消毒薬のQ&A

消毒薬のQ&A

ケア関連の感染予防・対策

疥癬の対応方法は?

軽症(通常)の疥癬は、入浴介助などの濃厚接触で感染します。一方、重症の疥癬(角化型疥癬;俗称ノルウェー疥癬)は、接触のみならず、皮膚の落屑などを介して感染する可能性もあります1-3)。
疥癬の拡大防止には、角化型疥癬の患者をすみやかに見つけ出して治療することや、疥癬が疑われる患者に対して接触予防策を実施することが大切です(図1)。

図1. 疥癬対策(長袖ガウンと手袋の着用)

また、角化型疥癬と判明した患者に濃厚接触した医療者に対しては、イベルメクチン(ストロメクトール®)の内服や、スミスリン®ローションやクロタミトン軟膏(オイラックス®)の外用などによる予防投与を開始します4,5)。 皮膚落屑とともに環境にまき散らされたヒゼンダニは、500W(ワット)以上の強さの電気掃除機で吸い取ることができます。また、ピレスロイド系農薬(ダニアース®、バルサン®など)の使用も有効です。また、ヒトから離れたヒゼンダニは4~7日間程度で死滅していくので、病室を7日間にわたり使用中止にしたり、シェーバーなどの私物をビニール袋に入れて7日間ほど放置しておくといった方法も有効です6,7)

引用文献

  1. Cooper CL, Jackson MM: Outbreak of scabies in a small community hospital. Am J Infect Control 14: 173-179, 1986.
  2. Centers for Disease Control (CDC): Scabies in health care facilities-Iowa. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 37: 178-179, 1988.
  3. Centers for Disease Control (CDC): Patient-source scabies among hospital personnel--Pennsylvania. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 32: 489-490, 1983.
  4. 牧上久仁子, 他: 精神科病院における疥癬集団発生対策-予防的治療実施と疫学的検討-. 日衛誌(Jpn J Hyg)60: 450-460, 2005.
  5. 大滝倫子, 谷口裕子, 牧上久仁子: 高齢者施設での疥癬の集団発生に対するイベルメクチンの治療効果. 臨皮59: 692-668, 2005.
  6. Johnsen C, et al: An outbreak of scabies in a New York City jail. Am J Infect Control 19: 162-163, 1991.
  7. Burkhart CG: Scabies: an epidemiologic reassessment. Ann Intern Med 98: 498-503, 1983.