消毒薬の選び方

各種消毒薬の特徴

1.各種消毒薬の特徴

はじめに

消毒薬は高水準、中水準および低水準に分けられる。
これらのうち、グルタラール(ステリゾール®など)、フタラール(ディスオーパ®)および過酢酸(アセサイド®など)などの高水準消毒薬や、中水準消毒薬のうちの次亜塩素酸ナトリウム(ピュリファン®Pなど)は、 すべての微生物に有効である(図1)。
なお、次亜塩素酸ナトリウムは汚れ(有機物)の存在で効力低下が生じやすいので、中水準消毒薬に分類されている。

次に広いスペクトルを示すのは、中水準消毒薬のうちのポビドンヨード(イオダイン®Mなど)やアルコールである。これらの消毒薬は芽胞を除く微生物に有効である(図1)。

一方、クロルヘキシジン(ステリクロン®など)や塩化ベンザルコニウム(ザルコニン®など)等の低水準消毒薬は一般細菌や酵母様真菌などに有効で、抗菌スペクトルの狭い消毒薬といえる(図1)。

表1に、おもな消毒薬の使用上の留意点を示した。

図1. 微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトル

 

微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトル
    • *1 一部のウイルスの消毒薬抵抗性は、一般細菌と同程度に弱い。
    • *2 一部の一般細菌は、低水準消毒薬に抵抗性を示す。
    • *3 バチルス属(Bacillus spp.)の芽胞に対するフタラールの効果は弱い。
    • *4 両性界面活性剤は結核菌にも有効である。

表1. 消毒薬の使用上の留意点

水準 消毒薬 使用濃度 消毒対象 使用上の留意点


グルタラール
ステリゾール®など
2~3.5% 内視鏡
  • 付着に注意!
  • 蒸気の曝露に注意!
  • 適用後には十分なすすぎ(リンス)が必要
フタラール
ディスオーパ®など
0.55%
過酢酸
アセサイド®
0.3%


次亜塩素酸ナトリウム
ピュリファン®Pなど
0.01%
(100ppm)
「食」関連器材
「呼吸器」関連器材
  • 金属製器材には用いない
  • 塩素ガスの曝露に注意!
0.1%
(1,000ppm)
環境
(芽胞、ウイルス、細菌)
ポビドンヨード
イオダイン®Mなど
原液 術野
創部
粘膜
  • 新生児への大量使用を避ける
  • 患者と手術台の間に溜まるほどの大量使用を避ける
アルコール
消毒用エタノール
70%イソプロパノール
原液 正常皮膚
アンプル・バイアル
環境(ウイルス、細菌)
  • 引火性に注意!
  • 粘膜や損傷皮膚には禁忌
速乾性手指消毒薬
消毒用エタプラス®など
原液 手指
  • 目に見える汚れがある場合には用いない
  • 手荒れや傷がある手指には用いない
  • 引火性に注意!


クロルヘキシジン
ステリクロン®Pなど
0.05% 創部
  • 濃度間違いがないようにする
  • 含浸綿球(ガーゼ)は細菌汚染を受けやすい
塩化ベンザルコニウム
ザルコニン®など
塩化ベンゼトニウム
ベゼトン®など
0.02% 粘膜
0.1~0.2% 環境(細菌)
両性界面活性剤
サテニジン®など
0.1~0.2% 環境(細菌)