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【医師監修】インフルエンザ予防に使いたい! 優れた殺菌・消毒作用のある「マヌカハニー」に注目

2022.11.28| 感染症・消毒

インフルエンザの予防対策によいとされる食べ物について、巷ではさまざまな情報があふれています。その中でも近年、注目を集めているのが「マヌカハニー」です。今回は、マヌカハニーに期待されるインフルエンザの予防効果や、商品の選ぶ際のポイントなどを解説します。

強力な殺菌・消毒作用を持つマヌカハニー

瓶に入ったマヌカハニー

●マヌカハニーとは?
マヌカハニーはニュージーランドにのみ自生するフトモモ科の樹木・マヌカの花から採取されるハチミツです。そもそもマヌカの幹や樹皮、葉などにはさまざまな効能があると考えられており、ニュージーランドの先住民・マオリ族の間では、古くから病気の治療に用いられてきました。そんなマヌカの花から採れるマヌカハニーの生産が始まったのは1800年代初期。生産当初は主に牛のエサとして利用されていたそうですが、マヌカハニーを与えられた牛が病気になりにくく、健康状態がよいことが注目され、さまざまな研究が行われるようになりました。そして2006年、マヌカハニーには強力な殺菌・消毒作用があることが判明したのです。
以来、マヌカハニーは人々の健康を促進する食品として利用されるようになりました。特に高品質なものは、オセアニアや欧米の医療機関などで治療を目的とした医療用ハチミツとしても活用されています。

●マヌカハニーの特徴
マヌカハニーの最大の特徴といえるのが、独自の殺菌・消毒成分のメチルグリオキサールです。そもそもハチミツには、さまざまな薬効があるとされ、古くから民間療法でも多く用いられてきました。中でも注目されているのが、グルコン酸の働きで、優れた殺菌・消毒作用によって、傷の治りを早くしてくれるといわれています。しかしながら、グルコン酸は体内に入ると酵素によって分解され、その作用も失われてしまいます。そのため、ハチミツの殺菌・消毒作用は外傷にのみ有効と考えられてきました。
ところが、マヌカハニーが有するメチルグリオキサールは、体内に入っても殺菌・消毒作用が失われないことが明らかになったのです。そのため、体内の病原菌や悪玉菌の抑制、除去が期待できると考えられています。これは、数あるハチミツの中でもマヌカハニーだけがもつ成分であり、しかもその効力はグルコン酸の2倍以上といわれます。

マヌカハニーが持つさまざまな働き

一般的なハチミツよりも優れた殺菌・消毒成分を持つ、マヌカハニー。さまざまな健康促進作用が期待できると考えられています。

●感染症の予防
マヌカハニーに含まれるメチルグリオキサールには、病原菌やウイルスなどの増殖を抑制し、除去する働きがあります。そのため、インフルエンザウイルスなどによる感染症の予防に有効と考えられています。さらにビタミンB1 、B2、B12、ビタミンC、ナイアシンなどのビタミン類や、カルシウムやリンといったミネラル、アミノ酸なども豊富に含まれており、栄養価が高く、滋養強壮に適しています。

●胃がん、胃潰瘍などの胃腸疾患の予防
近年、胃がんや胃潰瘍などの胃腸疾患の原因菌であることが判明したピロリ菌。非常に強い菌として知られますが、メチルグリオキサールの殺菌作用は、このピロリ菌に対しても有効であると考えられています。また、抗炎症作用のあるシリング酸メチルには、ピロリ菌が生成する活性酸素を除去する働きも期待されています。

●整腸作用
メチルグリオキサールは腸内で悪玉菌の増加を抑制し、乳酸菌などの善玉菌を活性化させる働きがあるため、腸内環境の改善にも有効と考えられています。また、大腸菌やサルモネラ菌といった食中毒の原因となる有害な菌の増殖も抑制するといわれています。

●切り傷ややけど、炎症の改善
メチルグリオキサールが傷口の雑菌の繁殖を抑制し、シリング酸メチルなどが抗炎症作用を発揮するため、切り傷ややけどなどの外傷に塗ると治りが早くなると考えられています。

●口腔内のトラブルを改善
抗菌作用をもつマヌカハニーは、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑制し、歯垢や歯肉炎を減少させることで、虫歯や歯周病を防ぐといわれています。また、マヌカハニーには抗炎症作用もあるため、口内炎に塗ると痛みや腫れを和らげる作用も期待できると考えられています。

マヌカハニーを選ぶポイント

優れた健康効果が期待できることから、今では多くの商品が市販されています。その中から安心して使えるものを選ぶために参考になるのが、ラベルに記載された「UMF」「MGO」「MGS」のマークです。これらは、ニュージーランド政府公認のマークで、このマークが表示されている商品は、専門の検査機関を通して品質管理が行われたものであることを示しています。さらに、このマークには数値も記載されており、数値が高いほど、殺菌・消毒効果も高いことを意味します。このマークや数値は用途にあったマヌカハニーを選ぶ目安となるため、意図するところをきちんと理解しておく必要があります。

●UMF
UMFはユニークマヌカファクターの略で、マヌカハニーの殺菌・消毒効果を、消毒液のフェノール溶液と比較した数値で表しています。

●MGO
MGOとはメチルグリオキサールのことで、マヌカハニー1kgあたり、メチルグリオキサールがどれくらい含まれているのかを表しています。

●MGS
MGSはモーランゴールドスタンダードを略したもので、マヌカハニーに含まれるメチルグリオキサールの量、純度、質を表しています。UMFよりもさらに信頼のできる指標となります。

インフルエンザ対策でマヌカハニーを摂取する場合、「UMF」「MGO」「MGS」のいずれかがラベルに記載されてあることを確認し、「UMF」「MGS」ならば15+~18+、「MGO」ならば514+~696+の数値を選ぶとよいでしょう。また毎日の健康管理が目的ならば、そこまで高い数値にこだわる必要はありません。目的と値段の兼ね合いで、自分に合った商品を選びましょう。

消毒作用数値の表

マヌカハニーの摂取方法

ヨーグルトとマヌカハニー

マヌカハニーの効果を十分に得るためには、摂取方法にも注意が必要です。効果的な摂取方法は以下の通りです。

●摂取量
糖分の過剰摂取は体に負担を与えるため、1日15mlほどが適量とされています。1日3回に分けて摂取するとよいでしょう。

●オススメの摂取方法
インフルエンザ予防が目的の場合、毎日継続して摂取するのが望ましいです。ヨーグルトや飲み物に混ぜたり、ホットケーキやトーストに塗って食べたりするとよいでしょう。風邪などで喉の痛みがある時は、マヌカハニーをそのまま食べると回復が早いといわれています。また、口内炎がある場合は、綿棒にマヌカハニーを適量取り、患部に直接塗るとよいでしょう。なお、マヌカハニーの甘みは一般的なハチミツと同じ程度ですが、ハーブのような香りや、ほのかな苦みがあるため、それを苦手と感じる人もいるようです。そのまま食べるのが難しいようであれば、先に挙げた通り、食べ物や飲み物に混ぜるとよいでしょう。

●摂取するときの注意点
マヌカハニーに限らず、ハチミツには、食中毒の原因となるボツリヌス菌が混入している可能性があります。このボツリヌス菌は加熱しても殺菌できないため、腸が未熟な1歳未満の乳幼児にハチミツを与えることは禁止されています。マヌカハニーも同様に、1歳未満の乳幼児に与えるのは絶対にやめましょう。また、話題の食品であるがため、偽物や粗悪品も多く出回っています。ブランドマークを確認し、品質の保証された正規品をしっかり選びましょう。

まとめ

マヌカハニーは体内でも優れた殺菌・消毒作用を発揮するため、インフルエンザの予防対策にもオススメの食品といえそうです。ブランドマークや数値をしっかり確認することで、目的にあった、信頼のおける商品が正しく選べるでしょう。今回紹介した内容を参考に、インフルエンザ予防にマヌカハニーをぜひ取り入れてみてくださいね。

木村医師よりコメント

自然療法のひとつとして注目されているマヌカハニーは、伝統的に使われ、多くの効果効能があるといわれています。ハチミツが咳に効くといったデータ(Oduwole O, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2018 Apr 10.)も報告されており、科学的にもハチミツの医学的効果が確立されつつあるといえるかもしれません。マヌカハニーがインフルエンザに特別に効く、というわけではないかもしれませんが、健康を保つ一助として考えてみてはいかがでしょう。

監修者

医師:木村眞樹子

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。

 

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