コラム

【医師監修】ワセリンの落とし方を教えて! 顔・髪・衣類に付いたワセリンを落とす方法

2022.12.08|乾燥肌・スキンケア

身体や顔の保湿をはじめ、ヘアケアやリップクリーム代わりにも使える万能な保湿剤、ワセリン。刺激が少なく、安心して使いやすい一方で、「ベタベタして落としにくい…」という声を耳にすることも少なくありません。そこで、今回はワセリンの効果的な落とし方についてご紹介します。

なぜワセリンは落ちにくいのか?

ワセリンとは、天然成分である石油から作られた保湿剤です。肌に塗ると表面に薄い油膜が作られ、肌の内部から水分が蒸発するのを防いでくれます。また、衣類などとの摩擦から肌を守る役割も果たします。

そもそもワセリンは常温では固形状で、溶けにくいです。それゆえ、しっかりと肌に留まって肌を守ってくれるのですが、その一方で、肌に付け過ぎるとベタベタしたり、水で洗い流してもなかなか落とせなかったりするのが悩みどころ。一般的には、40~60℃に温めるとゆるんで液体状になるといわれますが、かなり熱く感じる温度の湯で顔を洗うと、肌に強い刺激を与えたり、やけどをしたりする恐れがあります。なるべく肌への負担をかけずに落とすにはどうすればよいのでしょうか。続いて、ワセリンを効果的に落とす方法をお伝えしましょう。

顔に付けたワセリンの落とし方

顔にオイルをなじませるイメージ

顔の皮膚は薄く、摩擦などの刺激に弱いため、肌をこすらずにワセリンを落とすのがポイントです。次に紹介する方法で落とすとよいでしょう。

●ティッシュオフ
ワセリンを付け過ぎてしまった時は、肌にティッシュを押し当ててください。余分な油分がティッシュに吸い込まれます。ティッシュの上から顔を包むように手のひらを押し当てると、手の温度でワセリンが溶けて油分が吸い取りやすくなるでしょう。

●オイルをなじませる
油分であるワセリンに、別の油分をなじませることで落としやすくする方法です。これは、油分と水分のように、本来混ざり合わないものを混ぜ合わせる「乳化」という現象を利用しています。たとえば、水洗いや石けんだけでは落ちにくいメイクでも、油性のクレンジングとなじませてから少量の水を加えて乳化させると、簡単に洗い流せるのと同じです。

ワセリンを塗った部分にクレンジングオイルやマッサージオイルをのせてなじませ、少量の水を加えたら、円を描くようにやさしく指先でマッサージします。白くなる、クリーム状になるといった変化が見られ、軽くなったと感じたら乳化したサインです。ぬるま湯で流した後、洗顔料や石けんをよく泡立てて顔を洗いましょう。

●蒸しタオル
タオルを水に浸して絞り、電子レンジで約1分加熱します。熱くなりすぎていないか確認してから、タオルを顔にのせてしばらく置きます。肌をゴシゴシとこすらないように気を付けながら、ワセリンを優しく拭き取ってください。

髪に付けたワセリンの落とし方

髪についたワセリンの落とし方

髪の乾燥を防いだり、ドライヤーの熱風から守ったりする効果も期待できるワセリンは、ヘアケアでも活躍します。入浴後にタオルドライした髪に付けるほか、スタイリング時に毛先に付けると、パサ付きがおさえられ髪がまとまりやすくなります。ただし、髪に付けたワセリンが残ったままではベタつきの原因になり、何日もシャンプーしていないように見えることも。髪の毛1本1本に絡みついたワセリンの油分は、肌に付いた場合よりも取れづらいため、次の方法でしっかりと落としましょう。

●湯洗い&シャンプー
一般的にシャンプーには、水だけでは落としにくい頭皮の皮脂汚れや、ヘアワックスやスプレーなどのスタイリング剤を洗い流すために、乳化作用を持つ界面活性剤が含まれています。そのため、ワセリンを薄く付けた程度であれば、普段のシャンプーで落とせるでしょう。先に40℃以上の湯で素洗いしてワセリンを溶かしてから、普段のシャンプー剤をよく泡立てて洗髪してください。

●オリーブオイルをなじませる
普段のシャンプーでは落ちないほど、ワセリンをたくさん髪に付けた時は、髪を濡らす前にオリーブオイルを使って落としましょう。オリーブオイルを手のひらに広げ、両手で髪になじませます。この時、頭皮にオリーブオイルを付けてしまうと毛穴をふさぐ恐れがあるため、地肌には塗らないように注意してください。40℃以上の湯で洗い流し、その後は普段と同様にシャンプーを行います。シャンプー後、オリーブオイルのベタつきが気になる場合は、もう一度シャンプーをすれば気にならなくなるでしょう。

衣類に付いたワセリンの落とし方

衣類についたワセリンの落とし方

ワセリンを塗った手足や身体が衣類と擦れて、知らず知らずのうちに衣類にもワセリンが付いてしまうこともあるでしょう。衣類に付いたワセリンが固まると、水を使った通常の洗濯では落ちにくくなります。そのような時は、水洗いの可否を洗濯表示で確認した上で、次の方法を試してみましょう。

●つけ置き
バケツやたらいに40~60℃の湯をため、洗濯用洗剤(アルカリ性洗剤が効果的)を入れます(洗剤の使用説明に従った分量)。約1時間つけ置きした後、洗濯機で通常通り洗いましょう。

●熱湯洗い
つけ置きしてもワセリンが取れなかった場合は、より高い温度でワセリンを溶かす必要があります。適量の水と洗濯用洗剤、衣類を鍋に入れて加熱します。沸騰しそうになる手前で火を止め、水洗いしてすすぎます。なお、繊維の種類によっては、熱湯での洗濯によって縮んだりシワになったり変質する可能性があります。必ず、洗濯表示で耐熱温度や素材を確認してから行ってください。

ワセリンを落とす際の留意点

ワセリンを落とすことにこだわりすぎて、刺激の強いクレンジングや洗顔料を使ったり、肌をゴシゴシとこすったりすると、かえって肌の乾燥や荒れを招いてしまいます。基本的にワセリンは酸化・劣化しにくく、肌内部に浸透しないので、数日程度なら肌に残っていても問題はないとされています。乾燥や肌荒れがひどい場合は、ぬるま湯で洗い流す程度に留めてもよいでしょう。

また、ワセリンのベタ付きが気になるのは付け過ぎが原因かもしれません。顔に塗る場合は、米粒1、2粒ずつ手に取り、少しずつ付けていくようにしましょう。厚く塗り過ぎると落とすのが大変になるので、一度にたくさん付けていないか、使用量も見直してください。

まとめ

顔や身体、髪など全身の保湿ケアに使え、リーズナブルに購入できるのが魅力のワセリン。常温では溶けずに肌に留まってくれる高い保湿力は、時にはベタつきや落としにくさの原因に。そんな時は今回ご紹介した方法を参考に、肌に負担をかけずにやさしくワセリンを落とし、健やかな肌を手に入れましょう。

中島医師よりコメント

ワセリンを肌に塗ると乾燥予防やマスク刺激による肌荒れを防ぐことができます。しかし、1日の終わりにワセリンをきちんと落とさないと毛穴を塞いでニキビの原因になることもあります。肌をこすらずにゆっくり丁寧にクレンジングしましょう。

医師・中島由美
監修者
医師・中島由美

金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。

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