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ノロウイルスに感染した時の外出禁止期間はどのくらい?

2022.11.28| 感染症・消毒

感染すると急激に、嘔吐や下痢の症状がみられるノロウイルス感染症。感染力がとても強いウイルスなので、周りの人にうつさないためにも数日間は学校や仕事を休む必要があります。今回は、かかってしまっても慌てずに済むよう、どのくらいの期間、学校や仕事を休まなければいけないのか、外出禁止期間について紹介します。

ノロウイルスに感染したらどうすべき?

ノロウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は24~48時間と短く、その後嘔吐や下痢などの症状が現れます。こういった症状は通常1、2日程度で治まるのが一般的ですが、症状がみられる間は次のことに注意して過ごす必要があります。
まず、嘔吐や下痢がひどい場合は、脱水症状にならないよう、こまめに水分を補給することが大切です。ただし、吐き気がひどい時に無理に水分を取るとかえって吐き戻してしまうことがあるので、少し吐き気が落ち着いてから、30分おきを目安に少量ずつ水分を補っていきます。可能であれば、ただの水ではなく、電解質(塩分やカリウム)の入った水分を飲むとよいでしょう。
また、ノロウイルスは感染力が非常に強く、わずかな量でも感染する恐れがあるといわれています。そのため、周りの人にうつさないように学校や会社は休み、十分に休養を取るようにしましょう。

【幼稚園・保育園・学校】ノロウイルス感染時の対応について

登校禁止中の子どものイメージ

幼稚園や保育園、学校は、毎日長時間にわたって集団生活を送ることから、接触感染や飛沫感染によって感染症が流行しやすい環境です。そこで、学校保健安全法では、さまざまな感染症に対して出席停止期間や、登校を再開する基準を設けています。なお、ここで定義されている「学校」とは、学校教育法第一条にある「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」を指しているため、大学生や専門学校生も同じ対応となります。
では、ノロウイルスに感染した場合の対応についてみていきましょう。

ノロウイルス感染時の対応

学校保健安全法では、ノロウイルスやロタウイルスを原因とする感染性胃腸炎を、「条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患」と定義しています。つまり、必ずしも出席停止の措置を取るというわけではないのです。これらの疾患の場合、基本的には出席停止にするかどうかの判断基準は市町村や学校によって異なり、学校長が学校医と相談をして、感染が拡大する危険性があると判断した際に出席停止とします。そのため、嘔吐や下痢の症状を引き起こしている病名が分かったらすぐ学校に連絡を入れ、出席停止となるかどうか確認しましょう。

また、ノロウイルスに感染した場合の出席停止期間についても、明確には定められていませんが、登校を再開できる状態の目安として、「下痢・嘔吐症状が軽快し、全身状態がよい者は登校(園)可能」としています。そのため症状が出ている間は登校を控え、普段の食事ができるようになるまでは自宅で安静にして休みましょう。症状が治って体が元気になったら登校できますが、出席停止扱いの場合、多くの学校では医師による治癒証明書を提出した上で登校するのが一般的なルールになっています。登校を再開するタイミングと合わせて、医師に相談するとよいでしょう。
なお、発症後1、2週間は便にウイルスが排出され続けます。それらを介して感染を広げる可能性があるため、登校を再開した後も、食事や配膳の前、トイレの後は念入りに手洗いをする必要があります。もちろん家庭でもトイレの掃除や消毒を引き続き徹底して行いましょう。

【会社】ノロウイルスに感染時の対応について

腹痛に苦しむ会社員

続いて、大人がノロウイルスに感染した場合の対応についてみていきましょう。実は、労働者に対しては法律による定めがありません。しかし、周囲への感染拡大を防ぐために先に紹介した「学校保健安全法」を一つの基準として、会社を休むのが一般的です。この時「何日休む必要があるか」「休んだ日の出勤の扱いはどうなるのか」については職場の就業規則を優先します。就業規則に取り決めがない場合は、嘱託医や受診した医師の判断のもとに、職場の責任者が判断することになります。

食品を扱う職場で働いている場合は要注意

飲食店や食品スーパーなどで、食品に触れたり調理に携わったりしている場合は、上記とは対応が異なります。法律での定めはありませんが、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理従事者がノロウイルスに感染した場合は、検便検査で陰性が確認できるまでは調理業務を控えるのが望ましいとされています。発症後1、2週間はウイルスが排出され続けるので、症状が治まった後も数日間は仕事を休み、検便の結果を確認してから出勤した方がよいでしょう。
もし、ノロウイルスに感染したまま食品を取り扱う業務を行い、それが原因で食中毒が発生すれば二次感染が広がるだけでなく、その飲食店や施設が営業停止処分になってしまいます。食品を扱う職場で働く場合は、日頃から手洗いや衛生管理を徹底して行うのはもちろん、万が一、感染してしまったらすぐに職場の責任者に連絡を入れて仕事を休むようにしましょう。

まとめ

大人も子どもも、ノロウイルスによる感染症にかかってしまったら、周囲にうつさないように外出は控え、体力を回復させるために安静にしておくことが大切です。大人がかかると、仕事はもちろん家事や育児にも支障をきたしてしまうので、日頃から手洗い、衛生管理に気を付けて感染を防ぎましょう。また、学校や園に子どもを通わせている場合は、市町村や学校によって出席停止の判断基準が異なるため、事前に確認しておくと、いざという時に慌てずに済みますね。

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