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インフルエンザが1日で治る? これまでの薬と新薬「ゾフルーザ」について

2022.11.28| 感染症・消毒

インフルエンザになった時に処方される抗インフルエンザ薬には、タミフルやリレンザ、イナビルなど、様々なものがあります。こうした薬に、近年「ゾフルーザ」という新薬が加わりました。今回は、新薬「ゾフルーザ」が今までの薬とどんなところが違うのか、さらに様々な抗インフルエンザ薬の中から自分に合った薬の選び方についてご紹介します。

 

期待の新薬「ゾフルーザ」とは?

従来の抗インフルエンザ薬は、細胞内で増殖したウイルスが細胞の外に出るのに必要なノイラミニダーゼという酵素の働きを妨げることによって、インフルエンザウイルスがほかの細胞に感染を広げるのを抑える薬でした。一方、ゾフルーザには、インフルエンザウイルスが細胞内で増殖することそのものを阻害する働きがあります。

画期的なのは、たった一回の服用で治療が終わるという利便性です。また2016~2017年に行われた治験では、症状の改善効果においては従来の抗インフルエンザ薬と大きな違いはないものの、体内からインフルエンザウイルスを排出するスピードが、タミフルでは72時間だったのに対し、ゾフルーザでは24時間という結果が出ています。これは従来の薬と比べて、ゾフルーザには感染者の体から急速にインフルエンザウイルスを排出させる働きがあることを示唆するもので、周囲への感染拡大を防止する効果が期待されています。なお副作用に関しては、下痢や鼻血などの症状の報告がありますが、臨床試験では従来の抗インフルエンザ薬に比べると比較的少ないという結果が出ています。

ゾフルーザは、細胞内でインフルエンザウイルスが増えてしまった後で使っても意味がありません。発熱から48時間以内に使わないと効果が期待できないことが確認されていますので、発症がわかったらすぐに使うのがポイントとなります。

 

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これまでの抗インフルエンザ薬

それではここで、従来の抗インフルエンザ薬についておさらいしておきましょう。

●タミフル

細胞内で増えたインフルエンザウイルスが、細胞から外に出るのを阻害することによって周囲の細胞への感染を防ぐ抗インフルエンザ薬です。内服薬で、錠剤か粉薬の2つの形状があり、小児は体重によって服用量が変わります。服用は、朝夕2回を5日間。なお、タミフルの服用による異常行動が疑われていた時期があり、しばらく10代の患者への投薬が制限されていました。しかし現在では、異常行動はインフルエンザそのものによって起こる症状と考えられており、異常行動が起こる頻度も他の抗インフルエンザ薬を使用した時と変わらないことから、タミフルの投薬制限はなくなっています。副作用としては、主に下痢や腹痛などの消化器症状が報告されています。

●リレンザ

タミフル同様、細胞内で増えたインフルエンザウイルスが細胞の外に出ることを阻害する抗インフルエンザ薬です。吸引薬であるのが特徴で、1日に5mgを2回、5日間吸引します。この際、ウイルスを完全になくすために、症状が出なくなっても必ず5日間吸引を続けることになっています。薬を吸引することが可能な5歳以上の人が使うことができますが、リレンザには乳糖が含まれているため、牛乳アレルギーがある人は医師に相談する必要があります。副作用としては、主に下痢や蕁麻疹などがありますが、まれにアナフィラキシーショックを起こすこともあると言われています。

●イナビル

タミフル、リレンザ同様、細胞内で増えたインフルエンザウイルスが細胞の外に出ることを阻害する抗インフルエンザ薬です。10歳以上の人は40mg、10歳未満の小児は20mgを吸引する薬です。服用回数が1回だけで良いのが特徴で、吸引することが可能な5歳以上の人が使うことができます。リレンザと同様に乳糖が含まれているため、牛乳アレルギーがある人は医師への相談が必須です。なお副作用としては、主に下痢などの消化器症状が報告されています。

※このほか、従来の抗インフルエンザ薬として、点滴投与する「ラピアクタ」という薬もあります。これは上記の薬や新薬を使えないケースに適用するもので、医療機関での点滴が必要な薬ですので、ここでは除外します。

 

ゾフルーザとこれまでの薬の違い

ゾフルーザと、これまでのタミフル、リレンザ、イナビルとの大きな違いは、薬を飲んだときの体内での働き方にあります。タミフル、リレンザ、イナビルは、すべてノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる薬で、細胞内で増えたインフルエンザウイルスが細胞の外に飛び出すことを阻害して、ウイルスの増殖を抑えます。これに対してゾフルーザは、キャップ依存的エンドヌクレアーゼ阻害薬に分類される抗インフルエンザ薬で、細胞内でインフルエンザウイルスが増えること自体を阻害します。どちらもインフルエンザウイルスの働きを阻害することに変わりはありませんが、ウイルスが細胞から外に出る段階で抑えるか、ウイルスが細胞内で増殖する段階で抑えるかという点に違いがあります。

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自分に合った抗インフルエンザ薬の選び方

それでは、自分に合った抗インフルエンザ薬は、どのように選べばよいのでしょうか?

最初に考えなければいけないのが、年齢です。吸引薬であるリレンザとイナビルは、5歳未満の子どもには使うことができません。5歳以上であっても、うまく吸引できない子どもの場合、吸引薬は除外することになります。また、この2つの薬には乳糖が含まれているので、乳製品のアレルギーがある人は医師への相談が必須になります。

さらに錠剤が飲めるかどうかという点も薬選びのポイントになります。5歳以上で錠剤を飲むのが難しい場合は、リレンザやイナビルの吸引薬が選択肢に挙げられますが、吸引も難しいならタミフルの粉薬を選択することになります。

次に考えたいのが、薬を使う頻度です。手軽さを求めるなら、1回の使用で完結する吸引薬のイナビルか、新薬のゾフルーザを服用することになります。逆に5日間朝夕の使用が可能ならば、タミフルの服用か、リレンザの吸引を選ぶという選択もできます。この時に気を付けなければいけないのは、1回の使用で済む薬と、5日間の使用が必要な薬とでは、症状が回復するまでの期間に違いがないという点です。ただ、服用するのを忘れる心配がないという点で、1回の使用で済む薬は、忙しい人や高齢者には向いているといえます。

最後に従来の薬を選ぶか、それとも新薬ゾフルーザを選ぶかという選択ですが、これはどちらにも一長一短があります。手軽さからいえば、1回の服用で済み、吸引ができるかどうかを問わないゾフルーザに利点がありますが、従来の薬と比べると実績が少なく、最近では耐性株も見つかっています。一方で従来の薬は、年齢や吸引の得手不得手など新薬よりも使う人の特性を選ぶという意味で複雑な面もありますが、今まで積み重ねてきた実績があるため、ある程度の効果や副作用は知られており、未知のリスクは少ないというメリットがあります。新薬だからといって従来の薬よりすべてが良いわけではないので、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

 

まとめ

以上、新薬ゾフルーザを中心に、抗インフルエンザ薬についてご紹介しました。抗インフルエンザ薬は、年齢や服用回数、薬の形態による使用しやすさ、体質などを考えて自分が無理なく使えるものを選ぶのがポイントになります。「1回のみの吸引薬が希望」など、生活の中で自分が無理なく使える条件を医師に伝えた上で、抗インフルエンザ薬の処方を受けましょう。

 

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