VOL.28 寝ているときにもおならが出るのはなぜ?原因と対処法を紹介

おならがよく出る、おならが臭い、お腹が張るなどの症状で悩んでいる方もいるのではないでしょうか。とくに、寝ているときのおならは意識的に抑えることが難しいため、改善したいと思う方も多いでしょう。
今回は、寝ているときのおならの原因や対処法について詳しく解説します。また、便秘が原因の場合に行う予防・改善方法も紹介します。
おならの回数が多い・寝ているときも出るのはなぜ?
おならの回数は人それぞれですが、成人では1日に10~20回のおならが出るとされています。そのため、ある程度のおならは正常といえるでしょう。
また、寝ているときは副交感神経が優位になり、大腸の運動も活発になるため、同様におならが出ることがあります。
おならを気にするあまり、自身が人よりも多くおならが出ると感じる方も少なくありません。
しかし、明らかにおならの回数が多く、寝ているときにいつもおならが出るような場合は、腸内にガスが溜まっているのかもしれません。腸内にガスが溜まる原因をつきとめ、原因に沿った対処をしましょう。
腸内にガスが溜まる原因
人間の腸には常に200ml程度のガスが溜まっているといわれています。腸内ガスの大半は食事や呼吸の際に飲み込んだ空気です。加えて、腸内細菌が食べ物を分解する際にもガスが発生します。
腸内に溜まったガスは、通常であればゲップやおならとして体外に排出されますが、以下の原因によってガスが異常に増えてしまうと、腹痛やお腹の張りを感じる可能性があります。
- ・炭酸飲料の飲み過ぎ
- ・呑気症
- ・病気の症状
- ・腸内環境の乱れ
- ・便秘
以下で詳しく解説します。
炭酸飲料の飲み過ぎ
おならや腹部の膨張感が気になる方は、炭酸ガスを含んだ炭酸飲料の飲み過ぎに注意しましょう。
炭酸飲料が体内に入ると、水と二酸化炭素に分解されます。その後、腸内に二酸化炭素が溜まり、食べ物の消化過程で発生するほかのガスと混じり合います。
ガスの量が通常よりも増えると、お腹が張ったり、おならの回数が増えたりすることがあります。
呑気症
呑気症とは、食べ物を食べるときや飲み物を飲むときに、多くの空気を飲み込んでしまうことです。
症状として、おならやゲップ、お腹の張りなどがあります。ゲップをするときに、食べ物が逆流するため、逆流性食道炎や胸焼けを起こす場合もあります。
なお、呑気症は内科的な病気ではありません。ストレスや緊張など精神的な要因が関与する場合が多く、心療内科で診断が下りることもあります。
ストレスを感じていると、無意識に空気を飲み込んでしまうことがあり、噛み締めグセや歯ぎしりグセがある方、早食いの方も呑気症になりやすいです。
病気の症状
おならの量や回数が増える可能性のある病気は以下のとおりです。
ただし、おならが増えても以下の病気とは限らないため、一例として参考にし、心配な方は医療機関への受診を検討してください。
病名 | 特徴 |
---|---|
慢性胃炎 | 慢性的に胃粘膜の炎症が起きている状態で、ピロリ菌が関係しており、胃がんの原因になるといわれている |
過敏性腸症候群 | 腸に異常がないのにもかかわらず、下痢や便秘を繰り返す病気 ストレスや緊張など精神的なものが原因であることが多い |
大腸がん | 進行すると便秘がちになり、おならの回数が増えることがある 腸が狭くなることでガスが溜まりやすくなる |
おならの量や回数が気になる場合には、病気の可能性も視野に入れ、医師による診断と治療を受けると良いでしょう。
腸内環境の乱れ
おならの量や回数が多く、においが強い場合には、腸内環境が乱れているのかもしれません。
腸内環境が良いとされるのは、善玉菌、日和見菌、悪玉菌のバランスが取れている状態です。善玉菌や日和見菌は食物を分解する際には、無臭に近いガスを発生させます。一方で、悪玉菌は強い臭いを出すのが特徴です。
悪玉菌が増えると腸内で腐敗物質が多く作られるため、ガスの量が増えて臭いも強くなります。腸内細菌のバランスは、偏った食生活や抗生物質の使用、ストレス、睡眠不足、運動不足、加齢などが原因で崩れます。
便秘
便秘によって食べ物の残りカスが腸内に溜まった状態が長く続くと、腸内細菌が分解を繰り返してガスが異常に増えることが考えられます。
大腸内にガスが増えると腸管が膨張して収縮できなくなるため、腸の収縮によって便を押し進める動き(ぜん動運動)が弱まってしまい、便秘を悪化させるという悪循環に陥る可能性があります。
腸内ガスによる腹痛や腹部の膨張感を解消するためには、よく噛んでゆっくりと食事をすることと、便秘を解消することが大切です。
寝ているときにおならが出る場合の対処法

寝ているときにおならが出る場合の対処法は、以下のとおりです。
- ・うつ伏せ寝をする
- ・ガス抜きのマッサージをする
それぞれの方法と注意点を紹介します。
うつ伏せ寝をする
「うつ伏せ寝」は、うつ伏せの状態でお腹に圧をかけるストレッチです。基本的なうつ伏せ寝の方法は以下のとおりです。
- 1.うつ伏せの状態で10分程度横になる(このとき、おへその下あたりにクッションや枕を入れ、腹部へ圧をかけると、より効果が高まる)
- 2.クッションや枕を外して、全身を使って左右にゴロゴロと寝返りを打つように転がる(5往復程度)
上記の手順を1日1回行いましょう。
うつ伏せ寝を行うタイミングはいつでも構いませんが、できれば夜寝る前がおすすめです。腸は寝ている間に活発に動くといわれているので、より高い効果が期待できます。
腸内ガスは便や水分より軽いので、立った姿勢のままではなかなか肛門まで下がって行きません。
また人間の腸は複雑な形状をしており、とくに曲がった部分にガスが溜まりやすいといわれています。奥まった部分に溜まった気体を部分的なマッサージで移動させるのは困難です。
しかし、うつ伏せの状態でお腹全体に圧をかけると、スムーズにガスを移動させることができるようになり、ガスをおならとして排出しやすくなります。
うつ伏せ寝を行う際の注意点
うつ伏せ寝を行うときには、以下の点に注意してください。
- ・食後には行わない
- ・平らな場所で行う
- ・痛みを感じた場合はすぐにやめる
- ・妊娠中の女性は行わない
うつ伏せ寝は、少なくとも食後30分以上経ってから行いましょう。食べ物が逆流して吐き気を催す恐れがあります。
腹部全体に圧がかかるように、平らな場所で行うことも大切です。フローリングや畳のような固い場所が理想ですが、カーペットやベッドの上でも良いです。
うつ伏せ寝は骨などへ負荷がかかる可能性もあるため、とくに慢性的な腰痛のある方は行う場所に注意してください。
なお、腸閉塞など大腸の疾患が原因となる便秘の場合は、腸に負担を与えてしまうため、少しでも痛みを感じたらすぐに中止しましょう。
妊娠中の女性は腹部を圧迫してしまうため、行わないようにしてください。
ガス抜きのマッサージをする
お腹に溜まったガスを抜きたいときには、うつ伏せ寝に合わせてガス抜きのマッサージをするのもおすすめです。
ガス抜きのマッサージのやり方は以下のとおりです。
- 1.仰向けに寝る
- 2.約30回、「の」の字を描くようにお腹をマッサージする(約30回)
- 3.指でお腹全体を軽く押しながら深呼吸をする
マッサージにより、腸内に溜まったガスを排出できるだけでなく、血液循環が良くなることで排便も促されるでしょう。
ガス抜きのマッサージの注意点
ガス抜きのマッサージを行う際には、腸を傷つけないよう、力を入れすぎず優しく行いましょう。強い力でマッサージをしても高い効果が出るわけではありません。マッサージ中に痛みを感じた場合は、すぐに中止しましょう。
また、食後すぐのマッサージは、吐き気や消化不良につながる可能性があります。お腹が痛むときも悪化するリスクがあるため、マッサージは行わないでください。
おならの原因となる便秘の予防・改善方法

おならの原因となる便秘の予防・改善方法は以下のとおりです。
- ・食生活を見直す
- ・生活習慣を改善する
- ・運動の習慣をつける
- ・酸化マグネシウム便秘薬を試してみる
それぞれの方法を詳しく解説します。
食生活を見直す
おならの原因となる便秘を予防・改善するためには、食生活を見直すことが大切です。便秘の改善のためには、食物繊維や乳酸菌・オリゴ糖を積極的に摂取しましょう。
食物繊維が多く含まれた食材を紹介します。
種類 | 食べ物の例 |
---|---|
水溶性食物繊維 | リンゴ・きゃべつ・にんじん・トマト・海藻類 |
不溶性食物繊維 | 大豆・芋類・ごぼう・きのこ類・穀類 |
水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌を増やし柔らかい便をつくります。不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して、便のかさを増して腸管を刺激するのが特徴です。
乳酸菌やオリゴ糖が豊富に含まれた食べ物は以下のとおりです。
種類 | 食べ物の例 |
---|---|
乳酸菌 | キムチ・ぬか漬け・ヨーグルト・みそ |
オリゴ糖 | 大豆・玉ねぎ・ブロッコリー・バナナ・キウイ・リンゴ |
乳酸菌は、善玉菌として腸内環境を整えます。乳酸菌が含まれた食材を食べるだけでなく、乳酸菌が好む水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂取し、腸内で乳酸菌を増やすことも重要なポイントです。
食べ物だけでなく、3食規則正しく食べることや、ゆっくり食べること、水分を摂ることも大切です。
生活習慣を改善する
便秘を予防・改善するためには、生活習慣を見直すことも重要です。規則正しい生活を保つことで腸の動きが安定し、便秘が解消できる場合があります。
例えば、決まった時間にトイレに行くことで腸のリズムが整います。とくに、朝決まった時間にトイレに行く習慣をつけると良いでしょう。
また、積極的に水分補給をすることも大切です。体の水分が足りなくなると、便の水分も不足して硬くなってしまうため、1日2リットル程度を目安に、のどが渇いたと感じる前にこまめに水分補給しましょう。毎朝コップ1杯の水を飲むことも大切です。
なお、睡眠のリズムを整え十分な睡眠時間を確保することも、腸をはじめとした体全体の機能が正常に働き、便秘解消につながります。
運動の習慣をつける
便秘の改善には、運動の習慣をつけることも大切です。運動をすると腸の動きが活発になり、消化器官全体の機能が改善されます。
便秘の予防・改善におすすめの運動は、ウォーキング・ジョギング・ランニングなどの有酸素運動です。毎日30分程度取り入れると良いでしょう。
そのほか、ヨガやストレッチも効果的です。さまざまな種目を組み合わせるのも良いでしょう。ぜひ自身に合った運動を見つけてください。
酸化マグネシウム便秘薬を試してみる
便秘の症状に悩んでいる方は、酸化マグネシウム便秘薬を試してみるのも良いでしょう。
酸化マグネシウム便秘薬は、腸の水分を集めて自然なお通じを促します。お腹が痛くなりにくく、繰り返し使ってもクセになりにくいという特徴があります。
なお、健栄製薬の「酸化マグネシウムE便秘薬」は、オンラインショップでも購入できますので、便秘解消をお急ぎの方は検討してみてください。
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ただし、ほかの薬を服用中の方や初めて服用する方は、薬剤師や医師に相談の上服用しましょう。
寝ているときもおならが出るなら腸内環境を整えよう
おならの量や回数が多い方は、便秘や腸内環境の乱れ、炭酸飲料の飲み過ぎ、呑気症や胃腸の病気が原因の可能性が高いです。お腹にガスが溜まる原因を突き止め、それに適した対処をしましょう。
お腹に溜まったガスを排出するには、うつ伏せ寝や腹部のマッサージが有効です。おならの原因が便秘である場合は、食生活や生活習慣、運動習慣を見直して、根本からの改善を試みましょう。