コラム

【医師監修】さまざまな場面で大活躍! ワセリンの使い方8選

2022.12.05|乾燥肌・スキンケア

薬局やドラッグストアで気軽に購入できるワセリン。顔や手の保湿に使っている人は多いかもしれませんが、実はそのほかにもさまざまな使い方ができることをご存じでしょうか。今回は”万能アイテム”ともいわれるワセリンの活用方法をお伝えします。

ワセリンとは?

ワセリンとは、天然成分である石油を精製して作られた保湿剤です。肌に塗ると、表面に薄い油膜が作られますが、この油膜が肌の内側から水分が蒸発するのを防いで、肌を保湿するとともに、衣類などとの摩擦や刺激からも肌を保護すると考えられています。
一般的にワセリンは、精製度が高くなるにつれて薄い黄色から白色に近づき、不純物の量も減るため、肌への刺激も少なくなります。実際、薬局やドラッグストアで販売されているものの多くは、精製度の高い「白色ワセリン」といわれるもので、顔の保湿にも安心して使うことができると考えられています。また、アトピー性皮膚炎の人や肌の弱い赤ちゃんには、白色ワセリンの中でもより精製度の高い製品を使うことが推奨されています。

保湿剤のイメージ

ワセリンの使い方8選

こうした肌を保湿・保護する効果を生かして、ワセリンはさまざまなシーンで活躍します。ここでは、その活用方法をご紹介しましょう。

① 顔の保湿
刺激が少なく、アレルギー反応も起こりにくいとされる白色ワセリンは、顔の保湿ケアに重宝します。洗顔後、化粧水や乳液などで肌を整えた後、仕上げにワセリンを薄く塗り、肌にフタをしましょう。皮脂腺が少なく乾燥しやすい目元には、重ね付けするとよいでしょう。なお、ワセリンの付け過ぎはテカリのもとになるので、まずは米粒2つ分程度を目安に手に取ります。手のひらで温めてから塗るようにすると、厚く付き過ぎず、のばしやすいでしょう。足りなくなったら同量をプラスするようにしてください。
また、ワセリンそのものに水分を補ったり、肌内部まで浸透したりする働きはありません。化粧水などで水分を与えずにワセリンだけでのケアを続けていると、かえって肌の乾燥が進んでしまう恐れがあります。必ず化粧水などで肌に水分を補給してから、ワセリンを塗るようにしましょう。

② 唇の保湿
皮膚が薄くデリケートな唇の保湿にも、ワセリンがオススメです。リップクリームの原料としても用いられるワセリンは、防腐剤や香料が無添加の製品が多く安心して使えます。少量のワセリンを手にとって温めてから、指先で唇にのせるように塗りましょう。唇は摩擦による刺激に弱いので、こすらないのがポイントです。
乾燥や荒れが特に気になる場合は、就寝前にリップパックを試してみましょう。まず蒸しタオルで唇を温め、ワセリンを厚めに塗った後、唇を覆うほどの大きさにカットしたラップを貼ってください。3~4分程度置いてからゆっくりとラップをはがします。ワセリンとラップで集中的に保湿を行うことで、ふっくらした潤いのある唇になるでしょう。
そのほかの唇への活用法として、リップメイクの下地や、唇にツヤを出すためのリップグロス代わりにもなります。

唇の保湿を行う女性

③ 手足など身体の保湿
ひじやひざなど乾燥しがちな箇所に塗ったり、ハンドクリームとして使えたりするなど、全身のボディケアにも重宝します。特に、素足でおしゃれを楽しみたい季節は、乾燥によるかかとの硬い角質やひび割れが気になるもの。そんな時は、入浴後にワセリンを念入りに塗って靴下を履いて寝れば保湿効果が期待でき、肌は次第に柔らかくなるでしょう。
このほか、日焼け後の肌のお手入れにもワセリンが使えます。日焼けをすると、肌の水分が蒸発して乾燥しやすい状態になります。そこで、ワセリンの油膜でフタをすることで肌を保湿・保護できるといわれています。

④ 赤ちゃんの肌トラブル予防
刺激が少なく、副作用の心配もほとんどないワセリンは、デリケートな赤ちゃんの肌にも使うことができます。赤ちゃんの肌はみずみずしく弾力がありますが、大人と比べて皮膚が薄く、肌を守るバリア機能が未熟なため、乾燥しやすく刺激に弱いといわれています。肌のトラブルが引き起こされる前に、日頃からワセリンを塗ってあげるとよいでしょう。
例えば、排泄物や摩擦が刺激となって引き起こされるおむつかぶれの予防には、おしりにワセリンを薄く塗ります。ワセリンの油膜が刺激から肌を守ってくれるので、かぶれを防ぐことができるといわれています。また、よだれかぶれを防ぐには、食事の前に口の周りにワセリンを薄く塗り、食後は口の周りの汚れとともに優しく拭き取ってください。

おむつかぶれの予防にも

⑤ ヘアケア・スタイリング
ワセリンは、髪のダメージ予防やスタイリング剤としても使えます。毛先のパサつきなど乾燥が気になる時は、シャンプー後、タオルドライした髪にワセリンをなじませ、ドライヤーの温風で乾かしましょう。ワセリンの油膜がドライヤーの熱や摩擦から髪を保護してくれると考えられています。この時、多く塗りすぎると髪がべたついてしまうため、乾燥しやすい毛先を中心に薄く付けるのがポイントです。また、乾いた状態の髪に付ければ、スタイリング時のワックス代わりとして使えます。

⑥ ランニング中の摩擦防止クリーム
ランニングウェアと皮膚がこすれて痛くなるのを防ぐために、走り始める前に襟元や脇の下、太ももの内側など、ウェアがこすれやすい箇所にワセリンを塗っておくとよいでしょう。足の指に塗っておけば、靴下とのこすれや指同士の摩擦によってマメができるのを防ぐ効果も期待できます。
ランニング以外でも、新しい革靴を履く時に、かかとなど靴と皮膚が当たって痛くなりそうな所に塗っておくと、靴擦れを防ぐことができるでしょう。

ランニング時にも

⑦ 練り香水
ワセリンを保存容器に移し、お気に入りのエッセンシャルオイルを数滴加えて混ぜれば、オリジナルの練り香水を作ることができます。手首や耳の後ろに付けて香りを楽しみましょう。ハンドクリームとして手の保湿に使うのもオススメです。よい香りに癒されながら保湿ができるほか、それぞれのエッセンシャルオイルが持つアロマ効果も期待できるでしょう。

⑧ 軽い傷の処置
軽い擦り傷や切り傷の処置にもワセリンが使えます。ワセリンで傷口を覆って保湿することで傷口の乾燥を防ぐことができます。それにより、細胞の再生を促す液の滲出が促進されるため、早くきれいに傷を治すことができると考えられています。まず、傷口をきれいに洗ってワセリンを薄く塗り、その上から絆創膏を貼って保護します。痛みがある場合は、傷口よりやや大きめに切ったラップを用意し、ラップにワセリンを塗って傷口に当ててから絆創膏を貼るとよいでしょう。

まとめ

刺激が少ないワセリンは、赤ちゃんから大人まで保湿ケアや肌の保護に使える便利なアイテムです。薬局やドラッグストアなどでも安価で購入できるので、家に一つあれば家族みんなで使えて重宝するでしょう。今回ご紹介した使い方を参考に、さまざまな場面でワセリンを取り入れてみてくださいね。

木村医師よりコメント

ワセリンは皮膚に塗ることで薄い膜を作り、水分が逃げていかないようにカバーしてくれます。幅広い年代で安心して使うことができ、使える場所も肌から髪の先まで広範囲なので、とても使いやすいといえるでしょう。保湿以外にも赤ちゃんのおむつかぶれや靴擦れ、カミソリ負けの防止など、肌を保護することで肌が傷つくのを防いでくれます。ワセリンの特徴を理解して、生活のさまざまな場面で活用してみてください。

医師・木村眞樹子
監修者
医師・木村眞樹子

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

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