Column

2023.06.23

乾燥肌・スキンケア

50年前にはほぼ存在しなかったアレルギーですが、時代の変化とともに増加し、現在では国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持つといわれています。

アレルギーといえば、目のかゆみや鼻水などの症状を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、アレルギー症状には、肌のかゆみや腫れ、赤みが出るなどの肌荒れ症状も含まれています。

「肌がかゆい原因がわからない」「いつも同じ季節に肌荒れする」と感じた経験がある方は、もしかすると何らかのアレルギーかもしれません。

今回は、アレルギーによる肌荒れの特徴とアレルゲン別の肌荒れの予防方法、アレルギーによる肌荒れの予防方法を紹介します。

アレルギーで肌荒れは起きる?

アレルギーで肌荒れが起きる可能性はあります。アレルギーとは、本来私たちの体に有害ではない物質に対し、細菌やウイルスなど有害なものが侵入したときのような体を守る免疫反応が起きる現象です。

アレルギーの原因となる物質が肌に付着したときに、体の免疫反応が過剰に働いてしまい、アレルギーを起こす場合があります。

アレルギーにはさまざまな症状がありますが、肌に現れる症状にはかゆみやヒリヒリ感、赤み、腫れ、じんましんなどがあげられます。

アレルギーによる肌荒れの原因

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」と呼びます。アレルゲンとなりえる物質は、実にさまざまなので、以下で肌荒れの原因になりやすいものを紹介します。

  • 花粉
  • ハウスダスト
  • ダニ
  • 動物
  • 食べ物

アレルギーの原因別|肌荒れの予防方法

アレルギーによる肌荒れを防ぐには、まずはアレルギー検査を受けて、反応しているアレルゲンを調べてから対策するのが大切です。

反応しているアレルゲンによって予防方法が異なるので、医療機関で反応しているアレルゲンと反応の程度を調べてみましょう。

以下で、アレルゲンの種類別の予防方法を解説します。

花粉

花粉は代表的なアレルゲンです。広く知られているスギやヒノキのほかにも、ブタクサ、カモガヤ、ヨモギなどもアレルゲンになる可能性があります。

花粉に反応していると判明した場合、まずはアレルゲンとなっている花粉の飛散時期を確認しましょう。飛散が増えている時期は、花粉がなるべく肌につかないようにするのが大切です。

花粉用のメガネやマスク、帽子を着用し、風が強い日や飛散量が多いとされる日の外出は可能な限り控えるようにしてください。

外出をしたときも花粉を払い落してから家に入り、帰宅後はすぐに入浴して花粉のついていない服に着替えましょう。

花粉による肌荒れは、かゆみやヒリヒリ感が現れる場合が多く、肌の乾燥が気になる方が多いのも特徴です。

ハウスダスト・ダニ

ハウスダストとは、1mm以下の家の中にあるホコリやチリをさします。ハウスダストの中には、衣服の繊維やカビ、ダニの死骸やフン、動物や人間の毛や皮膚片など、さまざまなものが含まれています。

ハウスダストに含まれるものの中で、多くの方がアレルギー反応を起こすといわれているのがダニです。

ダニは高温多湿な場所を好み、私たち人間から出る皮膚片などを食べて増殖します。寝具やカーペットは、ダニの温床となりやすいので注意しましょう。

ハウスダウトやダニのアレルギー対策は、家の中の掃除が大切です。毎日部屋の換気を行い、少なくとも2日に1回はしっかりと掃除機をかけてください。

ダニが増えやすい寝具に関しては、週に2~3回は布団を干し、可能であれば毎日布団に掃除機をかけるようにしましょう。日中に布団を干すのが難しい方は、布団乾燥機を使用するのもおすすめです。

また、室内をダニやホコリが発生しにくい環境にするのもポイントです。カーテンやカーペットは起毛素材を避け、衣服はすぐにたたんでしまい、ぬいぐるみも置かないようにしましょう。

動物

イヌやネコのアレルギーの場合は、なるべくアレルゲンとなっている動物に接触しないようにするのが基本の対策です。

ペットとしてイヌやネコをお迎えする前には、アレルギー検査を受けておくようにしましょう。

食べ物

食べ物をアレルゲンとする食物アレルギーでも、じんましんや顔の腫れ、かゆみや湿疹のような症状が現れる場合があります。

食物アレルギーの対策は、アレルゲンとなっている食べ物を摂取しないようにするのが基本です。外食や食べ物を購入するときは、アレルギー表示を確認してから食べるようにしましょう。

ただし、子どもの食物アレルギーの場合は、医療機関で医師指導のもとでの治療を受けられます。子どもの食物アレルギーを治したいと考えている方は、まず医療機関に相談しみてください。

また、食物アレルギーは年齢とともに変化する傾向があります。乳幼児期は鶏卵や牛乳のアレルギーが多いですが、小学生以上になると甲殻類や果物のアレルギーが多くなります。

成人期以降は小麦や魚、甲殻類アレルギーが多くなります。子供の頃のアレルギーは、成長とともに食べられるようになることが多いですが、大人の場合は難しいとされています。アレルゲンとなっている食べ物を継続的に摂取しない対策をする必要があるとされています。

アレルギーによる肌荒れを防ぐポイント

食べ物によるアレルギーは体の内側からくるものなので肌荒れを防ぐのは難しいですが、アレルゲンが肌に触れることを原因とする場合の肌荒れは、予防する方法があります。

以下で、外部からの刺激によるアレルギーで起きる肌荒れを防ぐポイントを紹介します。

スキンケアでバリア機能を高める

肌のバリア機能が低下していると、アレルゲンが肌に触れた場合に肌荒れが起きやすくなるので、スキンケアでバリア機能を高めるのがポイントです。

バリア機能とは、私たちの肌にもともと備わっており、花粉やホコリ、紫外線などの外部刺激から肌を守り、肌のうるおいをキープする役割を果たしているものです。

肌が乾燥するとバリア機能が低下しやすくなるので、セラミドやヒアルロン酸など高保湿とされるスキンケアで保湿をしてください。

とくに乾燥が気になるところには、高い親水性と保水性を持ち、バリア機能の回復をサポートしてくれるヘパリン類似物質を含んだ保湿剤を使うのも良いでしょう。

肌の負担を軽減する

アレルギーによる肌荒れをしにくい肌を目指すためには、肌への負担を軽減するのも大切です。

アレルギー反応を起こしている方は、肌荒れとともに鼻水やくしゃみなどの症状が出る場合があります。

鼻をかむときのティッシュの摩擦も肌の負担になるので、やわらかい素材のものを使って、なるべく肌を刺激しないようにしてください。

マスクを着用するときも、肌にやさしい素材のものを使うと良いでしょう。

規則正しい生活を送る

睡眠不足や夜型の生活は、自律神経を乱れさせバリア機能の低下につながる可能性があります。アレルギーによる肌荒れをしにくい肌を目指すには、早寝早起きを心がけ、十分な睡眠時間を確保しましょう。

また、肌は睡眠中に分泌される成長ホルモンによって修復されています。睡眠時間は短くても6時間は眠るようにしましょう。

アレルギーによる肌荒れはアレルゲン別に対策をしよう

肌荒れの原因となるアレルゲンは、花粉やハウスダスト、動物など多種多様です。アレルギーで肌荒れをしているかもしれないと感じる方は、まず医療機関でアレルギー検査を受けてみてください。

アレルギーによる肌荒れは、アレルゲンとなっている物質を確かめて、しっかり対策していくことが大切です。

また、肌荒れに悩んでいる方は、普段からセラミドなど高保湿とされる成分を含んだスキンケアを使う、生活習慣を整えるなどをして、肌荒れしにくい肌を目指すようにしましょう。


泉医師からのコメント

バリア機能が低下した肌は外部の刺激に弱くなります。花粉が肌に侵入しやすくなるため、免疫システムが働いてアレルギー反応が起こりやすくなり、その結果、肌荒れにつながります。保湿をしっかり行い、皮膚表面のきめを整え、バリア機能を高めましょう。

泉医師

監修者

医師:泉 さくら

日本皮膚科学会皮膚科専門医。 琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。

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