制酸剤、緩下剤 酸化マグネシウム錠「ケンエー」

生物学的同等性

生物学的同等性について

酸化マグネシウム錠250mg・330mg・500mg「ケンエー」(以下、酸化マグネシウム錠「ケンエー」と略す。)は、有効成分として酸化マグネシウムをそれぞれ250mg、330mg及び500mg含有した錠剤である。 今回、酸化マグネシウム錠「ケンエー」の緩下作用が新医薬品として承認を与えられた医薬品(またはそれに準ずる医薬品)と生物学的に同等であることを確認するため、ラットに経口投与した場合の糞便の外観形状及び緩下作用の出現率について比較検討を行った。 その結果、糞便の外観形状の最高評点及び緩下作用の出現率は表のとおりであった。これらの結果に対して検定を行った結果、全ての規格において酸化マグネシウム錠「ケンエー」投与群及び酸化マグネシウム錠A投与群間では有意差は認められず、酸化マグネシウム錠「ケンエー」投与群及びコントロール群間ではp<0.01で有意差が確認された。 以上の結果より、酸化マグネシウム錠「ケンエー」は標準製剤である酸化マグネシウム錠Aとほぼ同等の緩下作用を有していることが確認された。

試験方法

[供試製剤]
販売名 添加物 製造番号
酸化マグネシウム含量(対表示量%)
250mg錠 330mg錠 500mg錠
試験製剤 酸化マグネシウム錠「ケンエー」 ステアリン酸カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、香料 SS-02 SS-05 SS-09
99.48% 99.58% 100.04%
標準製剤 酸化マグネシウム錠A 結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン(500mg錠を除く)、ステアリン酸カルシウム 111525 121015 12B822
98.56% 98.36% 99.94%
[実験動物]
ラット(7週齢,Crl:CD(SD),雄):6週齢の動物を購入し、1週間の検疫期間を含む予備飼育の後、 一般状態に異常が見られなかった動物を選択した。
[操作方法]
粉砕した供試製剤を0.5%CMC-Na溶液で懸濁し、酸化マグネシウムの含量が100mg/mLとなるよう調製した。この懸濁液をラットに2mL/animal(酸化マグネシウムとして200mg/animal)経口投与した。投与後8時間まで1時間毎に糞便を観察した。なお、コントロール群には供試製剤の懸濁液の代わりに媒体である0.5%CMC-Na溶液を用い、同様に試験を行った。
[評価方法]
各ラットにおける糞便の外観形状を、表1の判定基準に従い評価した。評点の最高値を最高評点、軟便以上の評点(評点1以上)が認められた割合を緩下作用の出現率とし、それぞれ試験製剤投与群及び標準製剤投与群間、試験製剤投与群及びコントロール群間において検定を行った。最高評点に対してはWilcoxonの順位和検定を、緩下作用の出現率に対してはχ2検定を用い、それぞれ有意水準5%で検定を行った。

表1.糞便の外観形状の判定基準

評点0 評点1 評点2 評点3
糞便の外観形状 正常便 軟便 下痢便 水様便
緩下作用の
出現率(%) =
評点1以上の
例数

×100
10

試験結果

コントロール

表2.コントロール(0.5%CMC-Na溶液)投与群の 糞便の外観形状

観察時間

動物(n)

糞便の外観形状の評点
コントロール(0.5%CMC-Na溶液) 最高得点
1 2 3 4 5 6 7 8
1 - - 0 0 - - - - 0
2 0 0 - - - - - 0 0
3 - - 0 0 0 - - 0 0
4 0 - 0 - - 0 - - 0
5 - 0 - - - - - 0 0
6 0 - - - - 0 - - 0
7 0 0 0 - - - - - 0
8 - - 0 - - 0 - - 0
9 - 0 0 - - - - - 0
10 - - - 0 - 0 - - 0
緩下作用の 出現率 0%

330mg錠

表4.試験製剤投与群及び標準製剤投与群の糞便の外観形状

観察時間

動物(n)

糞便の外観形状の評点
試験製剤 最高 得点 標準製剤 最高 得点
1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 3 4 5 6 7 8
1 - 0 - 0 - 2 2 2 2 0 0 2 2 - - 2 - 2
2 - 0 - 0 0 - 1 - 1 0 - 0 2 2 2 - - 2
3 0 - - 0 - - - - 0 - 0 0 - - - 1 2 2
4 0 - - - - - - 0 0 0 0 - 2 2 2 - 2 2
5 0 - - - - 1 2 - 2 - - 0 - - - - - 0
6 - - 0 2 - - 2 - 2 - - 0 - 2 2 2 2 2
7 0 - 0 - - 2 2 2 2 0 - 0 - - 0 1 2 2
8 0 - 0 1 2 2 1 2 2 - - - 0 0 - 1 - 1
9 0 - 0 - - - - 1 1 0 0 1 1 - - - - 1
10 - - 0 0 - - 0 1 1 0 0 0 - - 0 0 1 1
緩下作用の 出現率 80% 90%

図3.糞便の外観形状によるスコア評価

図3.糞便の外観形状によるスコア評価

**:p<0.01で有意差あり,n.s.:p>0.05で有意差無し(Wilcoxonの順位和検定)(n=10)

図4.緩下作用の出現率による評価

図4.緩下作用の出現率による評価

**:p<0.01で有意差あり,n.s.:p>0.05で有意差無し(χ2検定)(n=10)