Vol. 54

水痘

水痘では全身の皮膚に多数の水疱がみられるため、診断は容易です。成人では、発疹が出現する1~2日前から前駆症状(発熱と全身倦怠感)がみられますが、この時期で水痘と診断することは困難です。一方、小児では前駆症状がなく、いきなり発疹がみられることが殆どです。

水疱は段階的に変化します。最初は皮膚が赤くなります。その後、少し盛り上がり、水疱となります。水疱には痒みを伴うことが多く、体幹でもっとも多くみられます。そして、最終的には痂疲化します。発疹がみられるのは皮膚だけではありません。鼻咽頭、気道、膣などの粘膜にも出現することがあります。

小児の水痘は一般的に軽症ですが、成人では重症になり、合併症の頻度も高いので注意が必要です。特に、免疫不全者、妊婦、水痘免疫のない母親から生まれた未熟児、妊娠28週未満に出産した未熟児および1,000g以下の新生児では重症となったり、合併症を併発する可能性が高くなります。

水痘は水痘-帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。このウイルスは空気感染と接触感染によって人から人に伝播してゆきます。このウイルスは気道や結膜の粘膜から人間の体内に侵入します。そのため、空気中に浮遊しているウイルスを吸い込んだり、水疱に触れた手が粘膜に触れたりすることによって感染します。

水痘患者が他の人にウイルスを伝播できる期間を「感染性期間」といいますが、これは発疹が出始める1~2日前から始まり、すべての病変が痂皮化したとき(発疹発現後4~7日)に終わります。すなわち、水疱が痂皮化した段階で他の人にウイルスを伝播することはないのです。潜伏期は14〜16日です。

水痘から身を守るためには水痘ワクチンが極めて有効です。2回の接種歴があれば殆ど防御できます。水痘ワクチンを接種したことがない人が水痘患者に濃厚接触してしまった場合、3日以内に接種すれば、水痘の発症予防に90%以上有効です。曝露5日以内に接種しても約70%の有効率であり、重症水痘を軽減するのには100%有効です。

水痘患者を看護・ケアする人は水痘の既往がある人もしくは水痘ワクチンを2回接種した人がよろしいと思います。水痘に対する免疫を持っているからです。もちろん、部屋の換気を良好にして、空気中を浮遊しているウイルスの数を減らすことも大切です。また、水疱に直接触れないようにすること、十分に手洗いすることも大切です。学校保健安全法では、水痘の患者はすべての発疹が痂皮化するまで出席停止とされています。