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【医師監修】インフルエンザの薬の種類はいくつ?それぞれの特徴を解説

2022.11.28| 感染症・消毒

インフルエンザを治療するには、医療機関で処方される薬が必要です。インフルエンザ薬は複数の種類があり、患者の症状や年齢、基礎疾患を考慮して処方されることになります。

世間ではインフルエンザ薬の副作用に対する不安もあり、一体どんな薬がどのような理由で使われているのか気になる方も多いのではないでしょうか。

今回は「インフルエンザ薬の種類や特徴」について詳しく解説します。インフルエンザ薬に不安のある方や、どのような効果に期待ができるのか知りたい方はぜひ参考にしてください。

インフルエンザの治療薬はどのくらい種類がある?

インフルエンザの治療薬は、大きく分けて「内服薬」と「吸入薬」「点滴薬」の3つに分類されます。

インフルエンザの治療薬は「抗インフルエンザ薬」と呼ばれており、医療機関でのみ処方が可能です。

抗インフルエンザ薬はインフルエンザが発症してからすぐの段階で投薬すると、症状の緩和効果が大きくなる傾向にあります。検査でインフルエンザが「陽性」と出た方は、医師の指示に従ってすぐに治療、あるいは療養など、適切な対処をしましょう。

ただし、インフルエンザを発症して24時間以内の場合、感染していても検査結果が「陰性」となるケースも少なくありません。検査後も体調が回復しない場合は、翌日また検査を受けることをおすすめします。

抗インフルエンザ薬は、投薬の開始が遅れると薬の効果が低下する可能性があり、発症してからすぐに投薬を開始するのが望ましいです。

急な発熱や咳、倦怠感や頭痛など、インフルエンザの症状が現れた際は、早めに医療機関を受診しましょう。

インフルエンザの主な内服薬は「タミフル」と「ゾフルーザ」

インフルエンザの内服薬はタミフルとゾフルーザの2つです。それぞれの特徴を紹介しますので、内服薬について詳しく知りたい方は2つの薬をチェックしてください。

タミフル

タミフルは全世界で使われている抗インフルエンザ薬です。一般名は「オセルタミビル」で、タミフルは薬の商品名です。

タミフルにはカプセルタイプとドライシロップタイプの2つがありますが、一般的にはカプセルタイプが処方されています。

タミフルは増殖したウイルスの拡散を抑える効果に期待ができる抗インフルエンザ薬です。1日2回、5日間の服用が基本ですが、医師の指示に従って服用してください。

タミフルはA型、B型どちらのインフルエンザの治療にも使える抗インフルエンザ薬で、幼小児にも処方できるといった特徴があります。

ゾフルーザ

ゾフルーザは2018年に処方が開始された抗インフルエンザ薬の新薬です。一般名は「バロキサビル マルボキシル」で、まだ歴史が浅いため馴染みの少ない抗インフルエンザ薬です。

ゾフルーザはエンドヌクレアーゼと呼ばれる今までとは違う作用序列を採用した抗インフルエンザ薬となり、ウイルスの繁殖を抑える効果に期待ができます。ゾフルーザは、インフルエンザウイルスを不活化するスピードが速いのが特徴とされています。

体重が10kg以上であれば年齢を問わず服用できますが、日本小児科学会では12歳未満の服用は推奨されていません。

インフルエンザの主な吸入薬は「リレンザ」と「イナビル」

インフルエンザに使われている吸入薬は、リレンザとイナビルです。どちらもインフルエンザA型、B型の両方の治療に使われています。

リレンザとイナビルのそれぞれの特徴を紹介しますので、気になる方は参考にしてください。

リレンザ

リレンザは粉末状の抗インフルエンザ薬です。気管に直接粉末薬を届け、ウイルスの増殖を抑える効果に期待ができます。ブリスターと呼ばれている専用の吸入器を使ってリレンザを吸入します。

添加物に乳タンパクが含まれているため、アレルギーをお持ちの方はリレンザが使えない場合があります。また、喘息など呼吸器疾患をお持ちの方はリレンザを使用できないケースもあるので、医師に基礎疾患を伝えてから処方してもらってください。

イナビル

イナビルは長時間作用型の抗インフルエンザ薬です。1回の吸入で5日間作用するため、何度も服用しなくてもよいメリットがあります。

ただし、イナビルは吸入薬のため、幼児や高齢者などうまく薬を吸い込めない方の服用には向きません。また、リレンザと同様に添加物に乳タンパクが含まれているため、アレルギーが心配な方は事前に医師に相談しましょう。

呼吸器疾患がある方の服用にも注意が必要なため、診察の際に医師に基礎疾患を伝えておくことも大切です。

年齢によってイナビルが処方される量は異なるので、吸入が難しい方も医師に体質やアレルギーなどをよく相談して判断してもらいましょう。

インフルエンザの主な点滴薬は「ラピアクタ」

ラピアクタは、点滴タイプの抗インフルエンザ薬です。基本的には内服薬や吸入薬による治療が一般的ですが、薬をうまく服用できない患者には点滴薬のラピアクタが使われています。

ラピアクタはインフルエンザウイルスの増殖を抑制する効果に期待ができます。腎機能障害を抱えている方は投薬できない場合もあるので注意しましょう。

抗インフルエンザ薬は稀に副作用を引き起こす可能性もあるため、体調に不安のある方や基礎疾患をお持ちの方は、必ず医師に申告してください。

インフルエンザは毎年の予防が大切

抗インフルエンザ薬は患者の年齢や体重、基礎疾患など、医師がさまざまな情報を参考にして処方する薬の種類を選んでいます。そのため、希望した治療薬が必ず処方されるわけではありません。

薬の服用方法や副作用などに心配な点がある方は、遠慮なく診察時に伝えておきましょう。

インフルエンザは予防も大切です。ウイルスに感染しないためにも、日頃から予防に努めましょう。手洗いや手指消毒を徹底したり、室内を加湿したりしながらウイルス感染を防いでください。

インフルエンザの流行時期は外出を控えることも大切です。予防接種なども検討しながら、インフルエンザに感染しないようにしましょう。

佐藤医師よりコメント

インフルエンザの治療薬は、「内服薬」「吸入薬」「点滴薬」の3つに分類されます。どの薬剤が適しているかどうかは医師が判断します。インフルエンザに感染しないように日頃から感染対策を行い予防に努めていきましょう。

監修者

医師:佐藤留美

内科医・呼吸器科医・感染症科医・アレルギー科医。 久留米大学医学部を卒業後、大学病院、市中病院で臨床医として勤務。また、大学院で感染症の 研鑽を積み、医学博士を取得。内科・呼吸器・感染症・アレルギー等の専門医と指導医資格を多岐にわたり取得。現在は朝倉医師会病院呼吸器科部長として勤務。

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