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【医師監修】0歳の赤ちゃんもインフルエンザにかかる?予防接種や対処法について解説

2022.11.28| 感染症・消毒

インフルエンザの流行は毎年やってきます。大人だと感染対策もある程度行えますが、0歳の赤ちゃんを育てる家庭のなかには、インフルエンザのシーズンを初めて迎える方もいるでしょう。

育児の大変さの中にインフルエンザの心配も重なり、とても不安になってしまいますよね。

この記事では、0歳の赤ちゃんをインフルエンザから守る対策などをご紹介します。

0歳の赤ちゃんはインフルエンザにかからない?

赤ちゃんは生まれてしばらくの間は、胎児のときに母親から受け継いだ免疫により病気にかかりにくいと言われています。

しかし、その免疫によって守られるのは生後6ヶ月くらいまでで、その間も必ずしもすべての感染症から守られているわけではありません。

生後6ヶ月を過ぎたあたりから、お子さんが体調を崩しやすくなったという経験をもつ方もいるのではないでしょうか。その頃から赤ちゃんは、体調を崩しては回復する、を繰り返すようになり、さまざまな菌やウイルスに対する抗体がつくられ、徐々に免疫力がつきだす時期でもあります。

0歳の赤ちゃんでもインフルエンザにかかってしまう可能性があるため、これからお話しする予防や対策が重要となってきます。

0歳の赤ちゃんでもインフルエンザの予防接種はできる?

生後6ヶ月を越えた赤ちゃんであれば、インフルエンザの予防接種が受けられるようになります。

6ヶ月以上3歳未満の子どもは、1回0.25mLを2回接種する必要があり、2回目の接種は1回目から2~4週間の間隔をあけて受けることになります。

ただし、インフルエンザの予防接種を受けられる月齢児では、B型肝炎ワクチンなどを接種する時期と重なるため、優先して打つワクチンをかかりつけの医師と相談して決めるようにしましょう。

また、保育園などで既に集団生活を始めている0歳児や、年上の兄姉が保育園や幼稚園に通園している家庭では、赤ちゃんがインフルエンザに感染するリスクが高くなるため、予防接種を受けることも検討すると良いでしょう。

逆に、0歳の赤ちゃんではワクチンの効果が十分に期待できないなどの理由から、医師によっては0歳の赤ちゃんには予防接種を推奨しないケースもあります。

赤ちゃんを取り巻く家庭環境などをかかりつけの医師とよく相談し、ワクチン接種を受けるべきか決めるようにしましょう。

0歳の赤ちゃんをインフルエンザから守るために

0歳の赤ちゃんでも、インフルエンザにかかる可能性があります。では、赤ちゃんをインフルエンザから守るためにはどうするべきでしょうか。

赤ちゃんへの予防接種のほかに、意識してほしいインフルエンザ対策を下記でご紹介します。

周囲の大人が対策を徹底する

周囲にいる大人や子供(兄姉)がインフルエンザにかかると、赤ちゃんに感染するリスクが当然高まります。ということは、赤ちゃんを取り巻く人がインフルエンザにかからない対策をとることが、赤ちゃんをインフルエンザから守ることになります。

家族の方は、インフルエンザの予防接種を受けておきましょう。また、インフルエンザウイルスは乾燥した環境を好むことから、湿度が50%~60%になるように部屋を加湿したり、定期的に窓をあけて換気したりして、ウイルスにとっての好適環境をつくらないように心がけましょう。

さらに、外出先から帰ってきたときは手洗い、アルコール消毒などを行って、家の中にウイルスを持ち込まないなど、感染対策を徹底しましょう。

流行時期には人混みを避ける

インフルエンザの流行時期は12月~翌年3月で、ピークは2月頃と言われています。この時期には不要不急の外出をできるだけ避けましょう。

そうは言っても、生活必需品をそろえるためにスーパーなど、どうしても買い物に赤ちゃんを連れていかなければならない場合もあります。

そんなときは混雑する時間帯を避けるように出かけ、手短に用事を済ますようにしましょう。

0歳の赤ちゃんにインフルエンザの疑いがある場合は?

では、0歳の赤ちゃんがインフルエンザにかかってしまった可能性があるときは、どのように対処したらよいのでしょうか。

赤ちゃんがインフルエンザにかかるとどんな様子になるのかも下記で解説します。なお、赤ちゃんの看病をする家族の方もインフルエンザウイルスをもらわないように注意しましょう。

早めに医療機関を受診する

インフルエンザの症状は、突然の発熱、全身の倦怠感、関節痛、鼻水、咳などが特徴的です。意思の疎通ができる幼児の場合は、どんな症状が出ているのかを言葉で伝えられますが、0歳の赤ちゃんの場合そうはいきません。

赤ちゃんによっては41度以上の熱が出ることがあります。他にも、倦怠感などで赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、母乳やミルクの飲みが急に悪くなったり、寝つきが悪くなったりすることも考えられます。

特に注意したいのは、40度以上の高熱が数日続いたり、ぐったりした状態で大人の呼びかけに対する反応が鈍ったりしているとき。そんなときはすぐに医療機関を受診しましょう。

また、赤ちゃんは大人に比べて免疫機能が未発達であるため、肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性もあるので、早めに医療機関を受診して対処しましょう。

水分をしっかりとって安静にする

熱が出ると汗をたくさんかくので、身体から水分や塩分(電解質)が失いやすくなっています。おむつ替えのときにおしっこの出が悪いと感じたり、おしっこの色が濃かったりした場合には、脱水を起こしているサインかもしれません。大人がこまめにミルク、麦茶、乳児用イオン飲料などを与えるようにしましょう。
熱が高い状態では無理に動かさずに安静に寝かせておき、汗をかいたらこまめに汗を拭いて、着替えをします。

また、お風呂に入れる行為は赤ちゃんの体力を奪うため、熱が高いときはお風呂に入ることも控え、濡れたタオルで身体を拭く程度に留めましょう。

0歳の赤ちゃんのためにも、まずは大人がインフルエンザを予防

0歳の赤ちゃんは免疫力も弱く、さまざまな感染症にかかるリスクがあります。

インフルエンザに感染させないためには、普段から周囲の大人が手洗い・アルコール手指消毒などの感染予防に努めることが大切です。

赤ちゃんの予防接種を検討している場合は、かかりつけの医師とよく相談しましょう。

そしてインフルエンザの罹患が疑われる場合は、早めに医療機関を受診するとともに、家庭では水分補給を心掛け、安静に過ごすようにしましょう。

佐藤医師よりコメント

0歳の赤ちゃんでもインフルエンザ感染症にかかる可能性はあります。インフルエンザにかからないようにするためには、生後6か月から接種可能なインフルエンザワクチンを接種すること(かかりつけ医にご相談ください)、また、周囲の人がインフルエンザにかからないようにすることが大切です。

監修者

医師:佐藤留美

内科医・呼吸器科医・感染症科医・アレルギー科医。 久留米大学医学部を卒業後、大学病院、市中病院で臨床医として勤務。また、大学院で感染症の 研鑽を積み、医学博士を取得。内科・呼吸器・感染症・アレルギー等の専門医と指導医資格を多岐にわたり取得。現在は朝倉医師会病院呼吸器科部長として勤務。

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