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【医師監修】インフルエンザの吸入薬の効果は?特徴と気になる副作用もチェック!

2022.11.28| 感染症・消毒

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寒い時期に流行し、発熱や頭痛だけでなく、関節痛・倦怠感などの全身症状も出るインフルエンザは、症状が出始めると急激に悪化するのが特徴。辛いインフルエンザの症状を早く緩和するために有効とされているのが、抗インフルエンザ薬です。

今回は、その中でも吸入薬の種類や特徴、副作用などを紹介します。

インフルエンザの吸入薬は2種類

インフルエンザの吸入薬は、ラニナミビル(商品名:イナビル)とザナミビル(商品名:リレンザ)の2種類です。どちらもノイラミニダーゼ阻害薬で、インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があると言われています。

抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内に開始するとよいと言われており、それぞれ特徴や使用方法も異なります。

医師からインフルエンザの吸入薬を処方された場合は、服用回数や方法など注意事項をきちんと確認してください。また、妊娠中の方は必ず医師に相談するようにしましょう。

それでは、インフルエンザの吸入薬の特徴と使用方法を種類別に紹介していきます。

●イナビル

イナビルは口から吸うタイプの吸入薬で、インフルエンザA型・B型に有効とされています。処方された分を一度吸入するだけでよいというのが最大の特徴です。インフルエンザ予防薬としても処方される薬です(その場合は保険適用外)。

1つの容器に対して2回吸入を行い、1回吸うごとに2~3秒息を止めます。10歳以上の方は、容器2つ分を吸入する必要があり、合計4回の吸入を行います。吸入を行う際は、薬剤の容器の底に空気孔がありますので、ふさがないようにしましょう。

喘息や肺疾患などがある方は、あらかじめ医師に伝える必要があります。また、イナビルには乳タンパクが含まれているため、乳製品アレルギーの方は服用することができません。

●リレンザ

リレンザは口から吸うタイプの吸入薬で、インフルエンザA型・B型に有効とされています。1日2回、5日間、専用の容器で吸入します。服用期間が長く、ご自身で専用容器に薬を入れる必要があります。インフルエンザ予防薬としても処方される薬ですが、その場合は保険適用外になります。

リレンザもイナビルと同様、気道に粉薬を入れるため、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などがある方は医師に前もって相談をしましょう。

リレンザは乳糖が添加物として使用されているので、乳製品アレルギーの方は服用することができません。

インフルエンザの吸入薬に副作用はあるの?

インフルエンザの吸入薬は、十分な治験と臨床データによって一定の安全性が確認され認可を受けている薬のため危険性は低いです。ここでは、可能性は低いですが、起こり得る副作用を説明していきます。万が一、インフルエンザの吸入薬を服用して少しでも異常があれば、早めに医師に相談するようにしてください。

●イナビルを服用した際に考えられる副作用

イナビルを服用した際に考える副作用は、失神、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗などがあげられます。また、発作的な息切れなどの症状も確認されていますが、どの副作用も発現する確率は低いです。

●リレンザを服用した際に考えられる副作用

リレンザを服用した際に考えられる副作用は、血圧低下、呼吸困難、咽頭・喉頭浮腫などがあげられます。他にも、発作的な息切れ、下痢、発疹、吐き気、嘔吐、嗅覚障害、顔面浮腫、蕁麻疹なども報告されていますが、こちらも可能性は低いです。

吸入薬以外のインフルエンザ薬は?

抗インフルエンザ薬は、吸入薬以外にも飲み薬や点滴薬などがあります。タミフル、ゾフルーザ、ラピアクタなど、代表的な抗インフルエンザ薬の特徴を解説します。

●タミフル

インフルエンザの薬として、多くの方に知られているのがタミフルです。全世界で使われている飲み薬で、A型・B型、両方のインフルエンザウイルスの増殖を防ぐと言われています。

37.5kg以下の幼少児も使用可能です。副作用として、下痢、腹痛、吐き気などが報告されています。

●ゾフルーザ

抗インフルエンザ薬の新薬で、1回服用するだけでよいというのが最大の特徴です。また、12歳未満の服用は推奨されていません。副作用の症状として、下痢、吐き気、頭痛、嘔吐などが報告されています。

●ラピアクタ

ラピアクタは、インフルエンザウイルスの増殖抑制効果が期待される点滴薬で、吸入や内服が難しい方が使用する場合が多いです。下痢、吐き気、嘔吐などが副作用として報告されています。

インフルエンザの吸入薬は、用法などをしっかり確認して使用しよう!

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インフルエンザの吸入薬は、それぞれ薬品によって服用回数や吸入方法が異なります。医師から処方された場合は、医師の指示をよく聞き正しい方法で服用するようにしましょう。

また、副作用が現れる可能性は低いですが、万が一、抗インフルエンザ薬を服用後に異常を感じることがあれば、早めに医師に相談してください。

工藤医師よりコメント

インフルエンザの吸入薬は種類によっては1回の吸入だけで済みますので、多くの病院で処方されています。ただし、吸入薬は普段あまり使う機会がない方がほとんどだと思いますので、処方された際は医師や薬剤師の指示をよく聞くようにして下さい。

監修者

医師:工藤孝文

内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

 

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