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【医師監修】インフルエンザはエンベロープウイルス!知っておきたい感染防止方法

2022.11.28| 感染症・消毒

インフルエンザを予防する上で、知っておきたいのはウイルスの種類です。インフルエンザはエンベロープウイルスと呼ばれるもので、特徴を学んでおくとより高い意識を持って感染対策に努められます。

今回は「ウイルスの種類」や「対処法」、「インフルエンザ対策」について詳しく紹介します。インフルエンザを予防したい方は、ぜひ参考にしてください。

「エンベロープウイルス」とは?

エンベロープウイルスとは、ウイルスの種類の1つです。ウイルスは大きく「エンベロープ」と「ノンエンベロープ」に分けられ、この2つはウイルスの周りにある外膜の有無によって分類されます。

エンベロープはウイルスの粒子に脂質二重膜を示すものです。ウイルス遺伝子の周りを脂質やタンパク質からできている外膜で覆われているのが特徴です。

エンベロープの有無がそれぞれのウイルスを識別する1つの指標となっています。エンベロープウイルスは一般的に馴染みのない言葉ですが、それぞれの徳高を理解しておくとウイルス感染の予防に役立つ可能性があるので覚えておきましょう。

エンベロープウイルス

インフルエンザはウイルス遺伝子の周りに外膜があるため、エンベロープウイルスに分類されます。脂質に作用されやすい外膜は壊れやすい特徴があり、アルコール消毒などで容易に破壊することが可能です。

エンベロープウイルスはアルコール消毒で意識的に感染予防を行えば、ウイルス感染のリスクを軽減できる効果に期待ができます。

ノンエンベロープウイルス

ウイルス遺伝に外膜がなく、むき出しになっているものはノンエンベロープウイルスに分類されます。ノンエンベロープウイルスは凍結や乾燥に強く、さらには酸やエタノールのダメージを受けにくいのが特徴です。

ノンエンベロープウイルスは、ノロウイルスやアデノウイルスに該当します。アルコール消毒が効きにくい性質のため、エンベロープウイルスとは異なる感染予防を行いましょう。

ノンエンベロープウイルスの対策には一般的に次亜塩素酸ナトリウム製剤などが使われています。

エンベロープウイルスの対処法

エンベロープウイルスはアルコール消毒でウイルス遺伝子の外膜を壊すことが可能です。

インフルエンザはエンベロープウイルスのため、外出先から帰宅した際は、しっかりと手洗いや手指消毒を心がけることで予防効果が期待できます。

外出の際は携帯用アルコール消毒薬なども活用すると良いでしょう。

ウイルスの特徴を把握してインフルエンザ予防しよう!

エンベロープウイルスの特徴を理解すれば、インフルエンザ対策や予防にも役立ちます。ウイルス感染を防ぎたい方は、以下3つのポイントを参考に今日からさっそくインフルエンザ対策に取り組んでください。

こまめに手洗いとアルコール消毒を行う

エンベロープウイルスはアルコール消毒で破壊できる特徴があるため、毎日の手洗いと合わせて手指消毒を行いましょう。外出先から帰宅した際やトイレ後、食事の前などこまめに手洗いとアルコール消毒を行ってください。

手洗いはさっと済ませるのではなく、手の平や甲、指の間や親指の付け根、手首までしっかり丁寧に洗います。指輪や腕時計をしている方は、アクセサリーを外した状態で手洗いを行うのが望ましいです。

インフルエンザは接触感染も多いため、手すりやドアノブなど手や体が触れる機会が多い場所もアルコール消毒を行うと良いです。間接的にウイルスに感染しないためにも、別の人が触れる場所もこまめにアルコール消毒をしておきましょう。

外出先で手洗いが難しい場合は、携帯用のアルコール消毒薬なども活用しながらウイルス感染を防いでください。

インフルエンザの流行時期は外出を控える

インフルエンザの流行時期はウイルスに感染しないためにも、なるべく外出を控えるようにしましょう。特に人の多い場所ではウイルスに感染しやすい傾向にあるため、買い物など用事がある場合は混雑する時間帯を避けるなどの工夫をしてください。

どうしても外出を避けられない場合、交通機関を使わずに車で移動するなどしながら人との接触を極力避ける努力も必要です。

インフルエンザの流行時期は大勢の人が集まるイベントは控え、外出時にはこまめに手洗いやアルコール消毒を行いながら、インフルエンザを予防してください。

予防接種を受ける

インフルエンザワクチンを接種することで、感染リスクを軽減する効果に期待ができます。

ウイルス感染を完全に防ぐ効果はありませんが、万が一インフルエンザにかかっても予防接種を受けていると軽症で済む傾向にあります。

特にハイリスクの方は予防接種をすすめられています。妊婦や65歳以上の高齢者、乳幼児や喘息や糖尿病などの基礎疾患を持っている方はインフルエンザに感染すると重症化する可能性があるハイリスク群と呼ばれています。

ハイリスク群に該当する方やインフルエンザによる重症化が心配な方は、流行時期に間に合うように予防接種を受けるようにしましょう。

エンベロープウイルスは予防できる!インフルエンザの感染対策をしよう

インフルエンザのようなエンベロープウイルスは、アルコール消毒が感染予防効果に期待ができます。普段から意識的に手洗いや手指消毒を行いながら、インフルエンザの感染を防ぎましょう。

手すりやドアノブ、食卓テーブルなど手が触れる場所もアルコール消毒をすると、より感染を防ぐ効果に期待ができます。また、インフルエンザの流行時期は人混みを避けたり、予防接種を受けたりしながら感染対策を行うことも大切です。

自分が周りの人へインフルエンザを感染させないためにも、1人1人がきちんと意識して対策することも重要です。「インフルエンザに感染しない」「他人へ移さない」ためにも、今日からさっそくウイルス感染対策をしましょう。

佐藤医師よりコメント

インフルエンザはエンベロープウイルスであるため、アルコール消毒が効果的です。日常生活の中で手洗いや手指消毒を習慣付けるようにして感染対策を心がけましょう。

監修者

医師:佐藤留美

内科医・呼吸器科医・感染症科医・アレルギー科医。 久留米大学医学部を卒業後、大学病院、市中病院で臨床医として勤務。また、大学院で感染症の 研鑽を積み、医学博士を取得。内科・呼吸器・感染症・アレルギー等の専門医と指導医資格を多岐にわたり取得。現在は朝倉医師会病院呼吸器科部長として勤務。

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