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猛威をふるうインフルエンザA型とは? ウイルスや症状の特徴をチェック

2022.11.28| 感染症・消毒

インフルエンザはウイルスの種類によって型が分類されており、人間に感染するウイルスは大きく分けてA型・B型・C型の3種があります。この中でも特に感染力が強いとされているのがA型で、他の型と比べて症状も強く、体質によっては重篤化するケースもあるため、注意が必要です。効果的な予防対策をたて、万が一感染した際は適切に対処できるよう、インフルエンザA型の特徴や感染経路、症状などを理解しておきましょう。

インフルエンザA型とは

人間に感染するインフルエンザウイルスA型・B型・C型の3種の中で、最も流行しやすく厄介なのがA型といわれています。というのも、C型は一度感染すると生涯有効な免疫が獲得されるため、流行すると言われています。一方で、毎年流行を起こすのはA型とB型ですが、B型はウイルスの型が2種類しかなく、定期的に変異するものの、免疫を獲得している人が多いため、大流行を引き起こす可能性は低いとされています。これに対してA型はウイルスの型は140種類以上もあり、さらに感染した人や動物の体内でどんどん進化していくため、新型のウイルスが次々に現れます。そのため、免疫を持っている人が少なく、ワクチンが有効でないウイルスが現れることもあり、世界的な大流行を起こす可能性があります。

マスクをした女性

インフルエンザA型の感染経路と予防策

インフルエンザA型は他の型と比べて感染力が強く、ワクチンを接種していても型が異なる場合があるため、効果的に予防するには感染経路を断ち切ることが重要です。インフルエンザA型の感染経路は他の型と同様、飛沫感染と接触感染の2つが主です。飛沫感染も接触感染も、こまめな手洗いとうがい、マスクの着用が予防に効果的。日ごろからしっかり対策をとりましょう。

・飛沫感染…感染している人のせきやくしゃみの飛沫を吸い込むこと
・接触感染…感染している人がウイルスのついた手で触ったドアノブや手すりなどを介して様々な人の手にウイルスが付着し、体内に侵入すること

インフルエンザA型の症状について

インフルエンザA型は、ほかの型に比べて症状の現れ方が激しい傾向にあります。感染すると1~3日程度の潜伏期間を経て、悪寒やのどの痛み、頭痛、筋肉痛、せき、鼻水、38度前後の高熱などの症状が急激に現れます。特に免疫力の低下している高齢者や小児、心疾患や呼吸器疾患といった持病がある場合は、肺炎や脳症などの合併症を併発する可能性が高く、重篤化するケースもあるため注意が必要です。
ただし、体質や、予防接種の効果によっては、インフルエンザが発症しても37度台の微熱しか出ず、鼻水やせきといった風邪程度の軽い症状で済む場合もあります。しかし、感染した本人につらい症状がみられなくてもウイルスは体内にいるため、職場や学校に出向くと、感染を広げることになってしまいます。医療機関で簡単な検査を受ければ診断がつくので、インフルエンザの流行期に風邪のような症状がみられる場合、診察を受けるようにしましょう。

インフルエンザA型の診断と検査

インフルエンザには診断基準が設けられており、症状の顕著なA型は特に診断がつきやすいといわれます。その基準とは、国立感染症研究所がまとめたインフルエンザ診断マニュアルに定められているもので、インフルエンザの流行期間中(11~4月)に次の4つの項目をすべて満たす場合は、インフルエンザと診断されます。

・突然の発症
・高熱
・上気道炎症状
・全身倦怠感等の全身症状

しかし、流行期以外にもインフルエンザが発症することがあったり、症状が軽度だったりするケースも多いため、現在は検査によって診断確定を行うのが一般的になってきました。インフルエンザの検査には以下の4種類あり、現在は1の迅速診断キットによる検査が主流となっています。

診察を受ける女性

1.迅速診断キットによる検査

2001年に登場し、現在最も主流となっている検査です。綿棒でのどや鼻の奥の粘膜をこすり、そこについた組織や分泌物からウイルスを検出します。検査時間は15~30分程度で、A型かB型かの特定もできます。手軽ながら正確性も高く、信頼のおける検査です。ただし、ウイルスの量が一定以上に達していないと陽性判定が出ないため、発症してから12~24時間経過したタイミングでの検査が推奨されています。

2.血清抗体検査

インフルエンザが発症してから1週間以内に1回と、症状が治まった頃にもう1回の計2回、採血を行ってインフルエンザウイルスに対する抗体ができているか調べます。検査結果が分かるまでに2週間程度かかるため、現在はこの方法はほとんど行われていません。

3.ウイルス分離検査

発症してから約72時間以内を目安に行われる検査で、のどや鼻の奥を拭って採取した液からウイルスを分離し判定します。結果が出るまで1週間程度かかりますが、ウイルスの種類などまで詳しく分かる優れた検査です。ただし、高度な技術を要するため、ごく限られた機関でしか行われていません。

4.PCRを用いた検査

のどや鼻の奥を拭い採取した液を検体とし、インフルエンザウイルスの遺伝子を検出する方法です。ウイルスの型や構造など非常に細かく、正確に分かるため、新型ウイルスかどうかまで判定できます。高度な検査のため公的な検査機関で行われることが多く、一般的な医療機関ではほとんど行われていません。

また、インフルエンザA型による肺炎や脳症などの合併症が疑われる場合には、胸部レントゲン写真、脳波、頭部画像などの検査が適宜追加されます。高熱が長引く、せきが続いて呼吸が苦しい、意識障害やけいれんがあるなど重症化がみられる場合はただちに医療機関へかかりましょう。

まとめ

インフルエンザA型はウイルスが変異するため、免疫を持つ人が少なく、ワクチンでも完全に防ぎきれず、年によっては大流行する可能性があります。感染経路をしっかり断ち、効果的な予防対策をとりましょう。また、迅速診断キットの登場により、医師の診察と検査を併せて行うことで、より正確な診断が行われるようになりました。感染した本人につらい症状がみられないとしても、体内にインフルエンザウイルスはいるため、放っておけば周囲にウイルスをまき散らしてしまいます。インフルンザ流行期に風邪のような症状が続くようであれば、早めに医療機関へかかるようにしましょう。

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