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新型コロナウイルスはほかの感染症よりも脅威? インフルエンザやSARS、MERSとの違い

2022.11.28| 感染症・消毒

2020年2月現在、日に日に感染者数が増えている新型コロナウイルス。その脅威は、過去にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザやSARS、MERSと比べて、どれほどのものなのでしょうか。今回は、新型コロナウイルスと、そのほかの感染症との違いについて解説します。

新型コロナウイルスと、ほかの感染症との違いについて

新型コロナウイルスについての研究は急速に進められていますが、ウイルスそのものに効く治療薬やワクチンはまだ開発されておらず、治療法も確立されていないのが現状です。このような状況下で気になるのは、新型コロナウイルスの脅威。連日の報道で死亡者数が更新されていますが、その脅威はほかの感染症と比べ、どれほどのものなのでしょうか。まずは、新型コロナウイルスと、過去にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザ、SARS、MERSそれぞれの情報を比較してみます。

●新型コロナウイルス
・流行期間:2019年~
・感染者数:4万4968人(2020年2月12日現在)
・致命率:約2.5%
・感染が広がった国・地域:中国湖北省武漢から発生し、日本、タイ、香港など世界各国に拡大中
・主な症状:発熱、咳、呼吸苦、倦怠感、肺炎など

●新型インフルエンザ(H1N1型)※2011年3月からは季節性インフルエンザとして取扱い
・流行期間:2009年~
・感染者数:2010年3月までに日本で2000万人超
・致命率:0.5%未満
・感染が広がった国・地域:メキシコ、アメリカにおいて発生が報告され、日本など214の国や地域に拡大
・主な症状:発熱、咳、のどの痛み、倦怠感など

●SARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)
・流行期間:2002~2003年
・感染者数:8098人(終息)
・致命率:9.6%
・感染が広がった国・地域:中国広東省で発生、30以上の国や地域に拡大
・主な症状:発熱、咳、呼吸苦、筋肉痛、下痢、肺炎など

●MERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)
・流行期間:2012年~
・感染者数:2494人(2020年2月8日現在)
・致命率:34.4%
・感染が広がった国・地域:サウジアラビアなどアラビア半島
・主な症状:発熱、咳、くしゃみ、息切れ、肺炎など

上記をみると、新型コロナウイルスと新型インフルエンザは、SARS、MERSと比べると感染者数が多く、感染が拡大した地域も広域であることが分かります。一方で、致命率はSARS、MERSに比べて低く、新型コロナウイルは約2.5%(2020年2月現在)、新型インフルエンザは0.5%未満と報告されています。厚生労働省はこうした状況を踏まえて、新型コロナウイルスを必要以上に恐れる心配はないとしつつ、手洗いや咳エチケットの実施など、一人ひとりの予防の徹底を呼び掛けています。ただし、高齢者や持病がある人など、免疫力の低い人が感染した場合は重症化する可能性が考えられているので、特に予防対策を徹底することが大切です。

毎年流行する、季節性インフルエンザの脅威

インフルエンザ流行のイメージ

日々、情報が更新される新型コロナウイルスに注目が集まりがちですが、毎年流行する季節性インフルエンザについても警戒を怠ってはなりません。特に今シーズンは、アメリカで猛威を奮っており、感染状況が注視されています。日本国内外でインフルエンザによる影響がどれほど出ているのか再認識し、予防意識を高めましょう。

●日本における季節性インフルエンザの流行状況

厚生労働省の調査によると、日本国内における例年の季節性インフルエンザの感染者数は推定約1000万人、インフルエンザが直接の死因となる死亡者数は、年間214人(2001年)~1818人(2005年)であることが判明しています。さらに、インフルエンザに感染したことで肺炎、脳炎、腎不全などを引き起こし、死に至った数を合わせると、年間約1万人が亡くなっていると推定されます。

●アメリカにおける季節性インフルエンザの流行状況

2020年2月現在、アメリカでは新型コロナウイルスよりもインフルエンザの方が、より予防喚起がなされています。それというのも、例年のアメリカ国内でのインフルエンザによる死亡者数は推定1万2000人程度であるのに対し、今シーズン(2019年10月1日~2020年1月18日)はすでに1万2000人に達しており、さらなる被害拡大が懸念されているのです。過去最悪のペースで感染が拡大しており、流行が終息するまで、さらに被害は広がると考えられています。

毎年多くの命がインフルエンザによって失われています。しかし見方を変えれば、インフルエンザを適切に予防するだけで、何千、何万もの命を救うことができるのです。感染予防を毎日の習慣にし、目に見えないウイルスをしっかりブロックしましょう。

ウイルスによる感染症の予防と対策

感染予防としての手洗い

●ウイルスの主な感染経路

新型コロナウイルスをはじめとするウイルスによる感染症は、「飛沫感染」と「接触感染」が主な感染経路です。
「飛沫感染」は、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫を吸いこむことで感染を引き起こすものです。こうした感染を防ぐには、流行期などには、なるべく人混みを避けることが重要です。また、症状のある人はマスクを着用するなど、感染を広げないことを心がけてください。
「接触感染」は、ウイルスの付着した部分に触れた手で口や鼻に触れ、ウイルスが体内に侵入することで感染するものです。特にドアノブや手すりといった多くの人が触れる公共物は、ウイルスが付着している可能性が高いので、それらに触れた後や食事の前、トイレの後には、こまめに手洗いをしましょう。
なお、新型コロナウイルスは、飛沫よりもさらに小さい微粒子を吸い込むことでも感染する可能性があるといわれています。微粒子の発生や吸い込みを防ぐため、室内はこまめに換気をし、トイレ使用後は蓋をしてから流すようにしましょう。

●石けんと流水による手洗い+アルコール消毒が効果的

目に見えないウイルスは、いつどこで手に付着するか分かりません。気づかないうちにウイルスに触れ、その手を介して感染してしまうことも少なくありません。そのため、感染症の予防対策の中でも、手洗いは特に重要と考えられているのです。手洗いを行う際は流水で流すだけでなく、石けんを使って指や爪の隙間、手首までをしっかり洗ってから、流水で十分に洗い流しましょう。
また、インフルエンザウイルスやコロナウイルスには、アルコール消毒も有効と考えられています。そのため、手洗いの仕上げには、水分をしっかり拭ってからアルコール剤で消毒を行うとより万全でしょう。これは、外出時などすぐに石けんと流水による手洗いができない時にもオススメです。

まとめ

未知の部分が多い新型コロナウイルスも、毎年流行するインフルエンザウイルスも、どちらも脅威であることに間違いありません。しかし、正しい方法で予防すれば、感染を防ぐことは可能です。感染症予防の基本である手洗いを徹底し、自身の感染を防ぐのはもちろん、ウイルスを無意識に広げることのないよう、一人ひとりが予防対策に努めましょう。

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