を受診すべき症状を知っておくことも大切です。
今回は、便秘でお腹が痛くなる原因や対処法、便秘の改善方法などを紹介します。
便秘による腹痛にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
便秘でお腹が痛くなるのはなぜ?
便秘で腸に便やガスが溜まっていると、腹痛を引き起こすことがあります。便秘の原因や症状によっては、軽度の腹痛だけでなく腰にまで響くような激痛を感じることもあります。
便秘でお腹が痛くなる原因は以下のとおりです。
- ・便が溜まってお腹の中の動きが鈍くなっている
- ・腸内に溜まったガスが腸を刺激している
- ・腸の痙攣によって痛みが引き起こされている
それぞれの原因を詳しく説明します。
便が溜まってお腹の中の動きが鈍くなっている
便が腸に長く留まると、腸の動き(ぜん動運動)が低下し、さらに排便しにくくなります。こうした腸の働きの低下は、腹痛やお腹の張りを引き起こす原因になります。
また、便が溜まった状態では腸内環境が悪化します。悪玉菌が増えることで腸に炎症が起こり、痛みにつながることもあります。
便意を我慢する習慣も排便反射を鈍らせ、便秘を悪化させる要因です。便意を感じたら、できるだけ早めにトイレに行きましょう。
腸内に溜まったガスが腸を刺激している
便秘が続くと、腸内に便が長時間留まり、発酵が進んでガスが過剰に発生します。ガスで腸内の圧力が高まり、腸壁が引き伸ばされた結果、お腹が痛くなることがあります。
腸内ガスに含まれる硫化水素やアンモニアなどの有害成分が腸を刺激し、腹痛の原因となることも少なくありません。
また、ガスの溜まりすぎは腸の動きを鈍らせ、さらに排便しづらくなり、腹痛を悪化させる要因にもなります。
腸の痙攣によって痛みが引き起こされている
便秘が続くと、腸の筋肉が過剰に収縮して痙攣(けいれん)を起こし、刺すような鋭い腹痛を感じることがあります。これは、腸が硬い便を排出しようとして無理に動こうとするために起こる反応です。
また、ストレスや不安によって自律神経のバランスが乱れると、交感神経が優位になり、腸の緊張が高まって痙攣を引き起こしやすくなります。
便秘による不快感がストレスとなり、さらに腸の動きが乱れるという悪循環に陥ることもあります。こうした痙攣は「けいれん性便秘」によく見られ、腹痛やコロコロとした硬い便、残便感などを伴うのが特徴です。
便秘でお腹が痛いときの対処法
便秘による腹痛はつらいものですが、自宅でできる簡単な方法で症状をやわらげることもできます。お腹が痛いときの具体的な対処法は以下のとおりです。
- ・お腹を温める
- ・前かがみの姿勢になる
- ・マッサージをしてみる
- ・市販の便秘薬を試してみる
それぞれの対処法を詳しく解説していきます。
お腹を温める
便秘による腹痛を感じたら、お腹を温めるのがおすすめです。腸の緊張がやわらぎ、ぜん動運動が促されることで、排便しやすい状態になります。お腹を温めること自体が安心感につながり、痛みの軽減に役立つこともあります。
一方、冷えは腸の働きを低下させるため、腹痛の原因となります。冬場だけでなく、夏場でもエアコンの効いた室内や通勤電車ではお腹が冷えるので注意しましょう。
お腹の温め方は以下のとおりです。
- ・湯たんぽやカイロをお腹に当てる
- ・腹巻きや毛布でお腹を覆う
- ・外出先ではブランケットを携帯する
- ・温かい飲み物を飲む
さまざまな方法があるので、そのときの状況に合わせて、無理のない方法でお腹を温めましょう。お腹が痛くなりやすい方は、カイロやブランケットなど、温められるアイテムを常に持ち歩いておくと安心です。
前かがみの姿勢になる
便秘による腹痛がつらいときは、体を少し前に倒した「前かがみの姿勢」をとると痛みがやわらぐことがあります。腹部の緊張がほぐれ、腸への圧迫がやわらぎ、お腹の張りや不快感が軽減されやすくなるためです。
座っているときも立っているときも、軽く前傾姿勢を意識するだけで、お腹への負担が軽減されることがあります。
試してみたい姿勢の例は以下のとおりです。
- ・体育座りのように膝を抱え、上体を少し丸める
- ・椅子に座って前傾姿勢をとる(机にひじをついて支えると◎)
- ・立っているときは、腰を軽く曲げて前かがみの姿勢をとる
- ・横になれる場合は、「シムスの体位」がおすすめ
シムスの体位とは、体の左側を下にして横向きに寝て、右足を軽く曲げる体勢です。右足の下にクッションや丸めたタオルを挟むと、腰への負担が軽減され、よりリラックスしやすくなるでしょう。
腹部の緊張をやわらげ、少しでも快適な状態を保つのがポイントです。
マッサージをしてみる
便秘でお腹が痛いときは、やさしくお腹をマッサージするのもおすすめです。腸の動きをサポートすることが、痛みの緩和につながるでしょう。
自宅でも簡単にできるので、まずは無理のない範囲で試してみてください。
詳しいマッサージ方法を知りたい方は、以下もご参考ください。
市販の便秘薬を試してみる
腹痛の原因が便秘と考えられる場合は、市販の便秘薬を試してみるのも1つの方法です。
便秘薬にはさまざまな種類があり、腸を直接刺激して排便を促すタイプや、腸に水分を集めて便をやわらかくするタイプがあります。
なかでも酸化マグネシウム便秘薬は、腸を刺激せずに自然に排便を促すタイプで、お腹が痛くなりにくく、クセになりにくいという特徴があります。
酸化マグネシウム便秘薬は、健栄製薬のオンラインショップでも購入できるので、ぜひ検討してみてください。
なお、妊娠中やほかの薬を服用中の方、持病のある方は、服用前に医師または薬剤師にご相談ください。
便秘以外でお腹が痛くなるときに考えられる原因
冷汗が出るほどお腹が痛くなった場合には、便秘以外の病気が原因である可能性があります。
例えば、大腸がん、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、膀胱炎、婦人科疾患などの病気があげられます。
大腸がんの場合は血便や便が細くなるなどの症状があり、十二指腸潰瘍の場合は吐き気やみぞおちの痛みがあるなど、それぞれ特徴があります。
ご自身で便秘以外の自覚症状がないかも確認し、思い当たることがあれば医師に相談してください。
便秘以外の病気が疑われる場合は、腹痛が起きたタイミングや、痛みの種類・持続時間などを記録しておきましょう。ほかの症状とあわせて記録しておけば、病気を発見する手がかりになるかもしれません。
不安な症状がある場合は、早めに医療機関で検査を受けましょう。
お腹の痛みが続く場合は医療機関を受診しよう
便秘による腹痛は、自宅でのケアで軽減できる場合が多いです。しかし、なかには注意が必要なケースもあります。
以下のような症状がある場合は、自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。
- ・数日間、便やガスがまったく出ていない
- ・突然の激しい腹痛
- ・発熱・嘔吐・冷や汗・意識がもうろうとするなどの全身症状がある
- ・腹部の一部を押すと強い痛みがある
- ・血便や黒っぽい便(タール便)が出る
- ・徐々に痛みが強くなっていく、または痛みが長く続いている
- ・「いつもと違う」と感じる不調がある
腹痛の感じ方や程度は人それぞれですが、「何かおかしい」「普段と違う」と感じたときが受診のタイミングです。重症化を防ぐためにも、少しでも不安がある場合は、迷わず医療機関に相談しましょう。
お腹の痛みを伴う便秘の改善方法
お腹の痛みを伴う便秘症状が続いた状態で我慢すると、さらに悪化してしまう可能性があります。以下では、便秘でお腹が痛くなる前に日常で実践できる改善方法を紹介します。
- ・食生活を見直す
- ・水分をこまめにとる
- ・適度な運動をする
- ・ストレスを溜めない
以下で詳しく説明します。
食生活を見直す
排便のリズムを整えるために、食事は規則正しく1日3食摂りましょう。腸内運動が習慣化されることで、排便を促す蠕動(ぜんどう)運動も活発になるといわれています。
また、便秘を解消するためには腸内環境を整えることも大切です。整腸効果が期待できる乳酸菌を含んだキムチ、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を意識的に摂るのもおすすめです。
便秘解消に効果的とされる食物繊維を含んだ食べ物も良いですが、ごぼうやキノコ類などに多く含まれる「不溶性食物繊維」は、摂りすぎると便秘が悪化することもあります。
食物繊維は「不溶性食物繊維」と、海藻類などに多く含まれる「水溶性食物繊維」をバランス良く摂りましょう。
水分をこまめにとる
体内の水分量が減ると、便の水分も減って便秘を引き起こす可能性があります。便の水分を保つことは便秘解消において重要なポイントであり、水分補給は欠かせません。
しかし、一度に大量の水分を摂取すると尿として排出されてしまうため、水分補給はこまめに行いましょう。
また、お茶などのカフェインを含む飲料で水分補給をしても、利尿作用により体外に排出されやすくなるため、ミネラルウォーターや麦茶などのノンカフェイン飲料がおすすめです。
適度な運動をする
適度な運動は腸に良い刺激を与え、便意を促進するといわれています。1日30分程度、軽く汗ばむ程度のウォーキングも良いでしょう。
運動する時間がなかなか取れないという方には、家で簡単にできる腸を刺激する運動もおすすめです。
仰向けに寝転がり、膝を伸ばした状態で足を床から30cmほど持ち上げ、その姿勢を5~10秒キープします。こうした運動だけでも腸に良い刺激を与えられます。無理のない範囲で、毎日続けられる運動から始めてみましょう。
ストレスを溜めない
全身のあらゆる器官に影響を及ぼす自律神経は、腸の動きにも関係すると考えられています。リラックス時に働く副交感神経が優位になると、腸の動きが活発になります。
しかし、ストレスを感じたり緊張したりすると、交感神経が優位になり、腸の動きが鈍くなるといわれています。
そのため、ストレスを多く感じていると便秘になりやすくなる可能性があるため、日頃から好きなことをする時間を設けたり、軽めの運動を取り入れたりして、ストレスを発散するよう心がけましょう。
前述でも触れたウォーキングには、自律神経を整える効果が期待されているため、おすすめです。
便秘でお腹が痛いときの対処法と改善方法を試してみよう

便秘による腹痛は、腸の炎症や溜まったガス、腸の痙攣などが原因で起こることがあります。痛みをやわらげたいときは、お腹を温めたり、前かがみの姿勢をとったりするなど、体に負担をかけない方法を試してみましょう。
便が数日出ておらず、腹痛も続くようであれば、酸化マグネシウム便秘薬を使って排便を促すのも1つの方法です。
ただし、便秘の根本的な改善には、バランスの取れた食生活・水分補給・適度な運動が欠かせません。
なお、激しい腹痛・発熱・嘔吐・血便などがある場合は、別の病気が隠れている可能性もあります。自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。
つらい便秘の腹痛に悩んでいる方は、無理をせず、ご自身に合った対処を見つけてください。