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新型コロナウイルスの感染予防に有効な消毒剤とは?

2022.11.28| 感染症・消毒

2020年3月現在、依然として収束の兆しが見えない、新型コロナウイルス。目に見えないウイルスはいつ、どこで感染するか分かりません。感染が拡大する今、安心して日常生活を送るためにも、身の回りの消毒を徹底することが大切です。今回は、新型コロナウイルスに有効な消毒剤について解説します。

まず、新型コロナウイルスの感染経路を知ろう

接触感染のイメージ

現在、世界的に感染の拡大が続いている新型コロナウイルス。このウイルスは、冬季に流行する風邪の病原体であるコロナウイルスをはじめ、これまでに確認されていた4種類のコロナウイルスとはタイプが異なるため、「新型コロナウイルス」と呼ばれています。新型コロナウイルスに感染し発症すると、ほとんどの場合は、咳やくしゃみ、頭痛、発熱といった風邪のような症状が1週間程度続き、その後は自然に治癒します。ただし、高齢者や持病のある人は重症化する可能性があり、命に関わるケースもあります。現段階では有効なワクチンや治療法は確立されていないため、感染を未然に防ぐことが何より大切と考えられています。新型コロナウイルスを予防するのに効果的なのは、感染経路を断つことです。主な感染経路には、以下の2つがあります。

飛沫感染…感染者の咳やくしゃみなど、ウイルスの含まれた飛沫を吸いこみ感染すること
接触感染…ウイルスが付着したものに触れた手指を介し、目や鼻、口などの粘膜からウイルスが侵入して感染すること

この2つの感染経路を断つには、以下の方法が推奨されています。

●飛沫感染予防に有効な対策

①人混みを避ける…不要不急の外出を控え、人込みを避ける。
②室内の換気…家庭や職場など、複数人で集まる場所で過ごす場合、こまめに換気をする

●接触感染予防に有効な対策

①石けんによる手洗い…ウイルスは手指に付着しやすいので、石けんと流水を用いてこまめに手洗いをする。すぐに手洗いできない状況では、アルコール剤で手指を消毒するのも有効。
②身の回りの消毒…手指やウイルスが付着している可能性がある物を、消毒剤を用いて消毒する。

これらの対策を実践する際、注意したいのが接触感染予防に有効な対策②の「消毒」です。多くの人が触れるドアノブや手すり、スイッチなどにはウイルスが付着している可能性があります。こうした箇所や、これらに触れた手指を消毒することで、新型コロナウイルスに感染するリスクを大幅に軽減することができると考えられています。ただし、消毒剤にはさまざまな種類があるため、新型コロナウイルスに有効と考えられている消毒剤を選び、正しく用いることが大切です。どのような消毒剤を選んだらよいのか、続いて解説します。

新型コロナウイルスに有効な消毒剤

テーブル消毒のイメージ

市販されている消毒剤にはさまざまな種類があります。新型コロナウイルスには一般的なウイルスへの消毒対策が有効と考えられているので、消毒対策については、アルコール系消毒剤である「エタノール」「イソプロパノール」と、塩素系消毒剤である「次亜塩素酸ナトリウム」の3つが有効と考えられています。それぞれの特徴と使用方法などを理解し、正しく予防対策に用いましょう。

●エタノール

エチルアルコールと呼ばれるアルコールのことです。アルコール濃度の高い順から、「無水エタノール(アルコール濃度99.5vol%以上)」「エタノール(アルコール濃度95.1~96.9vol%)」「消毒用エタノール(アルコール濃度76.9~81.45vol%)」の3種類に分類されています。

※vol%はアルコール濃度の単位。エタノールは空気中の水分も吸収しやすい性質があるため、無水エタノールでも100%にはなりません。

<使用方法>
「消毒用エタノール」は皮膚や、身の回りのものを消毒するのに用いることができます。十分な効果を得るためには、たっぷりの量を使うことが推奨されています。手指の消毒の場合、十分な量を手に取り、手指にすり込むように十分になじませましょう。家具などの部分消毒の場合、消毒したい箇所が十分にぬれるようスプレーし、仕上げに清潔なペーパータオルでふきあげましょう。

<使用上の注意>
エタノールの主成分であるアルコールは脱脂作用があるため、使用頻度が高くなると、その分、手指の皮脂が取り除かれてしまいます。ハンドクリームで油分を補うなどのケアも合わせて行いましょう。また、アルコールは引火しやすいため、火元の近くでは使用を控えてください。

●イソプロパノール

アルコールの一種で、エタノールと同等の消毒効果があります。家庭用の除菌・消毒用アルコール剤として市販されています。

<使用方法>
ドアノブや手すり、スイッチなど、身の回りのものを消毒するのに適しています。家庭用消毒剤として市販されているものにはスプレータイプが多いため、十分な量を噴霧した後、清潔なペーパータオルでふきあげましょう。

<使用上の注意>
エタノールよりも脱脂作用が強いです。消毒の際はゴム手袋を着用の上、使用するのが安心でしょう。

●次亜塩素酸ナトリウム

塩素系消毒剤で優れた殺菌効果が期待できます。市販品の家庭用塩素系漂白剤にも配合されています。

<使用方法>
身の回りのものの消毒に使用します。厚生労働省によると(※1)、新型コロナウイルスの消毒に適した次亜塩素酸ナトリウムの濃度は0.05%とされているので、水で希釈してから使いましょう。一般的に、家庭用塩素系漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムの濃度が5%に調整されているため、容量が500mlのペットボトルいっぱいに水を入れ、ペットボトルのキャップ1杯(5ml)の量の家庭用塩素系漂白剤を混ぜると丁度よいと考えられています。原液に直接触れると皮膚がただれるため、ゴム手袋を着用してから作りましょう。
消毒する際は、ゴム手袋を着用したまま、消毒液を染み込ませたペーパータオルで拭いたり、スプレーボトルに詰め替えて噴霧したりした後、仕上げに水拭きをしましょう。

※1 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html

<使用上の注意>
次亜塩素系ナトリウムは塩酸や酢、クエン酸などの酸性の強い物質が混ざると、有毒な塩素ガスが発生します。消毒液を作る際は換気を十分に行いながら、余分なものが混ざらないよう注意しましょう。また、次亜塩素酸ナトリウムは水で希釈すると、時間の経過とともに殺菌効果が薄れてしまいます。消毒液を作ったらすぐに使用し、液が残った場合は処分しましょう。

新型コロナウイルスの消毒には、「消毒用エタノール」「イソプロパノール」「次亜塩素酸ナトリウム」の3つの消毒剤が有効と考えられています。消毒剤や、消毒効果をうたった商品を選ぶ際は、これらの成分が含まれているかどうかをチェックしましょう。
なお、「消毒用エタノール」や「イソプロパノール」と同じアルコール系消毒剤として、「オキシドール」や「クレゾール」がありますが、この2つの新型コロナウイルスに対する効力は、厚生労働省や各種専門機関からも発表されておらず、エビデンスが不確かとされています。また、ホームセンターやドラッグストアで市販されている燃料用アルコールは、主成分であるメチルアルコールが人体に有毒なものであるため、消毒剤として用いることはできません。アルコール消毒剤を購入する際は名称や成分をしっかり確認してから買い求めましょう。

まとめ

新型コロナウイルスの感染を防ぐには、有効性が確認されている消毒剤を選び、正しく用いることが大切です。手指や身の回りの消毒をこまめに行うことで感染するリスクは軽減され得ます。感染が拡大する今、徹底して行うことが大切です。今回紹介した消毒剤のいずれかを常備し、毎日、しっかり消毒を行いましょう。

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