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vol.23 クロルヘキシジン皮膚清浄化の方法が残留クロルヘキシジン皮膚濃度や細菌の回復に与える影響の差異
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背景

集中治療ユニット(ICU)の患者を2%クロルヘキシジングルコン酸(CHG)含浸クロスで清拭することは、医療関連感染および多剤耐性菌の伝播リスクを低減する。病院によって異なるCHG清拭の方法を実施しており、それらの方法が同等の結果を生み出すかどうかを評価した研究は少ない。

目的

3つの異なるCHG皮膚清浄化方法が皮膚に対して同等のCHG濃度および細菌密度をもたらすかどうかを決定すること。

研究方法・施設・参加者・時期

前向き、無作為化盲検。シカゴとボストンにある2つの三次医療教育病院でICUに勤務する医療従事者。2015年7月~2016年1月。

介入

洗い流し不要の2%CHG含浸ポリエステルクロス(方法A)にて片方の前腕の皮膚を清浄化した。もう一方の前腕は、4%CHG液体を消毒薬非含浸のセルロース・ポリエステルクロス(方法B)または滅菌水を浸した綿の小型タオル(方法C)に含ませて皮膚を清浄化し、そののち洗い流しを行った。

結果

63人が参加した。全員が片方の前腕に方法Aを受けた。もう一方の前腕には、33人が方法B、30人が方法Cを受けた。直後および6時間後に、方法B・Cに比べて方法Aが最も高いCHG残留濃度(それぞれ2,500μg/mLと1,250μg/mL)および最も低い細菌密度を示した。

結論

健康なボランティアにおいて、2%CHG含浸クロスで清浄化することは、2種類のクロスを用いた4%CHG液体による清浄化とその後の洗い流しに比べて、より高いCHG残留濃度とより低い細菌密度を示した。この差異が臨床的アウトカムに与える影響は今後検証する必要がある。

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監訳者コメント

CHGによる全身皮膚清浄化は、重症患者における肺炎や血流感染のリスクを低下させるなどの臨床効果が既に明らかになっており、アメリカの多くの医療機関で取り入れられている対策である。しかし、日本ではCHGによる副作用が過剰に懸念されていることもあり、本法は医療現場に未だ取り入れられていない。将来、本法に適応を取得した製剤が利用可能となった際に、各施設においてどのような製剤や方法を選択するかを考える上で、予め念頭に置いておきたい研究結果である。