Vol. 37

マスク

冬になるとマスクをしている人を多くみかけます。満員電車などに乗っていると、8割以上の人がマスクをしていることもあります。これはインフルエンザのような感染症に罹患しないように装着することもあるし、インフルエンザになった人が他の人に感染させないように咳エチケットとして装着していることもあります。もちろん、花粉アレルギーということで一年中、マスクをしている人もいます。

マスクはコンビニなどで容易に購入できる生活用品ですが、安い製品から高価な製品まで様々なものが販売されています。基本的には病院で用いられているサージカルマスクというのが販売されており、一般的によく感染対策に用いられるマスクです。サージカルマスクは外科用マスクとも呼ばれています。手術のときに外科医が装着しているマスクです。

サージカルマスクは3層構造となっています。外層は疎水加工されていて、水滴を通しにくくしています。中間層は高密度で、花粉や埃、飛沫などに含まれるウイルスを捕集します。内層は肌触りがよく、通気性を保つ構造となっています。従って、マスクの裏表を間違えないようにして装着することが大切です。マスクの効果についてですが、微粒子(細菌など)を含んだ空気がサージカルマスクを通過すると、微粒子の95%が除去されます。

ときどき、マスクから鼻を出して、口だけを覆っている人がいます。病院では「鼻出しマスク」などと呼んでいるのですが、これは適切な装着法ではありません。露出した鼻腔から病原体が体内に飛び込んだり、逆に、病原体を含んだ飛沫が鼻腔から飛び出したりするので、鼻はマスクの中に収めるようにします。

マスクの弱点の1つに「濡れたら使用できない」という点があります。サージカルマスクは空気が通過するときに、空気に含まれている微粒子の95%を除去するのですが、空気が通過しなければ除去できません。マスクが濡れてしまうと、空気が通過できなくなり、マスクの周辺から空気が漏れ込んでくるのです。そのため、マスクが唾液や飛沫などで濡れた場合には新しいマスクに交換する必要があるのです。

マスクを2枚装着している人をみかけます。これは効果を2倍にすることを目的としているのかもしれません。しかし、そのような単純計算とはなりません。マスクを2枚装着すると抵抗が増すので、空気がマスクを通過できなくなり、やはり、マスクの周辺から空気が漏れこんでくるようになります。そのため、マスクは1枚のみを装着することをお勧めします。